|
謹慎中の身ではありますが、 台湾総統選の結果を受けて、 今後の見通しを提示して欲しいというご依頼を頂戴致しました。 まだ十分に思考が詰めきれていないため どうしようか非常に迷ったのですが、せっかくご依頼頂きましたので、 現時点での私の「予測」を臨時にアップさせて頂こうと思います。 従って、今後「予測」が変わる可能性がある点はご容赦下さい。 また、ご利用の際は、 これは「予測」であって私の「思想信条」ではない という点も予めお含み置き頂くようお願い致します。 無用な誤解を避けるため、この点は十分ご留意願います。 【参考】当ブログをご覧頂いている皆様へ (趣旨をご理解頂いた上でご利用下さいますようお願い致します) http://keyboo.at.webry.info/200803/article_20.html では、まずはじめに、 今世界中が一番気にかけているであろう 「チベット問題」から見ていきたいと思います。 (注) この記事は2008/3/26に書いたものですが、 ランキングサイトでの表示の都合上、更新日時を変更する場合がございます。 ご訪問頂きありがとうございます。 当ブログは下記ランキングサイトに参加しています。 あなたの清き一票をよろしくお願いします!! ![]() ![]() 【お知らせ】 「ニュースウォッチ」はメルマガに移行させて頂きました。 よろしければ下のバナーをクリック頂き登録画面にお進み下さい。 <自由を求めるムーブメントが成功するためには> チベット問題に関しては、今回の出来事によって 「五輪」と「チベット」が完全に人々の記憶に結び付けられましたので、 「一時的な弾圧でもみ消せば終わる」ということにはならず、 このムーブメントは拡大していくものと思われます。 【参考】ここがヘンだよ!北京五輪 http://keyboo.at.webry.info/200708/article_12.html http://keyboo.at.webry.info/200708/article_13.html http://keyboo.at.webry.info/200708/article_15.html ただし、これが成功を収めるかどうかに関しては いくつかの懸念点が考えられます。 まず北京政府としては、 チベットの要求する「完全な自治」を認める という可能性は極めて低いと考えられるでしょう。 理由は、分裂が連鎖的に広がるのを怖れていることと、 チベットにある豊富な鉱物資源を手放したくないであろう と思われるからです。 【参考】チベット高原に銅、鉛など大量の鉱物資源(中国情報局) http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0213&f=business_0213_020.shtml 中国地質調査局は中国南西部のチベット高原で新たに銅、鉛、金、銀、鉄の鉱床など600カ所以上が見つかったと発表した。13日付で香港・経済通が伝えた。 しかし、「独立」を果たすだけなら一つ方法があります。 それは、 チベットが一方的に独立を宣言してしまって、 米国等の主要国がそれを「承認」してしまえばいいのです。 それって、「コソボ独立」と全く同じパターンですよね。 【参考】コソボがチベットに影響 露外相、米欧を非難(産経) http://sankei.jp.msn.com/world/china/080318/chn0803181955015-n1.htm 実は、「コソボ独立」は 「台湾独立」の前例というよりは 「チベット独立」の前例となるイベント だったのかもしれません。 それが実現する可能性は もう少し見てみなければわかりませんが、 しかし、私はチベットが「コソボ方式」で独立を果たせる 可能性は今のところ低いと考えています。 なぜか。 <「独立」を果たすこと以上に重要な論点> それは、コソボと違って、 チベットは「軍事的裏づけが弱いから」です。 これは意外に語られていないことかと思いますが、 仮にチベットが「独立」を宣言したとしても、 現実問題として 「チベットの安全保障をどうやって確保するのか」 という問題があるはずであり、 これは「独立」を果たすこと以上に 重要な論点ではないかと思っております。 「軍事的裏づけ」がないまま 一方的に独立を宣言したところで、 今回のように北京政府に弾圧されてしまう可能性が高い。 コソボがセルビアから弾圧されなかったのは、 「NATO」という「軍事的裏づけ」があったからです。 しかし、チベットにはそれがない。 【参考】NATO事務総長「コソボ独立後も責任は継続」(iza) http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/123460/ 従って、チベットが自由を手に入れるためには、 このムーブメントの拡大がチベットに留まらず、 現状「おいしい思いをしていない層」の結集にまで つながる必要があるのではないかと考えられるのです。 【参考】中国内部が抱える対立構造 http://keyboo.at.webry.info/200710/article_19.html http://keyboo.at.webry.info/200710/article_20.html http://keyboo.at.webry.info/200710/article_21.html そして、中国とインドの緩衝地帯のような位置づけとして、 多国間での安全保障の枠組みを作る必要があるんだろうと思います。 