途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 時代の大きな変化に対する不適合症(格差問題はどう考えればいいのか:その2)

<<   作成日時 : 2008/02/07 08:21   >>

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データが示していた事実は、
変化の点では格差は確かに拡大方向にあるが、
その水準は決して高いものではなく、
80年代・90年代と比較しても低いことがわかった。
しかし、国民の格差に対する不満はかつてないほど
高まっていた。


長年の「平等」に慣れきった日本人は、
格差に対する慣れがなかった。
だから、わずかな格差の拡大でも不満が増幅しやすい
特徴を有していたのだ。


「平等社会」とは、
見方を変えれば「出る杭を許容しない社会」。
だから、一億総中流社会においては
金持ちは許されなかった。

【参考】一億総中流(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%84%84%E7%B7%8F%E4%B8%AD%E6%B5%81


だから、その「嫉妬」が「正義」の仮面を持って表れ、
「金持ち」を叩くことを必要以上に是とする空気が
芽生えてくるのだ。



「金持ち」を「悪者」とみなし、
「嫉妬」が「正義」の仮面を被りやすいという日本社会の特徴が、
格差に対する不快感の弾力性を高めていたのだ。

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しかし、ちょっと待って欲しい。
もし、そうであるならば、
なぜ今よりも「格差」が大きかった60年代に
「格差」が社会問題とならなかったのか。


また、現在の格差水準は、
80年代、90年代に比べれば小さいはずなのに、
なぜ「今になって」格差問題が
クローズアップされてきたのでしょうか。

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<新種の金持ちの過剰露出が格差の存在を気づかせた>


「金持ち」を「悪者」とみなし、
「嫉妬」が「正義」の仮面を被りやすいという日本社会の特徴は
何と江戸時代からそうであったようですから、
かなり根強いものとして考えてよいと思います。

【参考】歴史の使い方(堺屋太一)

歴史の使い方歴史の使い方
堺屋 太一

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しかし、
それがなぜ「今」発露されたのかという点に関して、
もう少し考える必要があるのではないかと思うのです。


なぜ、こんなことを考えるのかと言うと、
以前も今より大きな格差があったのに、
それが社会問題化しなかったということは、

● その当時は格差に人々が気づかなかった



● 気づいていたとしてもそれを許容していた

ということであり、
実際そうであったと考えられるからです。


日本で「格差」の問題がクローズアップされるようになったのは
恐らく小泉内閣の時代からだったと思いますが、
その時、こういう人たちがお茶の間を沸かせていたことは
みなさんのご記憶に新しいところかと思います。

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しかし、この人たちの過剰露出によって、
昔は目立たなかった「金持ち」が目立ってしまい、
国民全体が「格差」の存在に気づいてしまったのだ。



「格差」の存在に気づいたというよりも、
彼らの目立ち方が激しかったため、

「実態以上に格差が存在していること
を擦り込まされてしまった」


という面もあるのかもしれないが。


いずれにしろ、
それが持ち前の「嫉妬心」に火がつけてしまった。

【参考】格差社会(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A#.E6.B3.A8.E7.9B.AE.E3.81.AE.E5.A5.91.E6.A9.9F
正社員の減少、非正社員の増加により、就職難にあえぐ若年層の中から登場した、安定した職に就けないフリーターや職自体に就こうとしないニートといった存在が注目されるようになったこと、ジニ係数の拡大や、ヒルズ族などセレブブームに見られる富裕層の豪奢な生活振りが盛んに報じられるようになったことなどを契機として、日本における格差社会・格差拡大が主張されるようになった。



そして、一旦燃えた火は誰にも止められず、
「正義」という仮面を被った「嫉妬心」は
ヒール扱いされた彼らを必要以上に
叩きのめすこととなったのです。


【参考】堀江貴文(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E6%B1%9F%E8%B2%B4%E6%96%87

ほぼ同時期に発覚している日興コーディアルグループ、カネボウの粉飾決算問題等の額の違いや悪質性、量刑、逮捕者が出てないこと、検察やマスコミの対応が違い過ぎるとの声がある。



【参考】村上ファンド(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89

インサイダー取引事件での実刑は異例であり、インサイダー取引と認定される事例が増えてしまうのではないかという不安や、裁判官は、結局は利益至上主義を罰したかっただけであり、法曹の世界には証券、金融業のプリンシパル、メカニズムを理解している人が非常に少ないのではないかといった意見がある。



どこの世界でも、特に日本では
金持ちは目立ってはいけないのだ。



(注)
誤解があってはいけませんので申し上げておきますが、
私は何も彼らの礼讚者ではありません。
実際二人が司直の手に渡ったときは溜飲を下げる思いをしたものです。
しかし、その叩きのめし方が「公正」の観点から見て
正しかったのかに関しては、大いに疑問を持っているという
そういう考え方です。

【参考】日興証券株上場維持の判断は本当に正しかったのか
http://keyboo.at.webry.info/200703/article_10.html






<未来に希望が持てない社会>


そして、もう一つ。


これまで「格差」が社会問題化しなかったのは、
当時は「格差」が許容されていたのではないか
という点についてですが、
これは以下の例を考えてみれば、
ご理解頂けるのではないかと思います。


もし、今が世の中が景気がよくて、
頑張れば報われるという希望の持てる時代であれば
どうだったでしょう。



それでも人々は成功して金持ちになった人を見て
「嫉妬」に苛まれるでしょうか。


もちろん、そういう人もいるとは思いますが、
たぶんそうでない時代よりは少ないと思うんですね。
だって、やれば報われるんだったら、
他人に嫉妬するより、自分が頑張ればいいじゃん
って思う人の方が多いだろうと思うから。


