途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 「石油時代」の終わりを告げる「大御所」の決意(「Next石油時代」の主導権争いを読む:その2)

<<   作成日時 : 2008/07/08 08:43   >>

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高止まりが続く原油価格への対策を協議するために
開かれたジッダ会合を主催したのは
消費国ではなく産油国のサウジだった。
これは、サウジ自身が今の状況に危機感を抱いていることを
示すものに他ならなかった。
では、サウジの危機感とは何だったのか。


それは、

原油価格の高止まりによって、
代替エネルギーへの本格的な転換が促されること


であった。


代替エネルギーへの転換が進み、
本格的に「石油離れ」の事態が起こってしまったらどうなるのか。


それこそ、二度と戻ることのない原油価格の暴落と
二度と戻ることのない原油への需要だ。


今は一時的に爆騰の恩恵を受けているからいいものの、
これから先何十年分もの埋蔵量を誇るサウジにとって、
今の状況が長い目で見て良いはずがなかった。

【参考】世界の原油の埋蔵量、生産量、可採年数(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/pdfs/b-1.pdf


だから大増産という大盤振る舞いをしてでも、
今の異常な原油価格を何とか抑えようと躍起になったのだ。


しかし、そんなサウジの危機感をよそに
世界は大きく変わろうとしていました。



長年の沈黙を破って、
あの「大御所」が重い口を開いたのです。


そこには、石油依存からの本格的な脱却に向けての
並々ならぬ決意が込められていた。


では、その「大御所」とは一体誰のことなのでしょうか。


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<「もの言わぬ」はずの大株主が重い口を開いた>


エクソンとモービルが合併して出来たエクソンモービル。
今や時価総額世界最大の企業となったわけですが、
その起源をさかのぼれば、実はこの一族に行き当たるのです。

【参考】ExxonMobil(wiki)
http://en.wikipedia.org/wiki/ExxonMobil

エクソンモービルは、米国の石油・ガス会社であり、ジョン・D・ロックフェラーが設立した「スタンダードオイル」の継承会社である。1999年11月30日にエクソンとモービルが合併したことによって、当社は売上高世界一の会社となった(2007年度の売上高は4045億ドル)。

(Exxon Mobil Corporation or ExxonMobil (NYSE: XOM), is an American oil and gas corporation and a direct descendant of John D. Rockefeller's Standard Oil company.[3] Formed on November 30, 1999, by the merger of Exxon and Mobil, ExxonMobil is the world's largest company by revenue, at $404.5 billion for the fiscal year of 2007.)



その一族の名は「ロックフェラー」


ロックフェラー家は、エクソンモービルの前身である
「スタンダードオイル」の創業者一族であり、
世界を代表する資産家であり、
経営の第一線から去った後も、エクソンの大株主であり続けている。


「ジョン」の時代の営業戦術は
非常に「無慈悲」であると批判する向きも多かったようだが、
経営の第一線を退いてからのロックフェラー家は、
「もの言わぬ株主」としての立場を維持していた。

【参考】ジョン・ロックフェラー(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BBD%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC

ジョン・デイヴィソン・ロックフェラー・シニア(John Davison Rockefeller, Sr, 1839年7月8日 - 1937年5月23日)は、アメリカ合衆国の実業家。スタンダード・オイルを創設した。その無慈悲な営業戦術でロックフェラーは同社を世界最大の石油会社に育て、個人の資産を蓄積した。

〜(中略)〜

ロックフェラーは自らの一族に莫大な生前贈与を行い、とりわけ息子のジョン・D・ロックフェラー・ジュニアには多くを与えた。結果として一族は20世紀のアメリカで最も豊かで最も影響力を持つ一家となった。彼は1937年にフロリダ州のオーモンド海岸で死去したが、そのとき巨額の財産のごく僅かしか持っていなかった。


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そんな、「もの言わぬ」静かな株主であった
ロックフェラー家だったのですが、
今から振り返ること2ヶ月前の4月30日、
ついに長年の沈黙を破り、重い口を開いた。



そして、その重い口から出てきた言葉は、
その「重み」を感じさせるに足るだけの
実に衝撃的な内容だったのです。


では、その内容とは
一体どのようなものだったのでしょうか。








<長年の沈黙を破って出てきた衝撃的なダメ出し>


その衝撃的な内容とはズバリこれだ。

【参考】創業者ロックフェラーに代替エネルギー投資を促されたエクソン(FT)
Exxon blasted by its founding family
http://www.ft.com/cms/s/0/bef8aa8c-16da-11dd-bbfc-0000779fd2ac.html

