途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 「純粋資本主義」も「純粋社会主義」もどちらもダメ(格差問題はどう考えればいいのか:その3)

<<   作成日時 : 2008/02/08 08:32   >>

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格差がこれほどまでに社会問題となった原因は、
時代の大きな転換期に、人々がついていけない
焦燥感と脱力感にあることがわかった。
そんな「未来に希望の持てない社会」に
成功をおさめた新種の金持ちの過剰露出が、
人々に格差の存在を気づかせ、
持ち前の「嫉妬心」に火をつけてしまったのだ。


しかし、彼らを叩いても単なるガス抜きになるだけで
何の解決にもならない。
金持ちを叩いても、貧乏人が豊かになれるわけではないからだ。

【参考】マーガレット・サッチャー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC

お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちになりません。
The poor will not become rich, even if The rich are made poor.



では、結局のところ、
この格差問題はどう対処すればいいのでしょうか。



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<「グローバル化」は政府の関与を嫌う>


格差をもたらし(たと人々が感じている)、
未来を希望を持たせなくした原因が、
「経済のグローバル化」にあることは先に述べました。


ということは、格差問題に対処するためには、
この「グローバル化」を修正する必要がある
ということが、これまでの論理展開からは言える。



では、そもそも
この「グローバル化」というのは一体何なのでしょうか。
それを簡単に定義するとこうなります。

【参考】東京大学公開講座「グローバリゼイション」(東大TV) 
http://todai.tv/contents/kokai/honma_masayoshi/001/index.html

経済のグローバル化はモノばかりではなくヒトやカネ、サービスまでもが国境を越えて自由に行き来することを目指しています。



この「自由に行き来する」というのが
最も重要なポイントでありまして、
「自由に行き来する」ために絶対的に必要なことがあります。
 

それは「規制の撤廃」です。


なぜなら、どんなにIT技術が進歩して、
世界中至るところへのアクセスが物理的に可能となっても、
その流れを止めてしまう「関所」が存在してしまえば、
成り立たないからです。


「規制」がその「関所」の役割を果たすことになりますから、
「経済のグローバル化」は「規制」を嫌う。
「規制」を嫌うということは、
「政府の関与を嫌う」ということです。



そして、「政府の関与を嫌う」ということは、
「『政府』よりも『市場』を信頼している」ことを意味する。
グローバル化推進派が「市場原理主義者」と
揶揄されるのはこのためです。

【参考】グローバル資本主義(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9
【参考】新自由主義(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9


では、政府の関与を完全に排除すると、
何が問題となるのでしょうか。







<経済(GDP)成長と国民の満足度はイコールではない>


それは経済成長と国民の満足度は
イコールとはならないからです。



従って、最大利益(=経済成長)を追求する性格を持つ
資本主義経済において、政府の関与を全く排除してしまうと、
経済成長が促進するに伴って、
国民全体から見た満足度は逆に低下してしまう可能性が
あるのです。


なぜそうなるのか。
それは、

● 金持ちにカネを使わせるほうが、マクロ的な経済成長
  (GDPを引き上げる)という点では効果的

  ⇒ 金持ちを優遇したほうが経済成長には寄与しやすい


● 富の集中が進むほど資金効率がよくなる
  ⇒ 複利の効果によって、富める者がより豊かになる
    スパイラル効果をもたらす



● そうなると、格差が際限なく広がる
  ⇒ 経済(GDP)は成長するが、国民一人一人の
    満足度は逆に低下してしまう


というメカニズムが働くからです。


つまり、

マクロの観点から見た経済成長(例:GDPの増加)と、
国民一人一人の幸せとは必ずしもイコールではない


ということなのです。

【参考】 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(最終回:カネ余りの正体【資金効率上昇の観点】)
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_3.html


従って、資本主義は放ったらかしにしておくと、
際限なく格差が広がってしまうので、
社会厚生上、これはよろしくないよねってことが言え、
これを専門的には「市場の失敗」なんて
言ったりするわけです。


【参考】市場の失敗
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E5%A4%B1%E6%95%97


では、反対に市場の失敗を抑えるために
政府がどんどん介入すればよくなるのでしょうか。







<「純粋資本主義」も「純粋社会主義」もどちらもダメである>


政府の介入を徹底的に排除する
「市場原理主義」が「純粋な『資本主義』」の
姿であるとするならば、
市場の自由な活動を徹底的に排除すれば、
それは「純粋な『社会(共産)主義』」の姿となる。



