途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 外資に怯える必要が本当にあるのか(外資排斥論は本当に正しいのか:最終回)

<<   作成日時 : 2008/03/06 12:45   >>

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「規制」はそれによって保護される者の利益を守る
という意味で「再配分機能」の役割を果たすものだった。
社会全体の効用を高めるという観点からは、
「再配分」つまり「政府の関与」は必要なのだが、
その担い手である「政治家・官僚」が全く信頼に足らず、
彼らに任せておくことができない状況が今の日本である。
これこそが根本的な問題点なのだ。


従って、この問題に目を向けることをせずに、
「外資」や「新興勢力」を排斥しようとする行動は、
本当に正しいとは言えない。


それは単に「既得権益」を守りたいがための
議論のすり替えに過ぎないのだ。
ここに「デジャブ」感がもたらされる所以があるのです。

【参考】 問題解決のための2つの処方箋(格差問題はどう考えればいいのか:最終回)
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_11.html


しかし、もう一つ考えるべきことが残っている。


それは、

私たちは「外資」と、引いては「外国」と
どのように接していけばいいのか。


という問題です。


シリーズの締めくくりとして、
この点を考察しておきたいと思います。



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<「貿易」で生活が成り立つ日本の立場>


この問題を考えるにあたっては、
まず、私たちの立場を再確認しておかなくてはいけない。


それは、私たちの生活がどのようにして
成り立っているのかという点です。



私たちがこんなに物質的に豊かな生活が送れているのは
何のおかげでなのでしょうか。


エネルギー資源も農産物も乏しい日本で、
スタバのコーヒーを飲みながらネットサーフィンが出来たり、
世界中の食材に舌鼓してグルメな気分が味わえたり、
停電に悩まなくて済むのは何のおかげなのでしょうか。


それは紛れもなく「貿易」のおかげですよね。
外国が日本に足りないモノを売ってくれるからこそ、
私たちの豊かな生活が成り立っているわけです。


私たちのこの「立場」を忘れてはいけません。


従って、今の豊かな生活を今後も享受したいのなら、
資源が乏しく、生活必需品の大半を
海外からの輸入で賄っている日本という国は、
外国と対峙していかなければならないのです。



感情的に受け入れられないことがあっても、
うまく付き合っていかなくてはいけないのです。


だから、「鎖国政策」は絶対にいけない。
「国民の生命と財産を守る」ことが「国益を守る」
ということなのであれば、
「外資」を殊更排斥するような政策は、
それこそ最も国益に反する行為ではないでしょうか。

【参考】日本にとって最大の安全保障は何か
http://keyboo.at.webry.info/200707/article_10.html

最後に「魅力的な投資機会の提供」。


前回の記事で、グローバルに活動する企業家や投資家が
政治家のパトロンとなって、外交政策や地政学的動向に
大きな影響を与えていると述べました。

【参考】「2010年憲法改正」の意図は何か(日米安保シミュレーション:その4)
http://keyboo.at.webry.info/200707/article_8.html


もし日本が彼らに魅力的な投資機会を提供し、
海外から投資資金が流入してくれば(固定資産であればなお望ましい)、
当然彼らにとっては日本が戦争状態になってくれるのは
望ましくなくなるわけですから、それだけ日本の安全性は高まる
と考えられるのではないでしょうか。


日本の味方になってくれる人が増え、
かつ日本が戦争状態になることによって困る人が増えること、
つまり、世界的なネットワークを構築し、
日本と利害関係でつながっている人を増やすことが、
実は最大の安全保障対策になるのではないか。



それなのに、
世間では「外資」に対する脅威を叫ぶ声が依然多い。


では、私たちは本当に「外資」に
怯え続けなければいけないのでしょうか。









<私たちが持っているもの凄い「力」>


私たちが「外資」を怯えなければならない
理由があるとすれば何か。


それは、
私たちに「外資」に対抗できるだけの「力」がない場合です。
では、私たちにその「力」は本当にないのでしょうか。


とんでもない。そんなことは全くないですね。

【参考】国際比較:個人金融資産1,400兆円(日銀)
http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku/exphikaku.htm

