途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 本当の黒幕は誰だったのかB(郵政民営化の本質を探る:最終回)

<<   作成日時 : 2007/10/14 14:46   >>

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財投改革に始まり、郵政民営化で総仕上げになるはずだった
抜本的な行財政改革には、やはり大きな「穴」があることがわかった。
官僚全部を敵に回すつもりなど毛頭なかった小泉改革の影で
最後に笑った黒幕は、改革の敵になるはずであった
他ならぬ「大蔵省」だったのだ。


では、小泉さんはただ大蔵省(現 財務省)に屈服しただけだったのか、
彼は官僚に心ならずも負けてしまったのでしょうか。
「郵政民営化」の本当の本当の狙いとは何だったのでしょうか。


本シリーズの最後は
この問題について考えて見たいと思います。





<「本当の本当の狙い」を解明するための2つの事実>


「郵政民営化」の動きによって何が起こったかについては、
過去記事で色々論じてまいりましたが、
これまで触れてこなかった事実があります。


それは、

@ 郵貯・簡保が「ゆうちょ銀行」・「かんぽ生命」という
  「正式な金融機関」となった


A 当時自民党橋本派の大御所であった野中広務氏が
  郵政民営化に反対したことにより失脚させられた


という2つの事実です。


そして、これが郵政民営化の「本当の本当の」狙いを
探る重要事実となるのです。


これらの事実が意味することは何なのか。
なぜ、これらがナゾを解明する糸口となるのでしょうか。




<小泉さんが味方につけたのは誰だったのか?>


まず、1つ目の事実。
郵貯・簡保が「正式な金融機関」となったことについて。


今般の郵政民営化でしきりの強調されたのが、
三事業の「独立採算制」の確保でした。


これまで郵政は郵便・郵貯・簡保が一体で
運営されていましたが、これを三事業に「分社化」し、
「郵貯」と「簡保」については、
それぞれ市場に上場させようというスキームになっています。


【参考】郵政民営化の本質を探る(その1:漠然とした目的と明確な不安)
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_1.html

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これは何を意味するのか。
それは、「郵貯」「簡保」を「正式な金融機関」にする
ことを意味します。


では、「郵貯」「簡保」が「正式な金融機関」になるとは
どういうことなのか。


それは、
「郵貯」「簡保」が「金融庁」の監督下に入る
ことを意味します。


「郵貯」「簡保」はこれまで、三事業一体で
「総務省」の管轄化にありましたから、
これは監督所管が変わったということになります。

【参考】郵政民営化実現に向けた大きな一歩(21世紀政策研究所)
http://www.21ppi.org/japanese/hitokoto/tanaka213.html

(引用)********************************************

郵政民営化をめぐって、政府と自民党との間の交渉といいますか論点の打ち合わせが、大所にきています。私は今回政府が取りまとめた案は大変良かったというふうに思っています。理由は三点あります。一つは四分社化を明確にしたことです。二番目には政府保証が外れるということです。三番目は非公務員型になるということです。それぞれの意味について少し考えてみたいと思います。

 四分社化にこだわり、そして郵貯と簡保の後継会社を民営化するというこの案は、国際的な金融枠組みの中にやっと郵便局ネットワークを通じたお金が入ってくるということを意味すると思います。

〜(中略)〜

金融はすべて金融庁の監督下に置かれるべきだというのは、これは世界の流れからいっても当然のことです。それぞれの国では、金融を全般的に見据える監督部局があり、そこでは金融の決済システムの安定性から始まり、決済の安定的なシステムを維持するために個々の金融機関の資産内容について厳しい分析を行う、監督を行う、検査を行う、ということが当然あるわけです。もしこの枠の外に日本の家計が保有する預貯金の四分の一が依存するということになりますと、一体日本の金融システムは全体としてどのような仕切りになっているのか、ということになります。

(引用おわり)*****************************************


「金融庁」とは言うまでもなく、大蔵省の片割れでありますから、
この「郵貯」「簡保」が正式な金融機関になるということは、

「大蔵省(金融庁)が総務省との縄張り争いに勝った」

ということが言えるわけであり、
ここにも、「郵政民営化」の黒幕が大蔵省であったという
カラクリが垣間見えるわけなのです。


そして、それは同時に小泉さんが官僚全部を敵に回した
わけではなく、少なくとも大蔵官僚は
確実に味方につけていたということも窺い知れるのです。



では、なぜ小泉さんは大蔵官僚を味方につけようと
したのでしょうか。


実は、小泉さんの政治遍歴を辿ってみると、
その「ナゾ」を解明する糸口が探れるのです。





<小泉さんの本当の敵は誰だったのか?>


小泉さんは「変人」で「一匹狼」的な印象をお持ちの方が
多いかもしれません。


しかし、以下の政治遍歴をご覧なれば、

● 福田首相の父(赳夫氏)に師事していた

● 福田派の流れを汲む「大蔵族」である

● 実は、思いっきり「派閥人間」である

  (森派会長時における「加藤の乱」での対応を見ればわかる)