「純粋な社会主義」が失敗であったということは、
ベルリンの壁崩壊・ソ連崩壊の例からして明らかである。


市場の自由な活動を認めない計画経済のおいては、
人間の自由な活動が妨げられることを意味するので、
発展に必要な社会のダイナミズムが
完全に失われてしまい、
無理な計画が「権力の腐敗」を招いてしまうからだ。

【参考】共産主義の失敗の原因(構造経済ってなあに)
http://www.fujitsubame.com/kouzoud.html


「『純粋な』資本主義」は際限ない格差を生み、
「『純粋な』社会主義」は際限ない腐敗を生む。



つまり、「市場原理主義」も「政府原理主義」も
どちらもダメなのだ。



だから、国民全体の効用を高めるためには、
「市場に任せる部分」と「政府が関与する部分」を
うまいことブレンドしていかなくてはならない。


画像




成長だけを重視させて、格差が極端に拡大するのもまずいし、
かといって、結果の平等を重視して、成長が鈍化するのもまずい。


この折り合いをどこでつけるか
というところに市場を補うという意味での
政治の役割が期待されているということなんだと思います。


従って、今の日本においても、
政府の関与を高め、再配分機能を高めることが
格差解消に向けた一つの処方箋であるというのは、
これまでの議論から推察されるわけです。

【参考】富の再分配(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E3%81%AE%E5%86%8D%E5%88%86%E9%85%8D

富の再分配(とみのさいぶんぱい)または所得再分配(しょとくさいぶんぱい)とは、所得を公平に配分するため、租税制度や社会保障制度、公共事業などを通じて一経済主体から別の経済主体へ所得を移転させることをいう。



では、政府がより関与すれば、
格差問題は本当に解決するのでしょうか。


(すいません、当初の構想に反して結構長くなりそうです)
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_8.html

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
>金持ちを優遇したほうが経済成長には寄与しやすい

これまでの通説だと低所得者層の方が消費性向が高いという話なので、累進課税などで低所得者を優遇した方が経済成長には寄与しやすいようにも思えるのですが、逆に金持ちを優遇したほうが経済成長には寄与しやすいという説には、何か根拠があるのでしょうか?
Baatarism
2008/02/08 12:29
Baatarismさん>
コメントありがとうございます。たしかに「消費性向」は低所得者の方が高いと思いますが、「『限界』消費性向」は逆に高所得者の方が高いのではないかと考えています。この議論は一度過去にさせて頂いたことがありますので、ご興味あれば以下のリンクのコメント欄をご参照ください(fomaさんとのやりとり)。
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_3.html
新快速 播州赤穂行き
2008/02/08 13:43
(続き)
すいません、リンクがうまいこと乗っからないので再掲します。
http://keyboo.at.webry.info/
200709/article_3.html
( 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(最終回:カネ余りの正体【資金効率上昇の観点】))
新快速 播州赤穂行き
2008/02/08 13:47
この問題の根本解決は教育改革しかありません。私のブログサイドバーに「何を教えるか目次」というのがありますので、少し長いのですがここらへんをどう取組めばというヒントにはなるでしょう。「人間の行動は大脳が支配している」というのは「何を教えるか」の「人とは何だ」の前半になります。詰り、書換えている最中ではありますが、趣旨は変えないつもりなのでお楽しみください。
hbar
2008/02/08 14:24
hbarさん>
コメントありがとうございます。オチを先取りされたようでちょっと悔しいですが(笑)、私も格差問題の根本は経済問題ではないと考えています。「教育改革」はかなり答えの確信に近いと思いますね。ご紹介の記事は、このシリーズのオチがついたらじっくり拝見させて頂きたいと思います。
新快速 播州赤穂行き
2008/02/08 14:59
こんばんは。とても興味深いシリーズですね。
連続シリーズアップ中にオチを先取りされてしまう悔しさやガッカリ感は良く分かっているつもりですので、コメントはシリーズの後にさせていただこうかと思っています(笑)。
では、続きを楽しみにしております。
日比野
2008/02/08 23:10
日比野さん>
コメントありがとうございます。なかなかみなさん聡明な方が多いので、オリジナルのストーリーを考えるのはなかなか頭を捻らされます。そんな中で日比野さんのサイトはほぼ毎日更新しているので本当にすごいですね。
新快速 播州赤穂行き
2008/02/12 17:45

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