図表1は各国の個人金融資産残高の総額と、国民 1人当たりの残高(いずれも円貨換算ベース)を示したものです。これによると、日本は残高の総額、国民 1人当たりの残高ともに米国に次いで 5か国中第 2位となっています。


画像



既に様々な場面で言及されていることですが、
日本の個人金融資産は1400兆円「も」あるのです。


その規模は
日本のGDPの約3倍、国家予算の約17.5倍。


米国のそれと比較しても
GDP比で約1.4倍、国家予算比で約5倍。

そんじょそこらの規模じゃないですよね。

【参考】「アメリカの国家予算」の規模っていくらだっけ?(ランキンレビュー)
http://r25.jp/magazine/ranking_review/10005000/1112007030804.html


さらに、その莫大な資産の大半は預貯金に眠っている。
株をしこたま買ってお腹一杯の状態ではない。
つまり、めちゃめちゃ余力を持っているのです。


それなのに、
私たちは何を怯える必要があるのでしょうか。









<外資に怯える必要が本当にあるのか>


たしかに「外資」の脅威というのはあるのでしょう。
「自由」な世界で「競争」がある限り、
「負かされる」という脅威は常に存在するものだからです。


では、私たちはその脅威に怯え、
彼らを排除し、
自分の殻に縮こまることが答えなのでしょうか。


それは明らかに違いますよね。
我々は外に打って出るべきだし、
それだけの「力」を持っている。



「力」を持っているにも関わらず、
勝負を受けて立ってリングに上がろうともせずに、
周りのせいにして自分の殻に閉じこもるのは、
被害者妄想でしかないし、怠慢以外の何ものでもない。


日本を外資の脅威から守りたいのであれば、
「外資排斥」を叫ぶ前に自分たちで株を買えば良い。
それが真の愛国行動ってものではないですか。


私たち自身も時代の変化に応じて
変わらなければいけないのです。

そして、私たちは適応できる力を持っている。
それは歴史が証明しているではありませんか。

【参考】日本の社会経済文化のルーツ(碓氷 尊 星槎大学教授)
http://homepage2.nifty.com/mikus/sub2aCCBJapanintheworld.pdf


というわけで、最後に
この私の気持ちを見事に代弁してくれている記事を
ご紹介させて頂いて、
今回のシリーズの幕を下ろしたいと思います。


最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。


【参考】相も変らぬハゲタカ嫌い(三原淳雄の言いたい放題)
http://www.mihara-atsuo.com/keyword/back/20070219.html

日本の外資アレルギーはいつになったら変わるのだろうか。外国ファンドのスティールがサッポロにTOBを提案したら、またもバケツをひっくり返したようなハゲタカ騒ぎ。ワイドショーなどのコメンテーターなどメディアもひどいもので、いまにも日本中の企業が外資に乗っ取られる、大変な時代になったとあたかも国が潰れるような論調で叫んでいるが、もういい加減被害者意識を振り回すのは止めたらどうだ。

〜(中略)〜

問題は日本の投資家、つまり株主である。本当にサッポロが好きで株主になったのなら、たとえTOBをかけられようと自分たちの持ち株を売らなければTOBなど成立するはずはないし、だいいちTOBが可能なレベルまで既に株を売った連中が沢山いたのではないか。自ら株を売り払っておいて外資に買われ、そしてTOBはハゲタカの仕業なんて騒ぐのはどこか筋が違っているのではないのか。

〜(中略)〜

株価が高くなればすぐ売るようなトレーダーばかりだと、早晩日本企業の多くは外資の傘下に入ることになるのは自明の理である。だからといって外資が悪いわけでもない。きちんと雇用を生み企業の価値を高めてくれれば、それはそれで大変結構ではないか。日の丸を揚げず、国歌も唱わず、それでいてただハゲタカは怪しからんでは一体何を基準にしているのか、日本そのもののアイデンティティが疑われるだろう。そんなに日本の企業が大切なら自ら株主になって、たとえどんなに高値を提示されても、それでも自分はこの会社が好きだ、だから売らないという気概をもってから、きちんとしたコメントを出すのがメディアやコメンテーターの責務だろう。


(おわり)


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(ご参考)

