途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 財政再建のための郵政民営化論@(郵政民営化の本質を探る:その5)

<<   作成日時 : 2007/10/09 14:59   >>

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画像



急に周囲が慌しくなってしまい、シリーズ途中で更新が途絶えてしまい
申し訳ありませんでした。
ちょっと間が空いてしまいましたが、再開させて頂きます。
(コメント・TBありがとうございました。順次リアクションさせて
頂きますが、把握するのに時間を要する可能性があるため、
遅延する可能性がある旨ご容赦頂ければと思います)


というわけで続き。
郵政民営化が財政再建につながる理由について考えます。


郵政民営化が財政再建との絡みで
よく話題にされるのが次の2点かと思われます。


@ 民営化することによって法人税を支払うようになること

A 株式を上場させて市場に売却することによって、
  株主である国に売却益が発生すること



たしかにそういう面もあるとは思いますが、
ここで取り上げたいのはこの点ではありません。
(@に関しては5年間で1兆円の国庫納付金を納めているため、
それによる財政再建効果は小さい)




<財政投融資の特徴とは>


郵政民営化と財政再建の本当の問題を探るためには、
以前ご紹介した「財政投融資」の問題に触れる必要があります。

【参考】投資社会実現のために必要とする郵政民営化論A(郵政民営化の本質を探る:その4)
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_4.html
【参考】財政投融資制度(よくわかる!金融用語辞典)
http://www.findai.com/yogo/0070.htm

財政投融資制度とは、大蔵省資金運用部(現 財務省)が郵便貯金や年金積立金などの資金を全額預かり、資金運用部から特殊法人(公庫や公団など)に融資する制度です。特殊法人は、このお金を、高速道路や空港などを建設する大型事業や、中小企業の事業資金、国民の住宅建設資金などへ融資してきました。


以前ご紹介しましたように、
自主運用開始前の財政投融資制度の下では、
郵貯・簡保の資金は全額大蔵省資金運用部
(現 財務省理財局)に預託され、彼らが郵貯・簡保に
成り代わって運用を行っていました。


では、その大蔵省資金運用部は郵貯・簡保
(正確にはプラス年金)の資金をどのように運用していたのでしょうか。
それをあらわしたのが下の絵です。

画像


(注)郵貯・簡保の資金合計(左)と財投資金の合計(右)が
  一致しない理由は以下のとおりです。
  @ 年金(旧 年金資金運用基金)の数字が含まれていない
  A 自主運用後の数字なので、全額財投に回っているわけではない



この「財政投融資」と呼ばれるものの金額は、
なんと「300兆円」以上
ありまして、
これは通常の国家予算が「約80兆円」ですから、
実に国家予算の4倍近くにも上る。


そして、財投のもうひとつの特徴として、
そのカネの使い道が、大蔵省資金運用部の一手に
握られていたということです。



つまり、
「80兆円」の国家予算が国会の承認を要するにも関わらず、
その4倍にも上る「300兆円」の「財政投融資」の使い道が、
国会の承認を経ることなく、官僚(大蔵省)の独断で
決められていたという、驚くべき事実があるのです。



さらにもう一点挙げられるのが、
「300兆円」の財投資金のうち、
実に6割にも上る「180兆円」のカネが、
「特殊法人(特法)」に流れていたという事実。


【参考】叩かれまくる特殊法人の本当の問題とは 特殊法人問題をやさしく説明!(ALL ABOUT)
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20010821/index.htm


そして、さらにさらに、
これも以前ご紹介した小泉さんの書籍にあるのですが、
その「特殊法人」のトップに、代々官僚が天下っていたという事実。

【参考】郵政民営化論―日本再生の大改革!(小泉純一郎・松沢しげふみ)


(引用開始)**********************************************

この改革は、郵政省のみならず、大蔵省をはじめ全省庁がいやがる改革であろう。現在、各省庁の事務次官経験者たちの多くは、特殊法人の総裁や理事長に天下っている。大蔵省なら国民生活金融公庫、通産省なら中小企業金融公庫、建設省なら住宅金融公庫、郵政省なら簡易保健福祉事業団、厚生省なら年金福祉事業団、労働省なら雇用促進事業団、といった具合である。

特殊法人をはじめ公庫、公団、さらにはこれらに関連する民間会社と、役所を中心とした一家体制ができている。これこそが、行財政改革を阻んでいる”本丸”なのである。だからこそ郵政民営化は、たんなる郵政省との戦いではなく、全役所、全官僚、つまり現状維持勢力との戦いであり、本格的な行財政改革の第一歩なのだ。

