途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 中国に対する風向きが変わってきた?【前編】(2008年世界情勢を考えるための10の視点:その6−1)

<<   作成日時 : 2008/01/23 14:14   >>

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若干お題と内容がずれてしまうかもしれませんが、
中国について見てみたいと思います。
(兼 「中国分裂の可能性を探る」シリーズの続編です)


今世紀に入って、中国が爆発的な経済成長を遂げ、
先進国とならぶ、世界の主要国の一国を占めるまでの
地位に達したことは、事実として認識してよいと思います。

【参考】中国GDP、世界4位に上昇、03−06年平均成長率は10.4%(日経BP)
http://www.nikkeibp.co.jp/news/china07q4/548226/
【参考】2010年にGDPが日中逆転も(日経ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20070920/135510/


米国を中心とする先進国がサブプライム問題で
景気後退懸念を抱く中においても成長を続けているため、
世界経済の新たな牽引役として期待されるようになっている。

【参考】デカップリング(佐藤政俊「相場鏡」)
http://blog.nikkei-cnbc.co.jp/journal/index.php?ID=8

最近、経済関係でよく使われる用語に「デカップリング(非連動性)」がある。これは、米国経済が減速しても中国等の新興諸国や欧州の成長に支えられ、世界経済の拡大が継続する、といったことを指して用いられる。

「デカップリング」は、サブプライム問題の米国実体経済への波及が現実のものとなりつつある中、世界の株式市場関係者の心のよりどころとなっており、10月末頃まで、アジア等新興諸国市場に世界のマネーが流入、過去最高値を更新する市場が相次いだ。



さらには、サブプライム問題で疲弊した金融機関にも
手を差し伸べるまでとなり、
まさに世界経済を救う「メシア(救世主)」として
その存在感が一段と増している感があり、
諸外国の「中国詣で」も活発化している。

【参考】米金融、外資頼み 中国・中東…政府系ファンド続々出資、サブプライム支援(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200712210030a.nwc
【参考】経済協力拡大で合意 英中首脳が初めて会談(東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008011902080613.html
【参考】中国政府系ファンドの活動拠点をロンドンにと 英首相(CNN)
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200801190021.html
【参考】中国国家主席とインド首相が会談、戦略的協力強化で一致(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080115id22.htm


表舞台が非常に華やかになってきた中国ですが、
本当にこの状況は今後も続くのでしょうか。



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<中国も他の国と同じ行動を取っていたはず>


中国が世界経済を救う「メシア」として期待されている理由として、

「中国はサブプライム問題とは関係ない」

という世の中のコンセンサスがあることが上げられると思います。


【参考】サブプライム影響は限定的…「東アジアの成長は好調」(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200711160025a.nwc

世界銀行は14日にまとめた「東アジア大洋州地域の経済報告書」で、米低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン焦げ付き問題が、中国やベトナムなどの経済に与える影響は限定的と分析した。東アジアの米向け輸出に鈍化傾向がみられるものの、「中国を始めとする国々で投資活動と消費が活発化したため2007年の成長は好調に推移し加速さえ認められた」として、この地域で好調な経済成長の維持が見込まれるとした。



そのため、
先ほどご紹介した「デカップリング」という言葉が生まれ、
実際新興国の株価も低迷する先進国を尻目に
高値を更新する展開となっていました。


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こういうのを見ると、

「いやあ、今年はサブプライムの影響のない中国に
がんばってもらっちゃおっかな〜。オリンピックもあるし」


というコンセンサスが出来ても不思議ではない。


しかし、世の中コンセンサス通りにはなかなかいかないもの。
世界の金融市場はつながっているのです。
中国だって今や立派に世界とつながっている。


そして、中国は世界一の外貨準備を誇っており
カネがジャブジャブに余っている。
余っているどころじゃない。
「余って余って仕方がなかった」のです。


【参考】中国、「カネ余り」是正急ぐ・金融引き締め強化、海外投資促進(日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071014AT2M1301W13102007.html