という「意外な」事実がおわかり頂けるかと思います。

【参考】小泉純一郎(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B3%89%E7%B4%94%E4%B8%80%E9%83%8E

(引用)******************************************

翌1970年より、福田赳夫大蔵大臣の書生を務める。 後に総理となる福田から政治家としての薫陶を受けた。
1972年12月、第33回衆議院議員総選挙において12万2000票余りを獲得して自民党公認で初当選した。清和会(福田派)に属した。

〜(中略)〜

1979年、第2次大平内閣で大蔵政務次官に就任した。この大蔵政務次官在任中に、役人が民間の仕事を奪う実態を見たことで「官から民へ」の環境をつくる郵政三事業(郵便・簡易生命保険・郵便貯金)の民営化を持論としたといわれる。郵政民営化論は、政治家としてのライフワークとなる。当時は、国鉄や電電公社の民営化以前でもあり、巨大公共機関である郵政の民営化は荒唐無稽な暴論と考えられており、特定郵便局が自民党の票田であり、全逓信労働組合が野党にとっての票田となっていたことから、郵政は、いわゆる聖域であると考えられていた。

大蔵・厚生族議員として地歩を築き、政策通で知られたが、子分をつくらない一匹狼的な行動をとり、言いたいことを直言し、与野党政治家の既得権益を害する郵政民営化論を主張することもあって永田町では「変人」と評されるようになる。

〜(中略)〜

2000年、小渕総理が急死し、党内実力者の青木幹雄、野中広務らの支持により幹事長だった森喜朗が総理・総裁に就任した。森が会長を務めていた清和政策研究会(森派)の会長には小泉が就任した。

この総理就任の経緯は密室談合と非難され、森の旧来政治家的なイメージも相まって人気がなく、その上に失言が次々とマスコミに大きく取り上げられ支持率は急落した。2000年11月には遂に18.4%を記録する。これに危機感を抱いた反主流派の加藤紘一・山崎拓は公然と森総理退陣を要求し始めた。加藤と山崎は自派を率いて野党の提出する内閣不信任案に同調する動きを見せた。一方、森派の会長だった小泉は、森総理支持の立場を明確にした。小泉はいわゆる加藤の乱と呼ばれる動きを察知するや党の内外に加藤・山崎の造反を真っ先に触れ回った。

加藤は、マスコミに積極的に登場して自説を主張し、普及し始めたインターネットを通じて世論の支持を受けた。だが、小泉ら主流派は猛烈な切り崩し工作を行い、加藤派が分裂して可決の見通しは全くなくなり、加藤・山崎は内閣不信任案への賛成を断念した。これにより、総理候補と目された加藤は、大きな打撃を受け小派閥に転落、一方、森派の顔として活躍した小泉は党内での評価を上げた。

(引用おわり)**************************************


ということは、思いっきり派閥人間であり
福田派の流れを汲む小泉さんの本当の敵は誰だったのか。
それは、間違いなく「大蔵官僚」ではなかった。

【参考】角福戦争(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%92%E7%A6%8F%E6%88%A6%E4%BA%89

21世紀の角福戦争
安竹協調路線はそれぞれの領袖が代替わりする中でも続き1998年竹下元首相の在職40年パーティでも当時の森喜朗幹事長が、「願わくはもうひとり首相を育ててほしい」と自らを売り込むほどだったが、2001年に小泉純一郎が総理になると、自らが「経世会(現平成研究会)の支援を受けずに就任した初めての総理」と公言するとおり反経世会姿勢を進め、反発する野中広務らを抵抗勢力と位置づけ対立し、当事者を変えた遺恨試合として報道された。



そう、敵は「霞ヶ関」ではなく「永田町」にいたのだ。
しかも身内に。

【参考】<永田町ローバー>首相が郵政民営化にこだわる理由
http://www.news.janjan.jp/government/0502/0502223848/1.php

小泉純一郎首相は郵政民営化を改革の「本丸」と言う。そこまでこだわる理由はなんだろうか。郵政民営化に強く抵抗してきたのは自民党郵政族議員であり、郵政族は旧田中派以来、竹下、橋本派の牙城であったという関係を思い起こすと、見えてくるのは橋本派潰しの仕上げという狙いである。


【参考】小沢民主党を支持するということはどういうことなのか(1)
http://keyboo.at.webry.info/200706/article_11.html

(引用)*****************************************

「守旧派」とは旧来の自民党を体現している勢力であり、
そのシンボルは「橋本派」。
そして、小泉さんはその「守旧派」に対抗する「新興勢力」の
シンボル的存在と考えられていたのです。


ただ、この「守旧派」vs「新興勢力」という対立軸は、
その遠因をたどっていくと、実は数十年来続くと言われる、
自民党内の「福田派」vs「田中派」のいわゆる「角福戦争」に行き着く。
つまり、自民党内の権力闘争の一環であったと見ることが出来るのです。


小泉さんは角福戦争における、生粋の「福田派」の流れを汲む人物です。
そして、「橋本派(現津島派)」は「田中派」の流れを汲む派閥であり、
小泉政権誕生まで、長いこと自民党の中枢を牛耳っていました。