【参考】多極化時代のパワーバランスを読む http://keyboo.at.webry.info/200708/article_17.html http://keyboo.at.webry.info/200708/article_18.html http://keyboo.at.webry.info/200708/article_19.html (ちょっと古い絵ですが。。。) 特にチベットは鉱物資源が豊富な点から、 他国から狙われやすいという要素を持っていますので、 それを「どこが」主導で行うのかという点で、 つばぜり合いが起こりそうな気がします。 この点でも米国はもちろん、 インドとロシアの出方に注目だと考えています。 【参考】「中露vs米」から「米露vs中」の構図に変わった!? http://keyboo.at.webry.info/200803/article_18.html <選挙を通して見えた台湾の「民意」> そして、台湾問題なのですが、 今回の総統選及び先の立法院選挙を通して見えた台湾の民意を 私なりに解釈してみると、こんな感じかなと思っています。 「たしかに本土に併合されてしまうのは怖いけど、 現実問題としてそんなことが 起こる可能性って低いんじゃないの? それよりもメシのタネを何とかしてくれるほうが先でしょ」 という感覚の人が多かったのではないかなあと。 【参考】国際的な問題が先送りされる可能性 http://keyboo.at.webry.info/200801/article_5.html その感覚が正しい (倫理的な観点ではなく、正確さという意味での「正しさ」) かどうかはわかりませんが、 そういう感覚を持っている人からすると、 陳水扁総統の政策は極めて「ポピュリスト的なもの」としか写らず、 嫌気が差されてしまった可能性があるような気がするのです。 <「同胞」ゆえに感じる「シンパシー」> それともう一つ、これは韓国の人が 北朝鮮に感じる感覚と似ているのかもしれませんが、 台湾の人は我々外様の人間が思っている以上に、 本土に対して「同胞ゆえのシンパシー」を 感じている部分があるのかもしれない ということです。 だから、「独立」すること自体が目的というよりは、 本土が自分たちの存在を脅かすものでなくなるのであれば、 わざわざ敵対する理由はないという感覚を持つのは自然だし、 実際そう感じている人が我々が考えるよりも多いのかもしれないなと。 【参考】2006年 両岸関係の世論調査総合報告(台湾週報) http://72.14.235.104/search?q=cache:oJscCAn4z7wJ:www.roc-taiwan.or.jp/news/week/07/070219d.htm+%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%80%80%E4%B8%96%E8%AB%96%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%80%E5%AF%BE%E4%B8%AD&hl=ja&ct=clnk&cd=8&gl=jp&lr=lang_ja&client=firefox-a (理由は不明ですがキャッシュページになっています) 72%の人は両岸が行っている各種交流が台湾にとって重要性を持っていると考え ており、31%〜36%の人が両岸交流の速度は「ちょうど良い」、25%〜35%の人が「遅すぎる」、20%〜26%の人が「早すぎる」と考えている。調査結果は現在、両岸の交流速度は「ちょうど良い」と考えている人が多数を占めていることを示している。 それが北京政府が 併合のために用いている「アメ」作戦に 台湾が思惑通りになびいているという見方も できるとは思います。 しかし、北京政府にとっても (台湾問題には本音では関わりたくないはずというのが私の見方) 「StatusQuo」が最も望ましいはずだと思いますので、 我々外様の意見を置いておけば、 台湾・北京双方にとって、今回の総統選の結果は お互いハッピーだったと言えるのかもしれません。 【参考】台湾問題とは何なのか http://keyboo.at.webry.info/200711/article_1.html 【参考】台湾総統選:馬氏当選で中台関係に春(朝鮮日報) http://www.chosunonline.com/article/20080324000013 もちろん、馬新総統もどのような出方をしてくるかわかりませんので、 もしかしたら憲法改正をして本土の領有権放棄という 「ワザ」を出してくるかもしれません。 ただ、これまでの「融和」路線を継承するという 下馬評どおりに事が進むのを前提で考えるならば、 もう一つのシナリオを考えておく必要があるような気がしています。 それは「中台融和・反日転換シナリオ」です。 <「台湾」が日本にとって「脅威」となる可能性> もし台湾と中国本土が「StatusQuo」のまま手を取り合って、 外交面でも協力する関係なんかになったとしたら、 あれだけの軍備を持っていて、 しかも尖閣諸島の領有権も主張している台湾は、 日本にとって実は新たな「脅威」となる可能性があります。 