途転の力学

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help リーダーに追加 RSS プーチン「王朝」は磐石なのか?【前編】(2008年世界情勢を考えるための10の視点:その7-1)

<<   作成日時 : 2008/01/28 20:52   >>

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2007年は政治的にも経済的にも激動の年でしたが、
中でもこの人の存在感は一際大きかったように思います。


ソ連崩壊による政治的混乱、
そして財政危機による経済的混乱のおかげで、
ロシアはかつてのような二極の一角を担う力は
全く影を潜めてしまった。

【参考】ロシア財政危機(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%8D%B1%E6%A9%9F


それが、今世紀に入って
この人が大統領となったことによって、
急速にその力を復活させてきた。
その立役者こそ、
今回の主役「プーチン大統領」なのです。

【参考】タイム誌 今年の人にプーチン・ロシア大統領(産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071220/amr0712200928013-n1.htm

同誌は「ツァーリ(皇帝)誕生」の見出しで「自由主義国家が重視する主義主張を犠牲にしても国家の安定のため、たぐいまれなリーダーシップを発揮した」とロシアを「大国」の地位に戻したと“評価”した。ソ連時代を含めたロシアの指導者が「今年の人」に選ばれるのは5回目。



私も僭越ながら、このブログを始めた当初から、
プーチン・ロシアの動向には注目をしてまいりましたが、
なぜロシアはここまで復活を遂げることができたのでしょうか。
またプーチンはなぜここまで権勢を誇ることができたのでしょうか。

【参考】2006年世界情勢を占う
http://keyboo.at.webry.info/200612/article_7.html
【参考】日本はプーチンの動きにもっと敏感になれ
http://keyboo.at.webry.info/200706/article_7.html
【参考】多極化時代のパワーバランスを読む
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_17.html
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_18.html
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_19.html



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<プーチン・ロシアを復活させた「運」と「実力」>


これは非常に月並みなのですが、
答えは2つ考えられると思います。
それは「運」「実力」です。


「そんなの当たり前すぎて答えになってね〜よ」
と思われる方が大半だと思いますので、
もう少し詳しく言わせて頂くと、

● 「運」とは「世界経済拡大に伴う資源価格の爆騰」

● 「実力」とは「プーチンの巧みな権限拡大手法」

だと考えられるんですね。


では、世界経済が拡大して、資源価格が爆騰することが
なぜロシアにとって、はたまたプーチンにとって
追い風となるのでしょうか。






<プーチンに「ツキ」をもたらした資源価格爆騰>


それは、当たり前ですが、
「ロシアが天然資源をしこたま持っているから」ですね。

【参考】2006年世界情勢を占う
http://keyboo.at.webry.info/200612/article_7.html

まず個人的に今年最も注目すべきなのは、
ロシアの動向だと思っています。
今、ロシアのプーチン大統領は急速に権限を強化しています。
資源高騰の恩恵を受けた経済発展が、
彼に追い風を吹かせているようです。


それは自由と民主主義を掲げる欧米と、
イデオロギー面での衝突を意味します。
しかし今後豊富な資源をタテに、
外交での強硬姿勢に拍車がかかると考えられる。
早速それがウクライナとの天然ガス価格交渉に現れた。

〜(中略)〜

いずれにしろ、ロシアは軍事力ではなく、
今後は豊富な資源という武器を持って、
世界的に影響力を及ぼそうとしている。



政治的にも磐石の態勢ができたことで、
持てる者の強みをいかんなく発揮してくると思われる。
そういう意味では、世界のパワーバランスの変化を考えたときには、
持てない中国よりも、
その影響力は大きいのではないかと考えるわけであります。



つまり、

「持てる物の強み」が遺憾なく発揮できる

というわけなんですね。


その強みが発揮できた要因は、
上の引用記事でも見ましたように、
世界経済(特に新興国経済)拡大期待による
資源価格の爆騰だったのです。



これは輸出の大半を天然資源に依存する
プーチン・ロシアにとっては
非常に「ラッキー」な現象だったわけです。


ロシア危機の時は全く逆だった。
世界的なデフレで資源価格が暴落したことが
逆にロシアを苦しめてしまったわけですから。

【参考】ロシア財政危機(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%8D%B1%E6%A9%9F

ロシアの貿易は、輸出の80%を天然資源(石油、天然ガス、金属、木材)に依存した。これは、世界経済の状況に影響されやすく、世界的デフレで当時物価が下落しつつあった状況下で財政は悪化しつつあった。殊に、原油価格の下落に伴い、輸出原油からもたらされる税収が減少したことが、ロシア政府の財政を極度に悪化させる事になった。