エクソンモービルの最も古い株主であるロックフェラー一族は水曜(4/30)、世界最大の上場石油企業に対して、石油やガスから代替エネルギーにシフトする必要性の認識に欠けているとして非難した。

「我々は、巨人(エクソン)を転落から免れさせようと努力している」と、自身エコノミストでありエクソンの創業者ジョン・D・ロックフェラーのひ孫娘であるNeva Rockefeller Goodwinは述べている。「エクソンモービルは、私の曽祖父の経営理念である先を見据えた企業家精神を取り戻す必要がある」

「彼(ジョン・D・ロックフェラー)が示したように、『もし成功したければ、受け入れられた成功のぬるま湯につかるのではなく、新たな道を切り開かなければいけない。」と彼女は言う。「エクソンモービルは途上国も含めた代替エネルギーへの急速なシフトを無視した狭い視野に焦点を当てることによって、何年も前に決められた決定や投資からの短期的な利益しか得ていないのだ。」

ロックフェラー一族は、今や世界の埋蔵量の80%を支配するに至っている各国の国営石油会社と競合するために新たな方策を模索している民営石油会社であるエクソンモービルに対して「もの言わぬ株主」でいることをやめた。

ロックフェラー家は、原子力や太陽エネルギーの急襲に圧倒されており、代替エネルギーに多額の投資をすべきであると主張している。


(The Rockefeller family, the longest continuous shareholder in ExxonMobil, on Wednesday blasted the world’s biggest listed oil company for failing to recognise the need to move away from oil and gas into alternative fuels.

“We are trying to keep a giant from falling,” said Neva Rockefeller Goodwin, economist and great-granddaughter of John D. Rockefeller, the company’s founder. “ExxonMobil needs to reconnect with the forward-looking and entrepreneurial vision of my great-grandfather.”

“As he noted, ‘If you want to succeed, you should strike out on new paths, rather than travel the worn paths of accepted success’,” she said. “ExxonMobil is profiting in the short term from investments and decisions made many years ago, and by focusing on a narrow path that ignores the rapidly shifting energy landscape around the world, including developing nations.”

The Rockefeller family is abandoning its traditional behind-the-scenes role at Exxon as private energy companies of all stripes seek to find new ways to compete with state oil companies that now control more than 80 per cent of the world’s reserves.

The family said Exxon appeared haunted by previous ill-fated forays into nuclear and solar power and should be making greater investments in alternative fuels. )



長年の沈黙を破って出てきた言葉は、

「石油にばっかりかまけてないで、
代替エネルギー開発のために投資せぇ!」


という、エクソン経営陣を強烈にダメ出しする内容だった。


では、なぜロックフェラー一族は長年の沈黙を破って
経営陣を叱咤する声明を出してきたのでしょうか。


そもそも株主が投資先の経営陣を
非難するのはどんな場合なのか。


それは、投資先企業の経営がうまくいっていない時、
つまり業績が悪かったり、株価が上がらない場合であるはずだ。


では、エクソンの業績は、
長年「もの言わぬ」株主であったロックフェラーが
いちゃもんをつけないといけないくらい
ひどい状況になっていたのでしょうか。


とんでもない!!
エクソンの業績は悪くなっているどころか、
昨今の原油高の影響で過去最高益を更新している。


【参考】エクソン、シェル最高益 07年、石油メジャー決算(共同:08/02/05)
http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008020501000818.html
【参考】Exxon Mobil Corp: Financial Statement(MSNMoney)
http://moneycentral.msn.com/investor/invsub/results/statemnt.aspx?Symbol=XOM

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そして、サブプライム問題で株式市場全体が
大混乱に陥っているにも関わらず、
株価の方も堅調に推移している。

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こうして見ると、エクソンの状況は、
いちゃもんをつけないといけない状態なんかではなく、
むしろ絶好調と言っていいくらいだ。


そんな絶好調の企業に対して
ロックフェラーはいちゃもんをつけてきた。



普段から「物言う株主」としてやかましい存在ならまだしも、
長年の間「もの言わぬ株主」として鳴りを潜めており、
過去2回のオイルショックの際も
経営に口出しすることがなかったはずのロックフェラーが、
業績絶好調のタイミングで重い口を開いた。