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
 金融資産の内訳は、預貯金、株式、投資信託、年金、生命保険ですが、株式以外は国債と地方債として道路、橋、ダムに成ってしまっているのではないですか。
八目山人
2008/03/06 23:46
こんばんは。しばらくでした。このシリーズも素晴らしいですね。

実は以前コメントいただいた件に関する返答としてのシリーズエントリーを明日から拙ブログにて始める予定なのですが、このシリーズとほとんど同じような点を見ているように思いました。

あまりいうとネタばれになりますので、このあたりにしますが、ご紹介いただいている「日本の社会経済文化のルーツ」の内容には大いに賛同いたします。
日比野
2008/03/07 00:59
八目山人さん>
コメントありがとうございます。郵貯・簡保の7割、預金の1割5分、民間生保の4割弱ほどが、国内債券(一般社債含む)に配分されているようですので、全部というわけではありませんが、諸外国と比して結構な割合の資金がお上に吸い取られているということは言えるのでしょうね。
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_12.html
新快速 播州赤穂行き
2008/03/07 09:01
日比野さん>
いつもTB・コメントありがとうございます。あとブログアワードお疲れ様でした。カテゴリーのチャンピオンだけじゃなくて、審査員特別賞とか、もう少し表彰される人が多い仕組みでもよかったのかなという気もしましたが、非常に楽しそうな様子で私も来年はみなさんの仲間入りができるよう頑張ろうという気にさせてもらいました。さて、ネタばれに寄与してしまうと申し訳ないので今はコメントを控えておきますが、新シリーズの方楽しみにしております。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/07 09:19
どうもです。
外資導入=乗っ取られる のか
資産を保有させることで何らかのメリットを得るのか、情報の整理がないのでしょうね。
>「外資排斥」を叫ぶ前に自分たちで株を買えば良い。
>それが真の愛国行動ってものではないですか

私なんか10倍になっても半分になっても持っています。単に下手糞なだけですが、日本企業の開発力がたまらなく好きですね。
みなさん、凄いエントリーしています。脱帽です。
SAKAKI
2008/03/07 17:28
SAKAKIさん、おひさです。コメントありがとうございます。

>外資導入=乗っ取られる のか
>資産を保有させることで何らかのメリットを得るのか、情報の整理がないのでしょうね。

まさにおっしゃる通りだと思います。私は個別株は苦手なのでノーロードのインデックスファンドを微量ながら毎週シコシコ買い増しております。悲観の極みは絶好の買い場だと自分に言い聞かせながら(笑)。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/07 21:15
こんにちは、初めて読ませていただきました。

理論としてはおっしゃることはわかります。
ただ、現実問題として、日本は下記の問題に立たされていると思います。

・海外格付け機関による、不当な株安誘導(とくに銀行)
・日本の高度な技術の流出(資源のない日本の唯一の強みが失われます)
・資産売却等による強引な配当の請求
・経団連等を使った不当な為替介入圧力の行使

これらによって、日本は大変痛い思いをしました。
それぞれの企業に対策が足りなかったのも事実ではありますが。

以上のことを考えるに、日本はこれから内向きの方向に行くのは当然のことと思いますし、それであれば支持します。

このように考えますが、いかがでしょうか?

かぎお
2008/03/22 16:06
かぎおさん>

コメントありがとうございます。この「外資」の問題はそれぞれの思想信条や立場による利害の違いもあって、なかなか客観的な立場から最適解を見つけるのが難しいテーマだと思います。かぎおさんのようなご意見をお持ちの方もたくさんおられるでしょうし、そういう懸念は必ずしも否定はできないと私自身も思っています。

ちょっとご質問とは外れるかもしれませんが、たまたまかぎおさんのブログを発見しました。失礼ながら、ご意見の内容から国内におられるどちらかと言えば「頑固親父型」の人を想像してしまったのですが、海外で起業されている方とは思いませんでした。先入観を持つのはよろしくない例ですね。大変失礼致しましたm(__)m。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:26
(続き)
さてその中で、私の論が「性善説」とおっしゃられていましたが、私は「性善説」・「性悪説」の観点から論を展開したつもりはなかったのですが、かぎおさんの「立場」から体験された「現実」を推察すると、その評価もなるほどと思いました。