(引用おわり)**********************************************


以上をまとめると、「財政投融資」とは

@ 国家予算の4倍にも上る規模(300兆円)のカネを

A 「官僚」(大蔵省)の独断(=国会の承認を経ることなく)
  で自由に使うことができ、

B うち6割(180兆円)が「特殊法人」に流れているが、

C 「特殊法人」のトップには「官僚」が代々天下っている


という特徴を持っていることがわかります。


そして、
これにその資金の出し手である「郵貯・簡保」を加えると、
「こりゃあ問題ありだな」と
直感的におわかり頂けるかもしれませんね。






<財政投融資の問題は特殊法人の不良債権問題>


では、一体何が問題なのか。
これは、カネの貸し借りの問題を考えてみたらわかります。


銀行とはカネを貸すのが商売ですが、
誰にでもカネを貸してくれるわけではありません。


相手が将来貸した金をちゃんと返してくれるかどうかを吟味して、
大丈夫だと判断した人にしか貸してくれませんよね。


でも、貸した相手が「親しい」間柄だったらどうでしょう。
あなたは友人の好みとして、情けをかけるかもしれませんよね。
「まあいいよ。もともとあげるつもりやったから」


官僚の天下っている「特殊法人」は
「大蔵省」と「親しい間柄」ではないのか。
だったらそういう情けも働いたんじゃないか。

そう考えても不思議ではない。


しかし、同時にこうも思うでしょう。
「いや、自分のカネやったらともかく、財投の金やからまずい。
情けをかけたい気持ちはやまやまやけど、
バレたらえらいことになるから無理や」と。


では、バレなかったらどうなんだ。


「特殊法人」はまともな会計処理をしていない。
財務諸表すら発表されていない。


だから、「特殊法人」に返済能力が
あるかどうかは、外部からは「バレない」。
これなら、堂々と情けをかけることができる。
こういう考えが起こっても不思議ではない。


つまり、外部から特殊法人の実態が見えないこと、
また大蔵省と特殊法人が天下りの関係にあることから、
大蔵省への特殊法人への審査が甘く、
それらへの貸し出しが不良債権化しているのではないか
という疑念が沸き起こってくるというわけです。



そして、その疑念が道路公団問題で現実のものとなった。

【参考】衆議院 郵政民営化に関する特別委員会(2005/6/7)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/014616220050607009.htm

(引用)**********************************************

山崎養世参考人(シンクタンク山崎養世事務所代表 前ゴールドマン・サックス投信株式会社社長)

財政投融資というのは、財政的目的を金融的手段によって達成する。金融とは何か。与信の審査をし、きちっと貸し付けをし、業務をモニターし、そして何よりも、貸し金と利息を回収するというのが金融の基本機能であります。果たして、この理財局という部署はこの義務を今まで果たしてきたのでしょうか。
 道路四公団の負債は全部で四十兆円。NTT、日本最大の負債を持つ企業の三倍でございます。そのうち三十兆円は理財局が貸し付けをしております。本四架橋公団、四兆五千億ほどの負債がございます。利払いが一千百億、料金収入は何と八百億円です。利払いすらできないから、そのほか費用そして利息が加わって、元本が雪だるま式に膨らむ。これは民間の不良債権基準でいえば、完全なる破綻企業でございます。

(引用おわり)******************************************


仮に「特殊法人」への貸出債権が不良化していたとしても、
郵貯・簡保が強制的に毎年カネを供給してくれるので、
資金繰りに窮することはない。



したがって、このスキームがある限り、
自転車操業で永遠に乗り切ることが出来る。


これが「財政投融資制度」の最大の問題点なのです。


「甘い審査(疑惑)」と「情報の非開示」。
これって、銀行の不良債権問題と全く同じですよね。


銀行に不良債権の最終処理を強烈に指導した
親玉であったはずの大蔵族(金融庁)自身が、
実は同じ問題を抱えていたとは、笑うに笑えない話ですが。


つまり、「財政投融資」の問題とは、
「特殊法人の不良債権問題」
であり、
この問題を解決するために、小泉内閣は
「財政投融資改革」を行い、「特殊法人改革」を行い、
そして「郵政民営化」で総仕上げをしようとしたわけなのです。

【参考】「財政投融資の抜本的改革について」の概要(財務省)
http://www.mof.go.jp/singikai/unyosin/tosin/1a1502a11.htm
【参考】特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokusyu/kettei/021018kihon.html


では、ここで疑問が2つ沸いてきます。


@ 「特殊法人が不良債権」となっても、損を被るのは
  資金の出し手である郵貯・簡保であるはずなのに、
  なぜそれが「国家財政」の問題となるのか。


A 「郵政民営化」が特殊法人の不良債権問題の
  解決策となるのはなぜか。



次は、この問いに答えなければいけません。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_6.html

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(ご参考)