【参考】中華民国(wiki) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD さらに、日本の主権下にある尖閣諸島に1969年、「青天白日旗」を掲揚し、付近海域の石油採掘権をアメリカ企業に与えた上に、1971年6月以降は中華人民共和国による同様の主張に対抗するべく、領有権を主張している。 私が台湾が憲法改正をして 台湾以外の領有権を放棄する必要がある と言った理由はここにあるのです。 【参考】台湾「独立」の要件とは何か? http://keyboo.at.webry.info/200711/article_2.html 日本では北京との対比から 盲目的に台湾を擁護する意見が少なからずありますけど、 それには十分注意したほうがいいと思っております。 これは私の勝手な推測に過ぎませんが、 中国本土の(特に沿岸部の人たちの)中には、 「はるか西側にいる異民族と同居するよりも、 近くの同胞である台湾と仲良くした方がいいんじゃないの」 と考えている人が少なからず居るのではないかと思うんですね。 そういう人たちから見れば、 中台関係は「StatusQuo」が一番望ましいわけですし、 このあたりの事情も、分裂する火種があっても なかなか中国が分裂しない要因の一つなのかもしれません。 <まとめ> 以上、論点整理なく色々書いてしまいましたが、 ポイントとしては、 ● 「チベットの独立」は「中国の体制転換」と セットでないとその実現可能性は高くないのではないか という点と、 ● その「体制転換」のためには 現在「おいしい思いをしていない層」の結集が 恐らく必要なのではないか という点かと「現時点では」考えております。 【参考】台湾「独立」が爆弾になる可能性 http://keyboo.at.webry.info/200711/article_4.html そして、もう一つ注意しておかなければいけないのは、 もし「体制転換」が実現した場合でも、 それが日本にとって「ばら色」の姿になるのか というと必ずしもそうとはならない可能性 も考慮に入れておく必要があるという点です。 その一つの可能性として、 本土沿岸部と台湾の融合、 そしてその融合勢力が結託して 日本に矛先を向けるというシナリオ は頭の片隅に置いておくべきかもしれません。 こう書くと私が「台湾」を嫌って 「本土」に肩入れしていると誤解される方が 出てきたら困るのですが、そうではありません。 あくまで可能性の一つとして排除すべきでない シナリオであるということを申し上げたいだけです。 もちろんこれは実現して欲しくない シナリオであることは言うまでもありません。 みんなが日本と仲良くしてくれれば それに越したことはないわけですから。 (ご訪問頂きありがとうございました。 今回は臨時に記事をアップさせて頂きました。 正式な再開はまた時期を見て行いたいと思います。) 最後までお読み頂きありがとうございました。 当ブログは下記ランキングサイトに参加しています。 この記事があなたのお役に立てましたら、 是非清き一票をよろしくお願いします!! ![]() ![]() 【お知らせ】 「ニュースウォッチ」はメルマガに移行させて頂きました。 よろしければ下のバナーをクリック頂き登録画面にお進み下さい。 (ご参考) 「中国情勢」をもっと深く知りたい方におすすめの本
|
| << 前記事(2008/03/20) | トップへ | 後記事(2008/04/06)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
エベレストに「Free Tibet」横断幕 自由チベット学生組織の抗議活動ビデオの全訳
昨年の4月25日、パンチェン・ラマの誕生日に米国籍のチベット人を含む米国人活動家がエベレストのベースキャンプで横断幕を掲げて、北&... ...続きを見る |
Red Fox 2008/03/27 00:01 |
血まみれ聖火リレー大長征…虐殺五輪の前哨戦
採火式で演説した中共幹部のメンツは潰された。抗議の嵐吹くオリンピア。路上の暴漢は五輪委関係者だった。そして、虐殺のシンボルと化した聖火は毛沢東の長征ルートを辿る。 ...続きを見る |
東アジア黙示録 2008/03/27 07:04 |
目からウロコの日本無視(PASSING)・・ふぅ〜
豪新首相はラッドさん。 ...続きを見る |
湖北庵通信(旧 浦安タウンの経済学) 2008/03/28 22:32 |
万里の長城に「Free Tibet」垂れ幕 自由チベット学生組織抗議活動
エベレストでの自由チベット抗議の3ヶ月後、北京オリンピック1年前のカウントダウンの前日の2007年8月7日の朝には、『自由チベット学生&... ...続きを見る |
Red Fox 2008/03/30 14:46 |
本の切口 04022008
日本という国家は不思議である。国家機密を守り、他国のスパイ活動を処罰する法律もない。他国の情報を積極的に収集管理し、国益にかかわる情勢判断、分析する機関もないに等しい。その能力がないかというと、民間企業の商社をはじめ、外務省、防衛省、公安調査庁などと優秀な人材はけして劣るとは思えない。前安倍内閣でそれを取りまとめようと「日本版NSC」を立ち上げたが、官僚の省壁があって十分に機能していないといわれている。その分野に直接、間接的にかかわり、独自の鋭い見解をもつ二人の対談形式の本を読んだ。 ... ...続きを見る |