そういう人たちが取る行動はみな同じです。

【参考】「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その7:カネ余りが生んだ投資家のリスクの取り過ぎ)
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_1.html


「カネ」が余ると人間どういう行動を起こすのか。
当然「ちょっとくらい無茶してもいいよね」、っていう気になる。


そういう人たちが消費はもちろん、リスクの高い資産にも投資をしてくる。
まずは、株とか不動産とか、比較的手をつけやすいものから。


しかし、そういう人がたくさん出てきてしまったために、
株とか不動産とかはどんどん買われてしまって、割安感がなくなってくる。
でもカネはまだ余っているので、他に何かないのかと探しに行く。


そしたら、次はよりリスクが高く、
かつ難しいものにカネが流れていくことになる。
割安な投資先が他にないから仕方がない。



そうして、行きつく先には、
「サブプライムローン」というような危険な商品を
さらに色々こねくりまわして組成された、よくわからない証券化商品にまで
手を出さざるを得ない羽目になってしまった。


カネが天下をグルグル回っているうちはその危険が顕在化しなかったのだが、
いつまでもうまくいくとは、そうは問屋がおろさない。
高いリスクには、それに見合った代償がある。


それが顕在化したのが、今般の「サブプライム問題」というわけなんですね。



そして、残念ながら
中国だけが別の行動を取っていた
なんてことはなかったのです。


【参考】中国銀行:米サブプライム投資、証券投資の3%占める
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0824&f=stockname_0824_030.shtml


それなのに、中国はサブプライム問題の影響が
限定的と言われている。
ということは、みんなと同じ行動を取ったにも関わらず、
「オチ」だけが違うということなのでしょうか。






<当初は日本も「影響は限定的」と言われていたが・・・>


世界的な過剰流動性の影響で、カネがジャブジャブに余っていた。
そのため、みながリスクを過剰にとるようになり、
ヘッジファンドだけでなく、
世界中の銀行がサブプライムに手を出すようになった。


それを可能にしたのが「証券化」と呼ばれる手法なのですが、
そのテクノロジーとカネ余りのおかげで、
「米国の」サブプライム関連商品であるにも関わらず、
世界中の銀行が手を出すようになったわけです。


【参考】「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その2:マグニチュードの問題)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_28.html


そして、そのサブプライムが「コケた」から
それに投資している人がみんな「コケた」。


日本だって昨年8月にサブプライムが発生したときは、
影響は限定的って言われてたんです。


【参考】邦銀の証券化商品投資、サブプライムで損失拡大も−影響は限定的(Bloomberg)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aYkBdja1V6po&refer=jp_japan


ところが、最近になって見るとどうでしょう。
想定よりも影響が大きいことが判明し、
邦銀の損失も拡大しているではありませんか。


【参考】邦銀の損失は「増加」…サブプライム問題で金融担当相(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200801170010a.nwc
【参考】世界同時株安 モノラインも火種に 信用低下 邦銀、損保にも影響(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200801230006a.nwc

米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題に端を発した世界同時株安など金融市場の混乱が拡大している。その一因として浮上してきたのが、サブプライム関連の証券化商品の信用を裏付けてきた「モノライン」と呼ばれる米金融保証会社自体の信用力の低下だ。モノラインの格下げで証券化商品市場などがさらなるダメージを受ける恐れが大きくなり、投資家の弱気を誘っている。日本の金融機関もモノラインの保証を受けた証券化商品を保有するなど、無縁でなく影響が懸念される。



ということは、同じことが起こるんじゃないかなあ
と思った方もおられたのではないでしょうか。






<「サブプライム問題」は中国には関係ない。わけがない!!>


そう思った方は非常に鋭い!
やっぱり起こったんです。
「限定的」といわれていた中国でも!!