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは
 一連のエントリーをじっくり読ませていただきました。
 行財政改革=国、地方、行政の全体的な仕組みを変える、さらには年金制度や税制までの改革に及ぶ話が郵政民営化の本質なのですが、てっきり私は国民のほとんどがこれらのカラクリを知っていると思っていました。
 昨今の郵政民営化凍結論の隆盛にはいささか驚いています。民営化で不利益を受ける団体の連中が必死で米国債を買い支えるためだとか、米国の金融機関のためだと宣伝しているように思えます。
 このような構造的な話はオモテにでにくいですし、理解しにくいのでしょう。次回のエントリーを楽しみにしています。長々と失礼しました。
SAKAKI
2007/10/09 22:15
本当にそういう話題は民営化が議論されていたときに、さんざん話に上がってたはずですけどね。
いつの間にかサービス向上のための民営化と思われ始めたというか、
実は全く関心がなかったんだなと思いますね。

こんなんだから、日本がダメになったんだよと強く言いたい。
あかさたな
2007/10/09 22:53
SASAKIさん>
こんばんは。コメントありがとうございます。郵政民営化の問題にあまり関心がなくて、あの小泉さんの衆院解散後の演説しか聴いたことがない人は(多分そういう人が多かったと思いますが)、恐らくこのカラクリは全く知らないのかもしれませんね。あの選挙も先の参院選と同じく「Coolな戦い」をした方が勝利する、雰囲気選挙でしたから。あと、今になっての民営化凍結論には私もSASAKIさん同様ビックリしています。中には最初から冷静に分析して反対を訴えておられた方も少なからずいらっしゃると思いますが。米国(外資)陰謀論のカゲで●●が高笑いしているのが目に浮かびます。公務員改革をしようとした安倍さんのあれだけ叩かれたんですから、小泉さんでも既得権益にはそう簡単には踏み込めなかったということなんだろうと考えています。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/09 23:28
あかさたなさん>
コメントありがとうございます。恥ずかしながら私も当時は郵政民営化に全く関心がなかったので全くエラそうなことがいえないんですがすいません。なかなか国民が自発的に政治に関心を持つのは難しいのかもしれません。郵政選挙も先の参院選も雰囲気選挙という意味ではあまり本質は変わっていないような気がします。日本は歴史的に強烈な外圧によって危機感を煽られないと変われない民族だと思いますので(これは気質の問題であって、日本人が優秀であるかそうでないかというのとはまた別のような気がしていますが)、そういう出来事がそう遠くないうちに起こるんじゃないかなあと漠然と思ったりしています。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/09 23:33
>郵政選挙も先の参院選も雰囲気選挙という意味ではあまり本質は変わっていないような気がします
今の現状って民主主義の危機だと思いますね。
カリスマあふれる独裁者が出たら全体主義に進みますよ。

>危機感を煽られないと変われない民族
年次改革要望書って理にかなったやり方とも言えますね。
もっとも、日米・日欧相互で出し合っていますが。

・・・個人的には中選挙区連記性がいいのではないかと思いますが。
あかさたな
2007/10/10 08:47
あかさたなさん>
>今の現状って民主主義の危機だと思いますね。カリスマあふれる独裁者が出たら全体主義に進みますよ。
この点激しく同意します。思いっきり飛躍してしまうかもしれませんが、今の状況って日本の戦前とよく似ているような気がします。米国に対抗してテロ特に反対している小沢さんを喝采している国民の姿は、国際連盟を独断で脱退した松岡外相を拍手喝采で迎えた当時の日本国民とよく似ているような気がするんですね。生活必需品のほとんどを外国からの輸入に頼っている日本は、どんなに心理的に受け入れ難いとしても外交的孤立は絶対に避けなければいけないし、今の状況で日米同盟を反故にするような行動を取ってはいけない。これこそが先の大戦の教訓のような気がするんですけどね。。。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/12 00:38
はじめまして。
慎ましく学校の校舎の建替えなどに簡保の資金が融資されていた時代が、今となると懐かしいですね。

>@ 国家予算の4倍にも上る規模(300兆円)のカネを
>A 「官僚」(大蔵省)の独断(=国会の承認を経ることなく)
  で自由に使うことができ、

反対されている人達は、この額の大きさに実感がないのかもしれません。表に出ている公共投資を「ムダ使いをなくして云々」といっても、財政投融資には、額的に敵いませんよね。
それだけ「国民」がお金持ちになったということなのでしょうけど、
そのお金を生き金にする工夫が必要ですね。
不透明なまま、焦げ付きを作るだけでなくて……
デルタ
2007/10/18 00:18
デルタさん>
コメントありがとうございます。この財投問題のカラクリが見えてくると、昨今沸き起こっている消費税引き上げ論等の増税論議は、感情的にはやや許しがたいものを感じます。民間には血のにじむようなリストラをさせておきながら、自分達(官僚)の失敗は棚に上げて、なお増税で補おうとする姿勢。そしてその官僚に対して何も抵抗できない政治家。さらに問題意識の乏しい国民。客観的に見て、やはり日本は外圧がないと動けない国なのかもしれません。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/18 22:24

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