途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 見えてきた「中国包囲網」の本質(五輪開催に向けて仕掛けられた中国包囲網:その9)

<<   作成日時 : 2008/05/29 08:00   >>

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未曾有の被害をもたらした四川・チベット大地震。
中国の山奥深くで発生した地震にも関わらず、
何と米国は、中国当局よりもその内容を完璧に把握していた。
この驚愕の事実は、米国が中国の奥深くまでの潜入に
成功していることを示すものだった。


また、度重なるスパイ工作やハッキングに
手を焼いているように見えたが、
何のことはない、それらはしっかり「バレて」いたのだ。
逆に米国や英国のスパイが捕まったり、
ハッキングが「バレた」という話は聞いたことがない。


実は、世間が抱いている感覚とは裏腹に、
「人民解放軍」の諜報能力というものは
それほど高くないのではないだろうか。



「中国の脅威」が声高に叫ばれているが、
これといった実戦経験のない「人民解放軍」というのは、
二度の対戦を潜り抜け、豊富な実戦経験を持つ
米軍(CIA)や英軍(MI5)なんかとは比べ物にならないくらい
脆弱な組織だったりするのではないだろうか。


それを証拠に、「不透明性」に懸念を抱いていながら、
米国は中国のベールを次々に明るみにしている。


実は、先の「包囲網」と合わせて、
もはや米国は中国を「制御」できる体制を
構築しつつあるのではないだろうか。


つまり、米国にとって中国の「脅威」とは
「『制御できる』脅威」になったのではないだろうか。



これをもって「中国包囲網」は完璧に完成したのだ。


では、「包囲網」完成させた米国は
中国をどうするつもりなのか。
米国は、このまま一気に共産党政権を
「崩壊」させるつもりなのでしょうか。
(今回は若干「くどい」展開かもしれません。
なので退屈になったらごめんなさい。予めお詫びしておきますm(__)m)



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<包囲網を形成しつつも中国の未来にコミットする>


先月11日に発表されたGEの決算。
その内容の悪さから、「GEショック」とまで揶揄されましたが、
翌週の月曜日(14日)、実は会社側からこんな発表がなされていたのです。

【参考】GE、中国に2兆円投資(FT:2008/4/15)
GE to invest $2bn in China
http://www.ft.com/cms/s/0/d3c94a62-0b12-11dd-8ccf-0000779fd2ac.html

先週(11日)金融部門において過去5年で最悪の決算を発表し、投資家に衝撃を与えた世界最大のコングロマリットであるGEは、中国でM&A遂行のために、20人の「自前のインベストメントバンカー」からなるチームの採用を試みている。

「もし、今後3年間で2兆円の投資が出来なければ、私は失望するだろう」。GEの中国部門の責任者であるSteve BertaminiはFTとのインタビューで述べた。

このM&Aや合弁を含む積極的な投資計画は、本国が景気後退で見舞われている中、(成長著しい)中国での事業を急拡大させるGEの強い決意があらわれている。

(The world’s biggest industrial company, which stunned investors last week when it announced its worst quarter of financial results in five years, is looking to hire a team of 20 “in-house investment bankers” to conduct the deals in China.

“If we do not invest $2bn over the next three years, I would be disappointed,” said Steve Bertamini, chairman of GE’s greater China operations, in an interview with the Financial Times.

The aggressive investment plans, which will include acquisitions and joint ventures, underline GE’s intention to expand its China business rapidly at a time when its domestic operations face a slowing US economy.)



なんと、米国を代表する大企業であるGEが、
これから中国に2兆円も投資しようというのだ。



しかも、この動きはGEだけではなかった。
世界最大の自動車メーカーであるGMまでもが、
これから中国に大々的に進出しようとしていた。

【参考】米GM、中国販売3年で5割増・燃料研究拠点も開設(日経:2008/4/20)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080420AT1D1900I19042008.html

米ゼネラル・モーターズ(GM)は19日、中国での販売台数を3年間で50万台増やし年間150万台とする計画を明らかにした。同日には北京に代替エネルギーなど自動車燃料の研究拠点も開設。「世界第二の市場である中国など成長市場での優位を生かす」(リチャード・ワゴナー会長)戦略を鮮明にしている。



米国だけではない。
日本企業もまた、これからまだ中国に進出しようとしているのだ。

【参考】ヤマダ電機、中国に進出(日経:2008/5/11)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080511AT2F0202610052008.html
【参考】三菱商事、中国で電極合弁生産・アルミ精錬用(2008/5/11)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080511AT1D0706010052008.html


これは一体どういうことなのか。


さらに今月初め、プーチンの後継として
正式にロシアの大統領に就任したメドベージェフ。
彼が最初に選んだ外遊先はなんと「中国」だった。

【参考】露中の結束アピール メドベージェフ大統領訪中へ(産経:2008/5/21)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080524/chn0805242146010-n1.htm

