途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 世界を読み解く3つのキーワード(その1:IT革命)

<<   作成日時 : 2007/08/08 23:06   >>

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このほんの10年余りで私達の生活環境は大きく変わりました。
政治も変わりました。暮らしも変わりました。
そして世界情勢も大きく変わりました。


それらの変化はどんな「力学」によってもたらされたのか。
またもたらされているのか。


というわけで、
今回はちょっと趣向を変えまして、無謀な試みではありますが、
その「力学」を解明してみたいと思います。


これまで個別問題を中心に取り上げてきましたが、
「木を見て森を見ず」状態にならないためにも、
また、自分の視座を再確認するためにも、
過去記事のアレンジで恐縮ですが、アップさせて頂きました。


先を読むのが非常に難しい時代だと言われておりますが、
世界全体を動かす大きな流れを掴んでおけば
複雑怪奇な世の中も、多少は読める気になれるかもしれません。


仮説ですので、是非「批判的に」読んで頂ければと思います。





<世界の政治が不安定な理由>


昨年初からこのブログを書いておりますが
(ウェブリブログに移行したのは最近ですが)、
どうも最近(といっても数年のスパンですけど)国家間の小競り合いが
頻発しているように感じられます。


いくつか例を挙げるだけでも


米国VSイラン(イラン核問題)
米国VSロシア(東欧へのミサイル防衛システム配備問題)
米国VSベネズエラ(チャベス問題)
日本VS韓国(竹島問題・靖国問題等幅広く)
日本VS中国(尖閣諸島ガス田問題)
米国VS中国(中国の軍拡問題)
イスラエルVSヒズボラ(レバノン侵攻問題)
日本VS北朝鮮(拉致問題)


などなど枚挙に暇がありません。


この中には昔から続く対立もありますが、日本と中・韓とかは比較的
最近鮮明になってきた対立現象でありますし、いずれにしても、
各国で「ナショナリズム」的雰囲気が高揚しているように感じる。


これを「ナショナリズム」と呼ぶか「パトリオリズム」と呼ぶかで
議論のあるところとは思いますが、ここでは一般的に浸透している用語である
「ナショナリズム」という言葉を便宜上使用します。


この現象の良し悪しの判断はとりあえず置いておいて、
今回は、「なぜこういう現象が発生しているのか」
という問題について考えてみたいと思います。


どうも各国の指導者を眺めてみると、傾向的に元々そういう性質を持っているのか
あるいはそうならざるを得ない状況になったのかはわかりませんが、
ポピュリスト的性質を持った人が多数いるように見受けられる。
(ブッシュ・安倍・ノムヒョン・故錦濤・アハマディネジャド・チャベス・・・。
最たる例は第二次大戦時のヒトラー)


ポピュリストの定義は色々あるようですが、
彼らの政治手法で一つ興味深いことは、

「彼らは対外・治安面では強硬姿勢を取り、内憂外患を煽ぐことで
ナショナリズムや大衆文化を鼓舞したり、
軍事力の増加を促すことがある」


ということです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88


以前から何度か指摘してきたことですが、内政がうまくいっていない政権は
国民の不満を逸らすために、対外的に強硬姿勢をとることがあります。
これは歴史的に様々な国で見られたことであり、現在でも見られる現象です。


現に今世界の主要国を見渡してみて、内政が極めてうまくいっている国が
あるでしょうか。ほとんどないですね。
米国、中国、日本、韓国、イラン、北朝鮮。
小競り合いの当事者たちはどこもうまくいっていない。


従って、政治手法が全てポピュリズム的であるかどうかはわかりませんが、
どの国も施政者自らの支持率を賭けて外に撃って出る。
そして、そういう国が多すぎるから小競り合いが耐えない。
今はそんな世の中になっているように見えます。


これは単なる偶然なのか。
それともその背景には何か大きな地殻変動が起こっているのでしょうか。





<3つの大地殻変動が起きている>


厳密に検証したわけではありませんが、
ポピュリストが出てくる土壌というのは、社会の混乱と関係がありそうです。


つまり、社会が秩序を保って安定していれば、
別に外に向かって自国を高揚する必要はないわけですが、
どうも今は世界の秩序が大転換を迎えている時期に来ているような気がする。


では、今世の中の何が変わっているのか。

ひとつは「IT革命」、
もうひとつは「経済のグローバル化・フラット化」
そして「世界の多極化」です。


ただし、これらは独立した現象ではなく密接に絡み合っている。


この3つの現象がもたらす社会の地殻変動によって、
これまで信じられていたパラダイムが、徐々にしかし確実に崩れてきている。


例えば、オープンソースの発想による従来型組織論の破壊もそう。
また企業のグローバル化によって、
国家が企業を制御できなくなっている現象もそう。
さらには、それによって付加価値の厳しい選別が起こり(グローバル比較)、
付加価値のない仕事の急速なコモディティ化が起こる。
それが労働分配率の減少をもたらしていることなどもそうでしょう。


そして、その地殻変動が人々に混乱をもたらし、政府への不満となり、
その対応に苦慮する政府が、内政ではこの不満に対応できないために
ポピュリズム化していく、という仮説は
あながち否定できないのではないかと思うのです。


