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「第二の予算」と言われる財政投融資の問題は、 特殊法人の不良債権問題であることがわかった。 では、なぜそれが「郵政民営化」と関係があるのか。 前回提示した2つの疑問への答えを探りながら、 「郵政民営化」と「財政再建」の問題について、 考えてみたいと思います。 @ 「特殊法人が不良債権」となっても、損を被るのは 資金の出し手である郵貯・簡保であるはずなのに、 なぜそれが「国家財政」の問題となるのか。 A 「郵政民営化」が特殊法人の不良債権問題の 解決策となるのはなぜか。 <特殊法人の不良債権問題が国家財政の問題となる理由> まず、一点目。 「特殊法人が不良債権」となっても損を被るのは 資金の出し手である郵貯・簡保であるはずなのに、 なぜそれが「国家財政」の問題となるのか」 という疑問から。 ポイントは、郵貯・簡保から財政投融資への 預託金には「政府保証」がついている ということです。 言うまでもないかもしれませんが、 「政府保証」がついているということは、 「政府」が特殊法人の連帯保証人になってくれる ということです。 ということは、日本という国家が破綻しない限りは、 郵貯・簡保が拠出した預託金の元利金は、 政府によって保証されていることになりますので、 特殊法人が破綻しても、郵貯・簡保の預金者及び 保険契約者には、何の被害も及びません。 逆に言うと、もし特殊法人が破綻して融資への元利金が 支払えない状態(デフォルト)になった場合は、 その払えない分が「税金」によって賄われることになる ということです。 「税金」で賄うということは、 当然国家財政に影響を与えることになる。 だからこそ、 「特殊法人の不良債権問題」は 国家財政の問題となるのです。 では、その不良債権とは一体どのくらいあるのでしょうか。 特法への審査の甘さ疑惑と不透明性への批判を一蹴するために、 小泉内閣は「郵政民営化」に先立って、 「財政投融資改革」及び「特殊法人改革」を行ったことは 前章で述べました。 これ、一体何をやったのか。超デフォルメすると、 「郵貯・簡保から財投に強制的にカネを注入する 仕組みをなくし、特殊法人に財務諸表を作らせて 外部から実態把握できるようにし、 それに基づいて特殊法人を整理する」 ということです。 【参考】「財政投融資の抜本的改革について」の概要(財務省) http://www.mof.go.jp/singikai/unyosin/tosin/1a1502a11.htm 【参考】特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について(首相官邸) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokusyu/kettei/021018kihon.html これは額面どおり信じてよければ、 不良債権処理の王道を示しております。 つまり、民間銀行の不良債権問題のときにも明らかになったように、 不良債権問題を解決するには @ まず、処理の引き伸ばしを断ち切る (借金返済のために借金をする自転車操業をやめる) A 損失を確定させて最終処理を行う (引当を積むのではなく、損切りしてバランスシートから消す) B その上で、必要あれば公的資金を注入する (その銀行の破綻が金融システム全体に影響を及ぼす場合) という手順を踏むことが必要であり、 そのためには、外部から経営実態を把握できるようにするために、 まず「信頼に足る財務諸表の作成」が求められるからです。 というわけで、その「改革」に基づいて行われた アクションプランに対する報告書がこれ。 【参考】財政投融資改革の総点検フォローアップ(財務省) http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaitoa/zaitoa171212_a.pdf http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaitoa/zaitoa171212_b.pdf(詳細) そして、この報告書に示された特殊法人の財務内容を まとめたものがこちら(筆者編) 【貸借対照表・損益計算書・財投残高】 【報告書に記載された留意点】 この報告書の数字が信頼に足るかどうかについて ここで判断するのは控えておきます。 【参考】「財投事業の多くは不良債権化している」って本当なの?(財務省) http://www.mof.go.jp/zaito/zaito2007/Za2007-03-08.html (引用)**************************************** 財政投融資については「事業の見直しが行われないまま、財務の健全性に問題のある事業が続けられ、予期せぬ国民負担を招くのではないか」といった議論がなされることがありました。そのような議論も背景に、17年度財政投融資計画の編成に当たり、財政制度等審議会財政投融資分科会(委員はすべて民間の有識者)において、特殊法人等が行うすべての財投事業(34機関の事業)の財務の健全性について、民間企業の会計基準にしたがって作成された財務諸表も参考に総点検を行いました。 さらに、平成18年度財政投融資計画の編成に当たっては、財政制度等審議会財政投融資分科会において、17年度に実施した「財政投融資改革の総点検」と同じ視点に立ち、民間準拠の財務諸表を参考に、各財投事業の財務の健全性等の確認を改めて実施しました。 