報道によると、メドベージェフ大統領は23日に中国入り。胡錦濤中国国家主席と会談して「友好と戦略的パートナーシップ」を再確認する政治宣言に署名する見通し。また、経済・貿易関係の発展や、ロシアが中国で進める原子力発電所の建設協力についても、新たな合意に達するとみられている。



なんということだ。
ロシアは「中国包囲網」に参画していたのではないのか。
この蜜月ぶりのアピールは一体どういうことなのか。

【参考】中国との協力発展に尽力 露大統領、米に対抗姿勢(産経:2008/5/24)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080524/chn0805242146010-n1.htm

中国を訪問しているロシアのメドベージェフ大統領は24日、北京大学で講演し、中ロの戦略的協力関係について「すべての国が快く思っているわけではないが、両国民の利益になる」とした上で、「関係発展に力を尽くしていく」と言明した。


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「包囲」した国に対する態度としては
ちょっと「ヘン」ではないか。



しかし、これまで見てきたように
「中国包囲網」はしっかりと築かれているはずだ。

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「包囲網」を築いておきながら、
未来の中国にコミットしようとする各国の対応。

この一見矛盾しているように見える様は、
一体どう解釈すればいいのでしょうか。


読書はあなたの人生の可能性を飛躍的に広げてくれます。








<共産党政権を崩壊させるつもりはない>


やや話がくどくなるかもしれませんが、
ここで、少し前の回を思い出して頂きたいと思います。

【参考】ケ小平の放った奇策がもたらした米国の変化
http://keyboo.at.webry.info/200805/article_3.html


ここで何を思い出して頂きたいのか。
それは「米国の中国に対する基本スタンス」です。
では、その「基本スタンス」とはどういうものだったのか。


それは、米国は中国と対峙するにあたっては、

ソ連のように敵対することによって
「崩壊させる」のではなく、

同じゲームのルールに取り込むことによって
「制御する」ことを選んだ


ということでしたよね。


そして、ケ小平から江沢民になって
「Uncontrollable」になりそうになったから、
米国は内から外から「包囲網」を形成していった。
そして、その「包囲網」は見事に機能した。


その結果、
再び中国は米国にとって
「Controllable」な存在になったのだ。



「Controllable」な存在であり続ける限りにおいては、
中国という国と敵対する必要はない。


むしろ「友好」関係を築き、
経済発展してくれるほうが望ましいという、
当初のスタンスを継続できる状況となったのだ。


つまり、ここからわかることは、

「包囲網」を築いたとは言うものの、
米国が中国共産党を「崩壊させる」つもりは
メインシナリオとしては持っていない


ということだ。


「制御」することさえできれば、
むしろ、中国共産党は与しやすい相手だと考えているのではないか。
それは、ロックフェラーが3極委員会に中国を招聘したことからも伺える。

【参考】日米欧の「三極委員会」に中印が参加へ(iza:2007/5/10)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/143916/

日米欧の知的交流の場として米国の大富豪デビッド・ロックフェラー氏が創設し、世界の進路にも影響を与えてきたとされる三極委員会(旧日米欧委員会=トライラテラル・コミッション)が、早ければ来年の東京会合から、中国、インドの参加を認める方針を決めた。


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米国は、共産党政権が崩壊して
中国で政権転覆が起こることなど
微塵も望んでいないのだ。



そんなことが起これば中国全体が大混乱に陥り、
これまで自分たちがコミットしてきたものが
全て「パー」になるからだ。


そして、「包囲網」形成に参画した他の各国も
同じ「思い」を持っているのではないだろうか。
だから、未だに中国にコミットする動きを見せているのだ。


では、この「中国包囲網」というのは
一体何だったのでしょうか。


「知識」を獲得して差をつけますか?それとも回り道しますか?さあ、あなたの可能性を無限に広げる「知」の世界へGO!







<見えてきた「中国包囲網」の本質>


最近は中にしても外にしても、
「政治」の動きがわかりにくくなっていると
お感じになられている方は少なくないと思います。
(私もその一人です)


東西冷戦真っ只中の時代であれば、
「ソ連側」・「米国側」で陣営がはっきりと分かれていたために
その関係は非常にわかりやすかった。
つまり、「共産主義陣営」か「資本主義陣営」かで
色がはっきりと分かれていたんですね。


しかし、ある時を境に一気にややこしくなった。


それが以前ご紹介した「米中国交正常化」だったのではないかと
私は考えているのです。


あれは反目しあっているはずの共産主義陣営と
資本主義陣営同士が手を結んだという画期的事件でした。


しかし、その実は「共産主義」という
イデオロギーを捨てた中国が、
「実利」のために米国と手を結んだ
というのが実態だったのだ。


【参考】電撃的米中国交正常化のナゾを解く
http://keyboo.at.webry.info/200805/article_2.html


つまり、あの瞬間から世界の外交のパラダイムが

「イデオロギー的発想の外交」

から

「投資家的発想の外交」

へとシフトした


のではないだろうか。


「投資家的発想の外交」とは、
使えるところはお互い使っていくという発想だ。

だから、2カ国関係が完全に白黒はっきりすることは少ない。
「戦略的」提携が増えているのはその表れではないだろうか。


だから今回メドベージェフが
真っ先に北京に行ったこともなんら驚かない。
ロシアにとって中国の使い道はまだ十分にあるのだ。
それは米国にとっても日本にとってもインドにとっても同じだ。


