途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 「外資規制」は本当に正当化できるのかA(外資排斥論は本当に正しいのか:その5)

<<   作成日時 : 2008/02/28 13:02   >>

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株主価値を高めてくれる経営者を選択する「株主」にとっても、
最適なサービスを選択する「消費者」にとっても、
「外資規制」はその「選択の自由」を狭めることになるため、
望ましいものではないことがわかった。


しかし、これで話が終わりではなかった。
そう、「規制」をしないということは、
「自由な競争状態」を確保するということ。


ところが、「自由な競争状態」を確保するということは、
その果てには、「独占」という誤謬を生んでしまう。
これは、これまで考察してきた通りです。

【参考】規制が正当化される条件は何か
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_13.html
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_14.html


そして、万一「独占」が起こった場合に、

「それが生活必需品(電気・ガス・水)や
安全保障上不可欠なものだったらどうするんだ」


という懸念が残っている。


では、この懸念については、
どう考えればいいのでしょうか。



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<「独占」の弊害をもたらすものは>


まず抑えておかなければいけないのは、

「『独占』の弊害というのは、
『外資』であろうが『日系』であろうが関係ない」


ということです。


そもそも「自由競争」の果てが「独占」に行き着くというのは、
何も今更私が指摘するまでもなく広く認識されており、
「独占」を阻止するための「規制」は「独占禁止法」という形で
日本だけでなく、世界各国で既に存在しています。

【参考】独占禁止法(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E5%8D%A0%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%B3%95

独占禁止法(どくせんきんしほう)とは、資本主義の市場経済において、健全で公正な競争状態を維持するために独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的として各国において定められている法(法令など)の総称のことである。競争法(きょうそうほう)とも呼ばれる。特定の資本家が市場を独占する、独占・寡占行為により、市場経済での自由な競争社会が実現出来ず、国家経済全体として停滞する結果となるため、かかる独占・寡占の状態を防止するための法律である。



従って、これをもって
そもそも「独占」に規制がかかるのだから、
そこにさらに「資本規制」を
しかもそれを「外資だけに」設けること自体が
おかしいと考えることもできます。



たしかに、供給元が複数存在し得るサービスであれば
その考えも成り立つと思います。


では、そもそも供給元が複数存在し得ないものの場合、
そしてそれが「安全保障上不可欠なもの」の場合は
どう考えればいいのでしょうか。





<「安全保障上不可欠なもの」とは>


「安全保障上不可欠なもの」とは何でしょうか。


それは、人によって色んな定義があると思います。
「衣食住にかかわるもの」であったり、
「港湾施設」であったり、「電力会社」なんかも
その範疇に含める方がいるかもしれません。


いずれにしろ、
「これ」という明確な定義は存在しない
ということです。


もっとも、ここで議論したいのは、
その定義に関する議論ではなりません。


このシリーズの初回で、
「国益を守る」とは「国民の生命と財産を守ること」であり、
それは「『自分たちの』生命と財産を守ること」であり、
その守り方の選択肢は我々が持つべきものである
と結論付けました。

【参考】「国益を守る」とはどういうことなのか
http://keyboo.at.webry.info/200802/article_12.html


つまり、ここで問題としたいのは、

その「安全保障上不可欠なもの」が
「外資」に手に渡っては困ると我々が判断した場合に
取るべき行動として何が適切なのか


ということなのです。


その際に取るべき行動は、
本当に「外資規制」なのでしょうか。





<「安全保障上不可欠なもの」を守るために取るべき行動とは>


そうではありません。

「そもそも上場させるべきでない」

が答えです。


よく考えてみて下さい。


安全保障上不可欠であり、
国の管理下においておく必要があって、
外資に買収されると困るようなものが、
なぜオープンで自由な取引を保証している
「株式市場」という場に上場させる
必要があるのでしょうか。



全くもってその必要はありませんね。


財政難を少しでも解消したいから上場して
株式売却益を得たい「財務省」。
でも、公開しても外資に買収されるのは許さない「国交省」。


これも「縦割り」の弊害なのかもしれませんが、
国の方針が一貫してないんですよね。


株式は公開したいけど株主は自分で選びたい。
こういう発想を自由な売買を保証する「市場」という場に
持ち込むこと自体が「あり得ない」話なのです。



一体何のために上場しているのか。
本当にその意味を考えたことがあるのか。
公開するということは、買収される可能性もある。
これは公開市場におけるルールなのだ。


【参考】村上ファンド陥落 彼はこれまで何を喋ってきたか (2)
http://www.toyokeizai.net/online/tk/headline/detail.php?page=2&kiji_no=29

「何のために上場してきたのかと(TBSに)言い続けた。逆に言うとそんな割安でテレビ局のプラットフォームが取れるのであれば、どんどん取りにいくべきだと周りの人たちに言ってきた」



そのルールに従う以上
「外資だけ」を「規制」する理由はない。


従って、
外資に買収されることによる
「安全保障上」の懸念というコストが、
上場した際に得られる売却益というベネフィットを
上回っていると判断されるのであれば、
その際取るべき行動は、「外資規制」ではなく
「そもそも上場しない」という判断になるはずです。



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なぜなら、「外資規制」は
それは単なる「安全保障上」の個別問題に留まらず、
日本の資本市場全体の信頼性を損ねることになると
考えられるからです。

【参考】空港の外資規制を巡る攻防(衆議院議員 山内康一の「公募新人奮闘記」)
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_e105.html

(私はこの議員さんのことは存じ上げませんでしたが、
このご意見は素直に正論だと思います。)

そもそもすでに羽田の空港ビル会社は東証一部上場企業です。
すでに上場している企業を「後出しジャンケン」で規制するのは、
無節操すぎて海外投資家の日本市場に対する信頼を損ないます。
東証の幹部も困っているそうです。
海外の投資家に「日本の市場のルールは無茶苦茶だ」という
認識を持たせることは、株価対策として最悪です。
海外からの投資を積極的に受け入れると福田首相も宣言したばかりです。

国交省の「後出しジャンケン」を認めるか否かという議論は、
国としての原理原則の問題でもあります。
これまで「事前規制から事後チェックへ」という改革を進めてきて、
ここにきて「事後規制・事後裁量」という邪道なやり方をとれば、
世界の投資家に見放され、日本の投資家も国内に投資しなくなります。








<まとめ:「外資規制」は本当に正当化できるのか>


以上の議論を踏まえると、
この「外資規制」の問題は、


● 「独占」の弊害がもたらされない限り、
  (外資も含めた)資本規制を設けることは、
  需要側(株主・消費者)の選択の自由を
  狭めることになるので望ましくない。


● 安全保障上不可欠なものに関しては、
  上場した際に得られる売却益という「ベネフィット」が
  外資に買収されることによる安全保障上の懸念
  という「コスト」を上回らない限り、
  上場するという行為自体が望ましくない。



と考えることができるため、
「正当化できない可能性が高い」
と結論づけてよいのではないかと思われます。


というわけで、
ここで話を終わりかと思いきやそうではなく、
もう少し深く探っていくと、
もっと根本的な問題が見えてくるのです。

(その6に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200803/article_2.html

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