その結果、住宅金融公庫(現在は、住宅金融支援機構)、都市再生機構を含め、各事業とも、17年度の総点検の指摘状況が着実に実行に移されていることが確認されました。これにより、同分科会においては、財投事業全体の財務の健全性について、特段の問題は生じていないとの評価がなされました。 (引用おわり)**************************************** ただ、留意しておくべき点が3つほどあります。 それは、 @ この報告書は財務省(旧 大蔵省)が自ら主催して 書かれたものであり、完全なる第三者のガバナンスを 受けたものであるとは言い難い。 A 貸出債権は、債券や株式と違って市場で売買される ものではないため、その価値が毀損しているかどうか の判断、つまり不良化の判断基準に市場価格のような 唯一客観的なものがなく、恣意性を挟む余地がある。 B 日本道路公団はへの28兆円の財投は 既に不良債権化してしまっているということ。 また住宅金融公庫をはじめ、兆円規模の財投を 投じている機関で債務超過あるいは自己資本が 非常に乏しい先が散見される。 (住金、都市再生機構、国民生活金融公庫等) ということです。 しかし、不良債権処理のスキームが作られたこと自体は、 (実効性を伴えば)財政再建につながる可能性がある という視点だけを、ここでは提供しておきたいと思います。 (実効性の問題はまた後で述べます) <郵政民営化と特殊法人の不良債権問題との関係> では、次に 「郵政民営化が特殊法人の不良債権問題の 解決策となるのはなぜか」 という、2番目の疑問について考えてみたいと思います。 前章で、不良債権処理の王道の一番目として、 「まず、処理の引き伸ばしを断ち切る (借金返済のために借金をする自転車操業をやめる) という点を上げました。 そして、「借金のための借金」のパトロンとなっていたのが 「郵貯・簡保(+年金資金)」からの強制預託であり、 この流れを断ち切るために、自主運用をさせようとしたのが 「財政投融資改革」でありました。 【参考】財政投融資改革の経過について(NTTデータ経営研究所) http://www.keieiken.co.jp/monthly/2006/0607-8/index.html では、流れを断ち切るだけだったら わざわざ民営化しなくてもいいじゃないかという意見が 出てくると思いますが、それに対する民営化賛成派の 意見は前回ご紹介させて頂きました。 私もこの論自体は正しいのではないかと考えています。 【参考】投資社会実現のために必要とする郵政民営化論A(郵政民営化の本質を探る:その4) http://keyboo.at.webry.info/200710/article_4.html 【参考】郵政民営化とその課題 http://www.cipps.org/director/wordData.php?_id=25 (引用開始)**************************************** ポイントは、日本郵政公社から日本郵政株式会社(以下、日本郵政会社)に変化する中で、これまでの郵貯・簡保に付されてきた政府保証が完全に外れるということです。このことの意味を、日本経済の流れとかつての官業であった郵貯・簡保の経営という視点から考えてみたいと思います。 政府保証が外れる前の状態は、政府保証があるがゆえに、政府が用意した棚に国民の保険契約であれ、預金であれ国民の資産を預けてもらい、それについては政府が保証をするので、その棚にあるものは政府が考えている諸政策に充てさせてもらい、政府が考える政策や政府が関与する企業に対してファイナンスをするという仕組みでした。 (中略) それ以前の体制、すなわち政府が完全に保証している場合には、いざとなれば納税者の負担によって自分たちの預金、あるいは保険契約が裏打ちされます。業務として、相当不完全だったり、欠陥の多いものであったとしても、最後は納税者のお金できれいにされるということでした。 (引用おわり)**************************************** つまり、特殊法人の不良債権処理を本格的に行うためには、 まず、郵貯・簡保を民営化して自立させ、 政府保証を外してインセンティブを与えることにより、 借金のための借金の原資を提供させない仕組みを作ることが 必要だということなのです。 言い方を変えれば、 郵貯・簡保を財投から脱却させることで、 貸し手である大蔵省、及び借り手である特殊法人に 危機感を持たせることで、不良債権問題の処理を促す。 その必要条件としての「郵政民営化」であった と考えられるわけなのです。 これこそが、郵政民営化が「財政再建」のために 必要であるという理由であり、 郵貯・簡保との関わりの有無に関わらず、 「郵政民営化」とは国民全体の問題であるという、 私が本シリーズの冒頭で申し上げたことの 意味なのです。 これが成功すれば、 まさに全官僚を敵に回した、誰も手をつけられなかった 「官」の改革が成し遂げられたことになるのですが、 果たして本当に官僚を、大蔵省を打ち負かすことが できたのでしょうか。 (次回に続く) http://keyboo.at.webry.info/200710/article_7.html ←あなたのお役に立てたらクリックしてください(ご参考) 「経済」をもっと深く知りたい方におすすめの本
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