小泉さんの本願は「角福戦争」への勝利であり、
彼は時代の空気を読んで、
「構造改革」をその目的のために最大限利用した。



つまり、「守旧派」vs「新興勢力」という対立軸を作って、
「橋本派」と「守旧派」=「抵抗勢力」と決め打ち、
国民の支持を取り付けることで、その勢力を完膚なきまでに破壊した。
その結果、橋本、野中両大物を正解から排除することに成功した。


これが「小泉構造改革」の本質であり、
この権力闘争が対立の根本軸にあるということがわかります。

(引用おわり)**********************************************


つまり、師匠である福田赳夫氏の悲願であった
橋本派(旧田中派)を潰すことこそが
小泉さんの最大の目的であり、そのためには
彼らの牙城である「郵政」を民営化することが
最も効果的だったというわけだ。



そして、小泉さんの思惑は見事にはまった。
橋本・野中の両大物を政界から葬り去り、
自身の出身派閥である森派(旧福田派)全盛の
礎を築き上げた。


その目的が達成されればそれでよかった。
そのためには「中身」はどうでもよかった。


だから小泉さんは大蔵官僚に負けたわけではない。
彼は大蔵官僚を利用したに過ぎない。
そして、大蔵官僚も権限拡大と不良債権処理の
責任逃れのために、小泉改革を利用した。
そもそも両者の「目的」自体が違うのだ。



つまり、目的の違う両者のニーズとウォンツが一致した
結果のタッグプレーだったというわけだ。


やはり、
小泉さんも最後に笑ったうちの一人だったのです。




<まとめ:郵政民営化はどう評価すれば良いのか>


では、最後の最後に、
この「郵政民営化」をどう評価すればいいのか。
多数批判覚悟の上で、私の考えを述べさせて頂きたいと思います。


まず、利用者の観点から。
一番懸念されるのは、「ユニバーサルネットワーク」維持
の問題になりますが、
これはJRで起こったことを見れば明らかなように、
やはり、過疎地に関しては郵便局はある程度「整理・統合」
される可能性が高いと考えた方がよいと思われる。


しかし、私は郵政民営化の本質はそこではないと
考えており、これは国の予算の4倍もの規模を有する
財政投融資の改革、つまり抜本的な行財政改革の問題であり、
特殊法人の不良債権問題である。



これに関しては、入口(郵貯・簡保からのカネの流れを止める)
の問題に関しては、徐々に効果が出ていると思われるが、
出口(特殊法人の透明性の向上)の問題に関しては、
効果が出ているとは言えない。


「財投債」という「打ち出の小槌」を残した状態は、
処理先送りをもたらす可能性があると思われ、
今後の動向を十分モニタリングする必要があるし、
損失を先送りさせないための制度の見直しの余地は
あると思われる。


小泉さんの自民党内の権力闘争に利用したということに
関しては、私自身政治とはそういう泥臭い面が必ず存在し、
「結果」が伴っていればそれでよいのでは、
とある程度割り切って考えることにしている。


しかし、もともとの小泉さんの意図が「中身」ではなく、
「政局」を起こすことが主眼であったと考えられるため、
本来やるべきであった「官」の構造改革に
十分踏み込むことができず、逆に改革の一番の敵であるはずの
大蔵省(金融庁)に当たりくじが回るという皮肉な結果となった。



過去の過ちを清算させることなく
大蔵省の権限拡大をもたらしてしまった。

実は、これこそ「郵政民営化」が非難されるべき
本当の理由なのではないかと思います。



最後までお付き合い頂きありがとうございました。


(おわり)


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(ご参考)

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内 容 ニックネーム/日時
10月18日付で発表された、今年の年次改革要望書・暫定訳(一部のみ)です。
発表された事実を、テレビ・新聞は昨日、本日とも一切報道せず。マスコミの存在価値無し。
【苦情先電話】0570−066−066
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-442.html
http://restororation.blog37.fc2.com/blog-entry-967.html
n
2007/10/20 10:48
どうもお疲れ様でした。
結局政治とは社会への奉仕でなく権力争いの世界であると。いくら理想を言ってみた所でトップに上り詰めた人というのは奇麗事じゃない熾烈な戦いでそこまで来たからこそ、それが時代や国を越えて共通した「政治」というものなんでしょね。いろいろ勉強になりました。
文太
2007/10/22 14:36
文太さん>
コメントありがとうございました。私も政治とは結局権力争いであって、かつカネのかかる民主主義の世界においては、トップに上り詰めるような人でかつクリーンな人というのはよっぽどの金持ちでない限り存在しないと思うんですね。さらにカネにきれいであれば良い政治をしてくれるとは限りませんし。結局、政治家を評価する機軸というのは、その人がクリーンであるかどうかということではなくて、「政策内容」とその「実行能力」でしかないと考えています。仮にその人がクリーンでなかったとしても、自分たちの望む政策を実行してくれればそれでいいじゃないかと思ったりしています。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/22 20:10

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