この仮説が正しいとすると、このパラダイムシフトが終わるまでの間は
このような社会の混乱状態が続くということが言えます。


これは、施政者が誰になっても同じような気がします。
この国家間の小競り合いの頻発は、社会がパラダイムシフトする過程で起きる
過渡期的現象ではないかと考えられるからです。


そこでは、前置きはこのくらいにして、
これらの地殻変動が我々にもたらす影響について考察してみたいと思います。






<IT革命による従来型組織論の崩壊>


まずは「IT革命」から。


「IT革命」という単語だけでは何のことかわからないので説明が必要ですね。
この「革命」がもたらす影響について詳しく知りたい方は
この本を是非手に取ってみてください。
「目からウロコ」というか、かなりの衝撃を受けること間違い無しです。





本書で触れられている「革命」の内容は色々あるのですが、
ここでは、
「オープンソース志向による従来型組織論の破壊」
という特徴を挙げておきたいと思います。


ここから先は、この本に書いてあることではなく私の推論です。


従来の組織論においては、
大企業のように人材を一つの「箱」の中に集積するという
クローズドで強固な組織が最も効率的だと考えられてきました。


たしかにこの考え方は、これまでは十分利にかなっていた。
何か事をしでかすには「人知の結集」が必要だが、
それを結集させるために人を移動させるコストは物理的に非常に高かった。
(沖縄に住んでいる人に5分後に東京に来てといっても無理)


だから、普段から「会社」という「箱」の中に予め人を集積させておいた方が
効率が良かった。


だから、どの「箱」に属するかがその人の価値を決め、
その「箱」が強固であればあるほど、その人の社会的ステータスは高かった。


全ての人がそう思っていたかどうかはわからないが、
総体的にはそういう価値観(パラダイム)が世の中を支配していた。


しかし、「IT革命」はその物理的な移動コストを限りなくゼロに近づけた。
このことは従来の価値観にどのような影響を与えたのでしょうか。






<大企業エリート層の崩壊(「組織」から「個」へ)>


(ここから先は自分自身に対する述懐を多分に含みます)


組織が大きくなればなるほど、その組織を維持するための仕事が増える。


大企業にお勤めの方ならおわかり頂けるかと思いますが、
ご自身の会社の部署を眺めてみて、対外的に付加価値をあげている仕事を
している部署ってどのくらいあるでしょうか。


半分もあればいい方ですよね。
むしろ部署名を聞いても何をやっているのかわからないところが多いはず。
その大半は組織を維持するための組織であり、
組織を維持するための仕事であった。


しかし、それは結集した人知で成したことによって得られる見返り(利益)
に伴うやむをえないコストだと考えれば、その存在理由も十分に認められる。
つまり、「人知の結集」に伴うコストを内部化していたわけです。


ところが、「IT革命」によって
「人知の結集」に伴う物理的な移動コストが限りなくゼロになった。
高速回線と検索エンジンによって、インターネットという「個」をつなぐ
ネットワークが、社会インフラとしての地位を確立したことによる。


ということは、極論を言うとそのコストを外部化できるというわけで、
組織を維持するための組織は、極端な話いらなくなるわけです。



前回も書きましたように、段々変わる兆しを見せ始めてはいますが、
今社会的ステータスを図る上で世の中を支配している価値観というのは、

「その人が『誰』であるか」
というよりも、
「その人がどの『箱』に属しているか」

ということで価値が図られることの方が多い。
年配の方なんかは顕著にそのように見受けられる。


しかし、その立派な「箱」で暮らしている「大企業エリート層」というのは


●「没個性」が求められることが多いため個人としてのブランド力が乏しく、
●組織があまりにも細分化しているため仕事内容が外部から良くわからず、
●かつその組織でしか通用しないスキルが多いため、
●その組織にいる限り、給与・ステータスともに比較的満足いく水準だが、
●対外的なマーケットバリューはそれほど高くない


というある意味悲しい特徴を持っています。
(もちろん全員がそうではありません。
営業等現場の第一線で活躍しておられる方は
十分マーケットバリューが備わっていると思われますが。)


そういう特徴を持った人が、「IT革命」によってもたらされた
極度に開かれた世界に放り出されたらどうなるのか。
そして、その「開かれた(オープンソースの)世界」が
今後のビジネスの常識になったらどうなるのか。


当然、これまでの価値観は一気に崩れ去ってしまうわけです。


つまり、「IT革命」がもたらす究極のパラダイムシフトは、
「大企業エリート層の崩壊」なのではないでしょうか。



もちろん、この動きは一気に起こるわけではなく漸進的な変化なのでしょうが、
『組織』から『個』の時代への大きな変化が始まったと
言っていいと思います。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_10.html


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
今ランチタイムにちょっと寄ったところですが、すごいすごい!
これ、シリーズで行くんですね。

こういうふうに、現在の「歴史の暴風雨」的な世界規模での危機状況を体系的にまとめて解説しているサイトが少ないので、全体を把握したい人間にとっては、非常にありがたい内容です。

あとでゆっくり噛み締めにきます。期待してますよ!
ysbee
2007/08/09 07:07
ysbeeさん>
いつもコメントありがとうございます。エントリにも書きましたように、これ過去記事のアレンジなんで、ぶっちゃけてしまうと手抜きなんですが(笑)。けど、お役に立てて頂ければうれしいです。ysbeeさんのコメントにはいつも励まされます。人を乗せるのうまいですねえ(笑)。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/09 09:25

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