では、私の立場はどうかというと、私は普段相場の世界に身をおいていることも起因するのかもしれませんが、「規制を掛けるよりも規制を緩和することによって恩恵を被る立場」にいると思われます。
その私の「立場」というのが、私の「理論」に影響しているという面があるような気もします。つまり、「立場」の違いによって感じる「現実」も違うのかなと。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:26
(続き)
それともう一つ、私が日本政府・官僚の資源配分機能に信頼をおいていないという「立場」も私の論に影響していることは否定できません。つまり、規制を緩和して世界を相手に戦う恐怖を味わうことと、規制を強化してお上の権限を強化してしまうこととどっちが危険かと考えた場合、私は後者の方が断然危険だと考える「立場」です。なぜならこれは本文でも書きましたが、私たちにはお上によけいなことをしてもらわなくてもやっていけるだけの十分な力を既に持っているからです。

さて、話がだいぶ反れてしまいましたが、ご質問の論点に触れておきますと、議論の前提として以下の認識を持っておく必要があるのかなと思っています。まず、そもそもバブルを発生させたのは誰なのか?という点です。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:27
(続き)
それは「外資」なんかじゃありません。日本人ですよ。バブル発生の原因は、経済が好景気にある中において、超円高に対応した低金利政策を取り続けた(景気過熱に応じて金利を上げなかった)ことであり、それが「外需」に依存せざるを得ない今となってはうらやましいくらいの旺盛な「内需」を生んだからです。だから不動産も株も異常に加熱したし、その資産効果が、猛烈な「消費」となって現れたのです。バブルを作ったのは「外資」ではありません。

そしてどんな「バブル」も最後には必ず弾けますよね。「バブル」があったから「バブル」が弾けたんです。そこには当然痛みが伴いますが、その痛みの元である「バブル」を作る原因となったのは「外資」ではない。まず、この認識を持っておく必要があると思っています。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:27
(続き)
そのような認識からご提示頂いた論点を見てみますと、
>・海外格付け機関による、不当な株安誘導(とくに銀行)
⇒ 私は格付け機関に全幅の信頼をおいているわけではありませんが、海外格付け機関の邦銀格下げは不当であったと考えるに足る根拠はおありでしょうか。私は上記の基本認識から邦銀の体力は確実に蝕まれていたことは間違いないと思っているので、格下げが株安を誘導するための不当なものだったという認識は持っておりません。

>・日本の高度な技術の流出(資源のない日本の唯一の強みが失われます)
⇒ これは既存株主のメンタリティの問題に尽きると思います。それほど高度な技術で外資に流出すべきではないと考えるのであれば持っている株を売らなければいいだけです。いくら外資といえども、売る気のない投資家から強引に株を買うことはできません。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:27
(続き)
>・資産売却等による強引な配当の請求
⇒ これは「村上ファンド」の例もありますように、外資に限ったことではありません。良質な投資家にいかに長く自社株を長く保有してもらうかという株主政策は、まさにその会社の財務戦略なのではないでしょうか。

>・経団連等を使った不当な為替介入圧力の行使
⇒ すいません、これはちょっと意味がよくわかりませんでした。私は為替介入は輸出企業に対する補助金だと思っているのであまり賛成はしないのですが、これは為替介入が外国の圧力によって行われたというご認識でしょうか?

そして、ご質問の内容をデフォルメしますと、外資を排除すれば上記の問題が解決される、ないしは上記の問題は発生しなかったということになりますが、本当にそうなのかというと、私は違うのではないかと思っているわけです。
新快速 播州赤穂行き
2008/03/23 12:28
ご丁寧なお返事をありがとうございます。
また、あのようなマイナーなブログにおいでいただきまして(笑)。

この件については長くなりそうなので、ブログ記事としてお返事申し上げたほうがいいでしょうね。
また改めて書かせていただき、連絡申し上げます。

それぞれの立場によって考え方が違うというのは当然のことだと思いますし、それをぶつけ合うのも言論の自由があればこそ。
こういった冷静なコメントをいただける方は考え方が違えど尊敬できるものと思いますし、また改めて参上いたしたく思います。

とりあえず返答のみで失礼いたします。

かぎお
2008/03/24 04:23

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