普通に考えればこれはちょっと「ヘン」だ。


なぜ、ロックフェラーはこのタイミングで
経営にいちゃもんをつけてきたのでしょうか。








<「石油時代」の終わりを断言するロックフェラーの決意>


今般の原油価格の上昇は、その影響の凄まじさから、
「第3次石油危機」とも言われている。

【参考】「第3次石油危機」到来か 08年のIEA見通し(共同:08/06/12)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061201000678.html

最近の原油価格急騰の影響で、世界全体の国内総生産(GDP)総額に対する原油購入費の割合が上昇し、2008年は第2次石油危機時の水準に迫る見通しであることが12日、国際エネルギー機関(IEA)の試算で分かった。IEAの田中伸男事務局長は「世界は第3次石油危機と言える」と懸念を表明、産油国の生産力増強などが必要との考えを示した。



かつて世界は2度のオイルショックを経験した。


しかし、それによって石油への依存度は確かに低下したが、
石油がエネルギー供給源の
大きな割合を占める構図は変わらなかった。

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なぜか。
それはショックが長続きせず、
供給過剰によって、
結局原油価格が暴落してしまったからだ。


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価格が下がって、石油が安価で安定的に供給されるならば、
高くて採算の合わない代替エネルギーを開発する気運が失せ、
安くて豊富な石油に回帰するのは、
経済合理性から考えて自然な姿だ。


逆に言うと、
代替エネルギーへの本格的な転換が起こるためには、
原油価格高止まりの状況が
今後も続く必要があるということが言える。



では、今回の「ショック」の結末はどうなるのだろうか。
過去の経験則通り、供給過剰の状況になれば、
原油価格は暴落するのだろうか。


いや、ロックフェラー一族はそう考えてはいないようだ。


なぜなら、普段「もの言わぬ株主」である彼らが、
業績好調・株価も堅調で何の申し分もないはずの
エクソン経営陣にダメ出しをしたのは、

彼らが、

「早晩『石油時代』が終わりを告げ、
代替エネルギー中心の
『Next石油時代』が始まる。」


つまり、

「時代の大きなパラダイムシフトが
皆が思っている以上に早く起こる」


ということを断言したことに他ならないからだ。


それは、即ち

「代替エネルギーへの転換が進むまでは
原油価格が暴落することはあり得ない」


ということを断言したに等しかった。


では、なぜ
彼らはそんなことを断言することができるのだろうか。



たしかに、今需要に対する供給は十分満たされているのに、
また、サウジが度重なる増産表明をしているのにも関わらず、
原油価格は一向に下がる気配を見せていない。

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なぜだ??
需要と供給の関係で価格が決まるというのであれば、
現物の需給が緩んでいるというのに、
なぜ原油価格は下がる気配を見せないのか。



このナゾを解くカギは一体どこにあるのだろうか。


実は、今回の「第3次」のショックの局面は、
過去2回の「ショック」の時と比べて
決定的に違う点があった。


そして、それこそが、
現在の原油価格高騰のナゾを解くカギとなるのですが、
それは一体何だったのでしょうか。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200807/article_3.html


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よく考えよう
2008/07/08 15:09

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
つまり我々は現代の産業革命、即ちエネルギー革命が起きている現場を目の当たりにしている訳ですね。
まぁ昔から革命に流血沙汰はつきものですから近頃、後進国で資源高に対する暴動が頻発してるのもその嚆矢であるのでしょう。
ただイデオロギー的な革命とは異なりエネルギーの革命は比較的緩やかに且つ段階的に進むのではないかと無知蒙昧な輩としては夢想したりしています。
ニートネスニート
2008/07/11 04:27
ニートネスニートさん>
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、今回のストーリーは「エネルギー革命が起こる」という仮説に立っております。エネルギー革命が起こるための大事な論点としては、「変えなければいけない」という危機感の醸成という問題があると思います。この危機感が醸成されるためには、「今のままではもう本当にだめなのだ」ということを世界中が認識する必要があって、「しばらく我慢すればいずれ原油価格が下がって何とかなる」という状況を否定する必要があるということです。その危機感が今段階的に醸成されている過程なんだと思います。そういう意味では、おっしゃるようにこの革命は段階的に進んでいると見ております(これは次回以降論じますが、この革命は3年前から既に始まっています)。
新快速 播州赤穂行き
2008/07/13 09:15

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