【参考】中国株:金融株下げ止まらず、サブプライム損失懸念で(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0122&f=business_0122_025.shtml

中国四大国有銀行の一つである中国銀行はこの日、「重要事項を控えている」との理由でA株の売買を停止した。市場では「サブプライム問題で追加損失を計上するのではないか」との観測が高まった。中国の銀行はこれまで「サブプライム問題の影響は軽微」といわれてきただけに市場の動揺は大きかった。

また中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の蒋定之副首席が21日の2008年最初の経済金融情勢報告会で、「株式、不動産市場の混乱が銀行のリスクを増大させる可能性がある」「国内外の金融情勢は複雑さが増しており、中国の経済・金融業の持続可能な発展のために乗り越えなければならないハードルが一段と高くなった」と発言したことで、銀行業に対する先行き懸念が拡大した。



そして、それは
みなが「そんなはずはない」と思っていただけに、
とんでもない動揺が走り、
ここ数日間の世界同時株安の一因となったのです。


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もっとも私自身がこの展開を事前に読めていたわけではなく、
私の記事は後講釈に過ぎません。



しかし、この展開を昨年8月に見事に予見しておられた方も
いらっしゃいますので、ちょっと長くなりますが、
当時の見事な予測を引用させていただきたいと思います。

【参考】中国でも無視できないサブプライムローン問題(グローバル投資のポイント:KlugView)
http://www.gci-klug.jp/klugview/07/08/07/post_1240.php

香港からの一部報道によると、米投資銀行JPモルガンの中国担当者が、中国と米国のサブプライムローン問題の関係について問われ、中国市場は国際的に孤立しているので大きな影響はないだろう、コメントしたようです。コメントの詳細はわかりませんが、おそらくコメントを出した方は、中国株を始めとする中国の金融市場は、仮に米国市場がサブプライムローン問題で大きく揺れたとしても、さほど連動することはないだろうと述べたかったように思えます。

ただ、米国のサブプライムローン問題が中国にとって全くの無縁とは思えません。中国景気を押し上げてる貿易黒字を国別に分けると、黒字の8割近くは米国との貿易によるものです。仮にサブプライムローン問題が悪化し、米国の個人消費の伸びが縮小すれば、中国の対米貿易黒字も縮小し、中国景気を下押しすることになります。

中国がこれまで溜め込んだ巨額の外貨準備が毀損している点も見逃せません。米ニューヨーク・タイムスの報道によると、中国政府は、米大手プライベートファンドのブラックストーンへの投資により、過去半年で4億2500万ドル(約500億円)の損失を被ったようです。中国政府は、ブラックストーンに約30億ドルを投資したといわれていますので、わずかの期間で投資額の約14%も失ったことになります。またニューヨーク・タイムスは、中国人民銀行が、米国の住宅ローン債権を担保とする債務担保証券(CDO)にも1千億ドル(約11兆8千億円)を投資しており、これによる損失も少なくないと報じています。仮にCDOへの投資が5%の損失を出したとすれば、中国政府の損失は50億ドル(約6千億円)以上になります。

今のところ米国のサブプライムローン問題は、米国金融市場に悪影響を及ぼしているものの、日本を始めとする米国外への影響は限定的だろうとの見方が大勢です。ただ、サブプライムローンは、証券化という手法で最終リスクを広く分散されていたため、想定外の投資家が(じつは)リスクを引き受けていた可能性があります。今後も「大きな影響はないだろう」とみられていた中国や日本でも、思わぬ形でサブプライムローン問題に直面する投資家が現れるかもしれません。



世界の金融市場はやはりつながっていたのです。


マーケットの世界は、世界中を瞬時におカネが移動する反面、
何か起こったら、その影響が波及するのも一瞬なんです。


いち早くグローバル化が進んでいる金融市場は、
まさに、「くしゃみをしたら桶屋が」どころか、
「くしゃみをしたら『津波』がやってきてしまう」
わけなんですね。

【参考】 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その4:震度とマグニチュードの複合連鎖)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_30.html


「『サブプライム問題』は中国には関係ない!!」
わけがなかったのです。



そして、この問題が中国にもたらす影響は、
もしかしたら先進国のそれよりも大きくなる可能性が
あるかもしれないと考えられるのです。


(長くなりそうなので次回に続きます)
http://keyboo.at.webry.info/200801/article_10.html

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