そして、60年代、80年代はそういう時代だった。
60年代は高度成長期だったし、
80年代はバブルの絶頂期だった。


つまり、「未来に希望の持てる時代」だったのだ。
だから仮に格差があるのがわかっていたとしても、
それを許容できる土壌があったのではないかと
考えられるのではないでしょうか。

(90年代はバブル崩壊でみんなコケてしまったので、
嫉妬の起こりようがない時代という意味でちょっと例外)


ということは、この仮説が正しいとすると、
「格差」が許容できない今の時代は、
「未来に希望の持てない時代」
であるということになるし、
実際、そのように考えている人が多いようである。

【参考】描く未来予想図、暗く 新成人の4割超「親より生活苦」(中日)
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008011202078997.html
【参考】「仕事の将来に不安」30歳代の82%…読売ネット調査 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070513it15.htm
【参考】70人に1人が“いつも死にたい” 新聞労連・組合員意識調査(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/living/0711/0711135601/1.php


そして、それが格差に対する不快感の弾力性を
著しく上昇させてしまっており、
「格差」を社会問題化する雰囲気をもたらしていると
考えられるわけです。


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では、なぜ人々は
未来に希望が持てなくなってしまったのでしょうか。







<時代の大きな変化に対する不適合症>


何が格差をもたらしたか(もたらしたと人々が感じているか)
については、様々な意見があるようです。

【参考】STOP!THE格差社会・市民との対話集会(連合)
(格差を生み出した背景について)
http://www.jtuc-rengo.or.jp/campaign/shuukai/youbou02.pdf


ご興味のある方は、上のリンクをご覧頂ければと思いますが、
(トンデモ意見も随所に見受けられますが、
人々がどう感じているかを知る上では参考になる資料だと思います)
ここでは、次の論点を挙げさせて頂きたいと思います。


それは、未来に希望が持てない理由は、
年金とか財政赤字の問題とかもあると思いますが、
実は、最大の原因は、

「時代の大きな変革期に適合できないこと」

ではないかということです。


「差」を埋めるために頑張ればいいというが、
今までと同じやり方が通用しなくなったため、
頑張ろうにも、頑張り方すらわからない
という状況に陥ってしまう人が増えてきている。


つまり、
過去の成功体験が通じなくなってしまったのです。


では、その現象をもたらしたものは何なのか。
それが、「IT革命」「経済のグローバル化」なのです。

【参考】世界を読み解く3つのキーワード
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_9.html
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_10.html


IT革命によって、従来型組織論が崩壊の危機に陥った。
それは「組織」から「個」の時代に変わることを意味するため、
特に立派な「箱」で暮らす、大企業エリート層が
崩壊の危機に瀕している。


彼らは、

●「没個性」が求められることが多いため個人としてのブランド力が乏しく、
●組織があまりにも細分化しているため仕事内容が外部から良くわからず、
●かつその組織でしか通用しないスキルが多いため、
●その組織にいる限り、給与・ステータスともに比較的満足いく水準だが、
●対外的なマーケットバリューはそれほど高くない

という「組織」から「個」という新しい時代には全くなじまない
悲しい特徴を持っているのだ。


また、「経済のグローバル化・フラット化」は、
グローバルなコスト収斂の動きをもたらした。



こういう企業のグローバル化の流れが一般化してくると、
雇われる側としては、これまで競争相手が日本国内の
日本人であったのが一気に拡がり、
世界中の人が競争相手になったために、
その労働に見合う対価も、グローバルに収斂する動きとなっている。


日本はこれまで物価水準が高く、賃金が諸外国に比べて割高であったため、
このグローバルなコスト収斂の動きは、
日本の労働者にとっては、給料が下がるということになる。


特に、代替可能な人数が多い商売に関してはこの動きが顕著になる。
逆に言うと、それが少ない貴重な商売の価値は逆に上がる。


グローバルで見て「価値の選別」が極めてシビアに、
そして瞬時に行われ、最適な状態が形成されていく。



そんな時代の大転換にいきなり適合するのは難しい。
特に過去の成功体験を引きずっていればなおさらだ。
どうすればいいかわからず、諦め・無気力が蔓延する。
ニート増加の一因もここにあるのではないだろうか。



時代の大変化についていけない焦燥感と脱力感が、
ただでさえ鬱積しているのに、
そんな矢先に新種の金持ちが連日マスメディアで
踊り狂ってる。


そんな人々の「嫉妬心」に火がつくのは、
必然的であったと言えそうです。


しかし、根本原因が時代についていけない不適合症で
あるならば、「嫉妬心」の発露は単なるガス抜きに過ぎず、
問題の根は結構深いように思われます。


では、結局のところ、
この格差問題はどう対処すればいいのでしょうか。

(すいません、まだ続きます。)
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_7.html

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内 容 ニックネーム/日時
加えて、ネットが普及して嫉妬心が表現しやすくなった、嫉妬心の表現が正当化され共有されやすくなった、というファクターもあるかもですね。正論が疎まれる日本では、これは小さくないと思います。
ltbl
2008/02/07 20:21
ltblさん>
コメントありがとうございます。ご指摘のとおりだと思います。ネットでは顔が見えないことと、文字で表現するためにより過激な内容が好まれる傾向も、これは日本だけでなく世界的に見られる現象のようです。各国のナショナリズムの高揚現象はブログの普及に一因があると思います。
新快速 播州赤穂行き
2008/02/08 08:10

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