もし、今のロシア経済が財政危機のエリツィン時代と
同じような状況だったらとしたら、
恐らくここまでプーチンが権勢を誇れることはなかったはずです。


まさに、プーチンは「ツイていた」というわけですね。


しかし、それだけではロシアの政治面にも及ぶ
影響力の拡大は説明できません。





<プーチンの「実力」と権力維持のための筋書き>


プーチン・ロシアの政治的影響力拡大を説明するためには、
プーチン自身が権限を拡大し、独裁体制を固めるために
様々な布石を打ってきたという、
彼の「実力面」も考慮する必要がありそうです。

【参考】ロシアのプーチン大統領はなぜ強大な権力を維持できた!?(ランキンレビュー)
http://r25.jp/magazine/ranking_review/10001000/1112008012403.html

自身と同じサンクトペテルブルクやKGB出身者を“プーチン号”に乗せ、まとめあげたことが、成功の一番の要因ですね。また、90年代後半、混乱の極みだったロシアには、強力な指導力を持つ独裁者を待望する声が渦巻いていました。プーチンは、その空気に上手く乗れたんです。だからこそ、権力の座に留まり続けられたのです」(ユーラシア21研究所の吹浦忠正理事長)



プーチンによる独裁体制が、
結果的にロシアの復活と成長を早めることになりました。
これは独裁の「功」の面が表れたということであり、
その力学については、前回の記事で考察しました。

【参考】中国に対する風向きが変わってきた?【後編】
http://keyboo.at.webry.info/200801/article_10.html

この「一党独裁体制」というのは
経済が成長期にあるときは比較的うまく機能するようです。
それは中国だけでなく、ロシアを見ていてもわかります。


権力が一極に集中しているということは、
資源の配分権が一手に集まっていると同時に
反対勢力がいないために迅速な意思決定ができる。



従って、優秀な施政者がことに当れば、
ああだこうだ話し合いをして時間をかけるよりも、
効率的な資源配分が迅速な意思決定によって行えるので、
高速かつ高度な経済成長が期待できるわけです。


ケ小平以降の中国はそれでうまくいっていました。
もちろん過去記事でも見ましたように、
不満勢力はいっぱいありますが、
まずは自由よりもパンを求める民衆にとっては
それでよかったわけです。




「世界的経済成長による資源価格爆騰という『運』の要素」

「独裁の『功』の部分を享受するために自身の権限拡大を
図った彼の政治的『実力』の要素」

の両方が相まって、
プーチンの元でロシアは見事に復活を果たしたわけです。


そして、この勢いに乗って、
自身の権力を今後も維持するべく
次のようなシナリオを用意してきました。

● 三期連続大統領にはなれないので、
  大統領選に先立つ下院選を自身への「信任投票」と
  位置づけ、2008年以降も権力の座に居座ることの
  「信」を問う。

● 自身の操り人形になる人物を大統領に後継指名し、
  その人物に自分を首相に任命させる。

● その操り人形が一期を勤めた後、
  自身が大統領に復帰する。

  

このシナリオがうまくいけば、
今後20年ほどプーチン時代が続くことになりそうですが、
果たしてこの筋書き通りにいくのでしょうか。

【参考】2026年までプーチン時代?=ロシア上院議長が予測(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200801/2008012100973

ロシアのミロノフ上院議長は21日付のロシア紙モスコフスキー・コムソモーレツとのインタビューで、3月の大統領選で当選が確実視されているメドベージェフ第一副首相が1期務めた後、「2012年にプーチン氏が大統領として再登板する」と予想した。



(長くなりそうなので、次回に続きます)
http://keyboo.at.webry.info/200801/article_12.html

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