従って、

皆が中国の敵に回り始めたわけではなくて、
中国の暴走に対する「保険」をかけ始めた


という方が、「包囲網」と言うよりも
表現としては正確なのかもしれない。


そして、それを米国が取りまとめた。
そんな構図のように見える。
みんな中国の「崩壊」を目的としているわけではない。


これは中国の暴走に対する「ヘッジ」なのだ。


「Controllableな状況」にある限り、
政治の自由化はどうでもよい。
自分たちがビジネスしやすい環境を整えてくれればそれでよい。
「民主化」による混乱がもたらされるくらいであれば、
政治的にはむしろ「StatusQuo」の方が望ましい。


なので、今回の「仕掛け」で
本気で民主化まで行かせようと考えている可能性は
さらさらなさそうだ。


だから、この「中国包囲網」が
「中国民主化」の発火装置になるという
期待を抱いている人がいるとすれば、
残念ながら、その望みは断ち切られる公算が高い。



「中国包囲網」は、
共産党政権の恩恵を受けていない
「おいしい思いをしていない層」を助けてはくれないのだ。
なぜなら、それは彼らの目指す
「制御」の範囲外のことだからだ。


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【参考】中国内部が抱える対立構造
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_19.html


では、この「おいしい思いをしていない層」は
どうやったら救われるのか。
中国で政権転覆が起こるための条件とは
一体何なのでしょうか。


(今回はくどくてすいませんでした。次回で本当に中国ネタは終わります)
http://keyboo.at.webry.info/200806/article_1.html

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは〜

くどくても私は一向に構いません。 じわじわ先に進むのもイイです(^^)。

ヘッジや保険でも包囲している国々が相手にしてるのは,政府か富裕層がメインでしょうから,大勢の「救われない,見捨てられた層」との内部対立まで "controllable" だと,自信を持ってるってことでしょうか? 次のエントリも益々楽しみになってきました。
umejum
2008/05/29 12:48
最終回までもうすぐですね。
でも、中国が制御可能になったなんて思う人が、アメリカの要人にいれば、それは非常にお花畑だと思いますよ。
タカダ
2008/05/29 18:58
どうも、地震ではどんどんボロが出ているようですね。
ネットでも批判をコントロールし切れていないと聞きます。こういった状況に加えて、地震で加速するインフレ、それらを抑える為に引き締めを行った犠牲として起きる株・不動産の下落は相互にUncontrollableにしているのではないでしょうかね。
Fouch
2008/05/30 00:01
umejumさん>
コメントありがとうございます。

>大勢の「救われない,見捨てられた層」との内部対立まで "controllable" だと,自信を持ってるってことでしょうか? 

さすが、鋭いですねえ〜。まさにこの点が最後のポイントになると私も考えております。ここでオチを書いてしまうとネタバレになってしまいますので、詳細はこの後のエントリーをご覧頂ければと思います。キーイベントはやはり「四川大地震」ではないかと見ております。楽しみにして頂いてありがとうございます。
新快速 播州赤穂行き
2008/06/01 21:05
タカダさん>
コメントありがとうございます。この後の展開があるので、オブラートにしか申し上げられませんが、「お花畑」というよりは「わかってはいるけど、どうにも出来ない」というところが本音なんだろうとは思いますけどね。それが「何か」については、もし今後もご興味お持ち頂けるのであれば、この後のエントリーでご確認頂ければと思います。
新快速 播州赤穂行き
2008/06/01 21:09
Fouchさん>
コメントありがとうございます。

>地震で加速するインフレ、それらを抑える為に引き締めを行った犠牲として起きる株・不動産の下落は相互にUncontrollableにしているのではないでしょうかね。

こうした懸念はあると思います。ただ、今の中国の状況を考えた場合、資産価格の下落と生活必需品のインフレとどちらが怖いかと言えば当然後者になりますので(「持てる人」がまだ少ないというのもある)、インフレの沈静化にまず努めることになるのでしょう。

あと、今般の四川大地震は思った以上に中国にインパクトをもたらしているようですね。ボロが出ているというよりは、米軍の支援を受けてまでも、なぜ当局があそこまで救援活動に躍起になっているのかという理由を考えたときに(はじめは全然やる気がなかったのに)、中国社会でこれまでになかった変化が起こっている可能性があることが見えてきました。詳細はこの後のエントリーで書かせて頂きますが、もしかしたら誰も「制御できない」とんでもないシナリオが待っているかもしれません。
新快速 播州赤穂行き
2008/06/01 21:16

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