つき指の読書日記 2008/04/01 15:54 |
自由チベット学生組織、IOCのロゲ会長に直談判
自由チベット学生組織のテンジン・ドルジ副代表が去る3月24日、ギリシャでの灯火式直前にジャック・ロゲIOC会長を捕まえて、チベット問&... ...続きを見る |
Red Fox 2008/04/02 03:52 |
北京オリンピックの聖火リレーがすこしずつ混乱の様相を
ロンドンで始まった北京オリンピックの聖火リレーに対して、在英チベット人などが抗議 ...続きを見る |
本質 2008/04/07 10:40 |
「チベット自由の聖火」がオリンピアを走る
3月24日に北京オリンピックの聖火の灯火式がギリシャのオリンピア遺跡で行われましたが、その2週間前の3月10日の「1959年チベット蜂起記&... ...続きを見る |
Red Fox 2008/04/19 17:43 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
「中露vs米」から「米露vs中」の構図に変わった!? |
gujin 2008/03/27 02:30 |
gujinさん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/27 08:57 |
台湾についての情報、以下のサイトも参考になるかも知れません。 |
敬介 2008/03/27 21:25 |
おお、この勢いで謹慎なんか解いてください。 |
SAKAKI 2008/03/28 22:37 |
ヒステリックな口吻に、言葉を尽くして冷静に対応なさっている途転さんに感服しました。でも、もうそんなにお気遣いなさらず、思い通りに書いて下さいませ。又の更新を心待ちにしています。 |
野良 2008/03/29 16:00 |
初めてですが、一言だけお送りし度いと思います。 |
パパ 2008/03/29 16:06 |
お久しぶりです。冷静な分析主義、バランス感覚と 妙にユーモアと熱い心のある此処ブログ。とても好きです。頑張ってください。 安倍以降日本丸は操舵室を空けて厨房に集まってもめるばかりのような気がします。大きな編成期の波に船は不安ですね。 |
さるさ 2008/03/30 14:30 |
>本土沿岸部と台湾の融合、そしてその融合勢力が結託して日本に矛先を向けるというシナリオ |
tousan 2008/03/31 05:59 |
SAKAKIさん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:40 |
野良さん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:40 |
パパさん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:41 |
さるささん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:41 |
tousanさん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:41 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2008/03/31 13:42 |
結局のところ、米中の連携は今後も進んでいくと思われます。米国はひきこもるのが前提にあるわけですからアメリカがやる気の無い状況においてはエネルギー云々が米中関係を決定的に悪化させるシナリオは考えにくい。そこでポイントになってくるのはやはりロシアになります。日本はそのときにどういった立ち位置をとるべきかが今後の鍵になりそうです。 |
鮫島 2008/04/01 01:54 |
鮫島さん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/04/01 12:05 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2008/04/01 12:05 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2008/04/01 12:06 |
チベットにはかつてCIAが関わっていた事がありますね。今時アメリカも中国を敵に廻してまでチベットを支持するメリットがないので、チベットはむしろ中国叩きのネタにされているような印象も一方ではあります。 |
文太 2008/04/07 03:42 |
しかし日本が8年間戦争をした相手は国民党であり、仰る通り国民党台湾は尖閣諸島の領有権を主張していますが、日本との関係をこじらせたくないから黙っているだけと、そういう面はあると思います。 |
文太 2008/04/07 04:12 |
文太さん> |
新快速 播州赤穂行き 2008/04/07 13:25 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2008/04/07 13:26 |
| << 前記事(2008/03/20) | トップへ | 後記事(2008/04/06)>> |