途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 米国の有するもう一つのイノベーションシステム(サブプライム問題で明らかになった米国の事情:その2)

<<   作成日時 : 2008/04/15 22:15   >>

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「時価会計」の問題点を提起したバーナンキ発言は、
自分たちが作ったルールを変えないといけないほどにまで、
米国の「金融」が追い込まれていることを示唆したものだった。


「金融」は米国の基幹産業である。
その基幹産業である「金融」がボロボロになったという事実が
米国に与えるインパクトたるや尋常なものではなく、
この問題に国策として対応せざるを得なくなっているのだ。


では、「金融」の崩壊が米国にもたらした
インパクトとは、どのようなものだったのでしょうか。


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<米国発展の原動力:「アメリカン・ドリーム」>


「アメリカン・ドリーム」という言葉に象徴されるように、
成功を夢見る人々が向かう場所として
「米国」という存在が真っ先に思い浮かぶ人も
未だに多いと思います。


日本のプロ野球選手がこぞって大リーグに移籍するのも
その現象の一環であると見て取れる。


「米国に行けば、ビッグになれるかもしれない」
そういう夢と希望を抱いた多くの人々を吸収してきた米国。


もちろん全ての人が成功したわけではなく、
失敗し、挫折した人の方が多かったであろう。


しかし、米国という国は多くの人に
他の国では得られない「チャンス」を提供してきた。

これは紛れもない事実である。
だから、あれだけ世界中から人が集まってきたのだ。


成功を夢見る意欲ある人々が
米国という土地で「チャンス」を与えられ、
次々と新しいものを創造してきた。


この活力ある「イノベーション」こそが
米国発展の原動力となったのだ。



では、なぜ米国は
他の国では得られない「チャンス」を提供できたのでしょうか。


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<「金融」と「イノベーション」は車の両輪>


それは、
「金融」という機能が見事に発達していたからです。


企業であれ、国家であれ、
成長を続けていくためには「イノベーション」が必要である。
そのイノベーションをどうやって創造していくのか、
その仕組みづくりは非常に重要である。


「イノベーション」とは文字通り、新しいものを「創造する」ことです。
モノを作るにしろ、事業を起こすにしろ、
新しいことをするには当然「カネ」が要ります。


その「カネ」を自前で持っていればいいのですが、
事業を起こそうという人で、初めからそんな余裕のある人は少ないので、
外から工面する必要が生じる。


しかし、新しいことというのは成功する確率が低い。
つまり、リスクが高いのが多いわけです。
しかも、どこの馬の骨かもわからないから信用もない。
だから、そう簡単に「カネ」が工面できるわけではない。


実は、ここに「金融」というものの存在意義が見出せるわけです。

【参考】金融(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%9E%8D

金融は金銭の融通を意味する。様々な経済活動の結果、資金が不足する者と資金が余る者とが発生するが、その両者を結び、資金が必要とされるところへ配分させる機能がある。



リスクの高い新しいことにも、
それに心意気を感じて「カネ」を出してくれる人が出てくれば、
そこに新しい「チャンス」が生まれることになる。
この仕組みが米国には見事に備わっていたのです。


つまり、

米国とは「金融」と「イノベーション」
という車の両輪が非常に効率よく回る社会


なのです。

(注)
しかし、それは「高レバレッジ社会」と表裏一体の面があるので、
行き過ぎてしまうと、今般のサブプライムのような問題を
引き起こしてしまう側面はありますが。



リスクを取って果敢に挑戦する人がいて、
その人の挑戦を後押しするリスクマネーが潤沢に供給される。
だから「イノベーション」がより促進される。
これこそが、米国の競争力の源泉だったのです。



(注)
日本で「イノベーション」が発達しないのは、
「カネ」はあるけど、リスクマネーの供給体制が整っていないからである。



しかし、今般のサブプライム問題で
両輪の一端を担う「金融」がボロボロになってしまった。


従って、「金融が崩壊」してしまった米国は、
必然的に「イノベーションの崩壊」
を招いてしまったというわけなのです。
これは米国にとって、とんでもないインパクトです。


では、米国にはもうなす術はないのでしょうか。


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<米国の有するもう一つの「イノベーションシステム」>


いや、そんなタダで転ぶような国ではありません。


実は、米国には「イノベーション」を促進するための
もう一つの仕組みが存在したのです。


そう、それは「軍需」です。


では、本当に「軍需産業」は米国の基幹産業なのか。
この疑問にまず答える必要がありそうです。


「軍産共同体」が米国政治を操っており、
だから米国はしょっちゅう戦争を引き起こすという論があります。
私もそういう側面はないとは言い切れないと思う。

【参考】軍産複合体(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93


しかし、それだけ言ってしまうと「陰謀論」めいてしまうので、
もう少し経済的視点から見てみたい。
それは「ナショナルイノベーションシステム」としての
「軍需産業」という発想です。


【参考】米国における軍民両用技術開発プロジェクトの分析(立命館大学非常勤講師 松村博行氏)
http://taweb.aichi-u.ac.jp/kurihara/jsie9bb.pdf

米国のイノベーション・システムの特徴の一つに、巨大な軍事研究開発セクターの存在がある。これはとりわけ冷戦期のイノベーション・システムで顕著であったが、今日においても連邦政府による研究開発支出の約59%(FY2006)、そして全米の研究開発支出に対しては約22%(FY2004)という高い水準を維持している。それゆえ、米国のイノベーション・システムを論じる際には、繰り返しになるが、軍事研究開発の存在や影響をどのように把握するのかが重要になると考えられる。

〜(中略)〜

軍事研究開発からのスピン・オフの事例として、ジェットエンジン、航空工学、原子力発電、人工衛星、NC 工作機、コンピュータ、レーザー、インターネット、そして暗号化技術など枚挙に暇がない。



「軍需産業」が経済規模の点で
「基幹産業」であるかについては、
正直結論は出ないと思いますし、
そのことで議論してもあまり意味がないのではないかと思います。


それよりも、

「軍需産業」の持つ技術力と
民間への波及効果(イノベーション)と
それに伴う国際競争力を有するという点で
「基幹産業」であるといえるのではないでしょうか。



よく日本との対比で、
米国には「ものづくりの技術がない」といわれることがありますが、
その認識は必ずしも正しくないのではないかと思います。


「軍需産業」に見られるように、
世界最高の技術を持っているのは
実は米国なのかもしれないからです。


そして、この「軍需産業」の存在が、
米国の危機を脱する切り札として使われようとしていたのです。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200804/article_5.html

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