途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 中国分裂の可能性を探る(その1:中国内部が抱える対立構造@)

<<   作成日時 : 2007/10/29 11:19   >>

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今日から新シリーズを開始させて頂きます。


いつかこのテーマには触れなければいけないと
考えておりました。
「中国の持続可能性」についての問題です。


では、「中国の持続可能性」とは何か。


それは正確には、
「共産党の一党支配による体制がいつまで続くのか」
という問題であると言い換えることができます。


これは単純そうに見えて
非常に複雑な問題であると言えます。


ベルリンの壁崩壊やソ連解体などの例から明らかなように、
「共産主義」と呼ばれる体制が維持不可能である
ということは、既に歴史で証明されております。


その観点から考えれば、共産党が独裁支配している中国は、
歴史の法則により、間違いなく崩壊するといえる。


しかし、物事はそう単純にはいきません。
ベルリンの壁崩壊から既に20年近く経っているのに
いつまで経っても中国共産党が崩壊しないのです。


それどころか、共産党体制の中国は経済的に
どんどん発展し、年率10%を超える脅威の成長を遂げ、
今や世界第4位の経済大国になった。

【参考】中国GDP、世界4位に上昇、03−06年平均成長率は10.4%(日経BP)
http://www.nikkeibp.co.jp/news/china07q4/548226/


このペースでいくと、日本を追い抜いて世界第二位の
経済大国になるのも時間の問題であると言われている。

【参考】2010年にGDPが日中逆転も(日経ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20070920/135510/


株価も最高値を更新し、来年には五輪、その2年後には
万博のホストとしての地位も獲得し、
まさに繁栄の極みを誇っている。


自由主義諸国の間でも、現共産党体制の中国の
さらなる発展を予測する向きも多くなっている。
(とくにエコノミストを中心に)

【参考】中国経済、五輪後も高成長 野村証研究所が予測(iza)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/83345/
【参考】07年中国が米に代わり世界経済けん引 来年11%成長 IMF(IBtimes)
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/071020/13195.html
【参考】人手不足という中国経済の光明(大和総研)
http://www.dir.co.jp/publicity/column/040831.html
【参考】専門家「中国経済、今後5年連続10%以上の成長」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1007&f=business_1007_001.shtml


これは歴史の法則が通用しないことを意味するのか。
中国は共産党体制を維持したまま
今後も発展を続けていくのでしょうか。


もちろん、既に各種報道等で明らかになっているように、
中国という国は繁栄のウラにたくさんの問題を抱えています。


たしかに、中国は繁栄と同時に軍拡を進め、
石油の大消費国となる等
世界的な脅威となる点も兼ね備えている。


しかし、問題のない国なんてありません。
自由主義諸国だってたくさんの問題を抱えています。
米国は言うに及ばず、日本だって「格差」等様々な
問題を抱えているはずです。


従って、「レジームチェンジ」の問題を考えるに当たっては、

● どういう問題が存在するのか

という命題と同時に、

● 体制崩壊のトリガーとなるのは何か

という命題についても考えなければなりません。


そのような観点から、「希望的観測」ではなく
純粋な「予測」として、中国の体制転換の可能性に
ついて考えていきたいと思います。


中国の抱える内部矛盾、
そして海外との関係を解きほぐし、
そこから体制転換のトリガーがあれば、
それを読み解いて行きたいと思います。


まだ全体の構想は練りきれていませんが、
間に休憩を挟んで、やや長めのシリーズになると思われます。
よろしくお付き合い頂ければと思います。


では、まず今回の考察の出発点として、
中国社会の内部に潜入してみることにしましょう。



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<高成長を素直に喜べない中央政府>


先週木曜日に発表された中国のGDPは
年率11.5%成長となり、11%超えとなるのは
3四半期連続、二桁成長も5年連続となる見通しとなりました。

【参考】中国GDP 11.5%増(7−9月期) 過熱感一段と(産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/071025/chn0710251357000-n1.htm


まさに繁栄を謳歌している感じですが、
これが中央政府が求める成長軌道かというと
そういうわけではないようで、首脳陣はしきりに
警戒感を強調しているのが伺えます。


【参考】中国は引き続き過剰投資を抑制する=温家宝首相(朝日)
http://www.asahi.com/international/reuters/RTR200710240126.html
【参考】「不動産市場を注視」中国当局…低インフレなど成長に不透明要素(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200710260005a.nwc


さらに、先日行われた党大会では、
成長重視のケ小平路線からの転換が示され話題を呼びました。

【参考】党規約に「科学的発展観」 中国共産党大会(iza)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/92811/

中国共産党大会は21日の閉幕式で、党規約改正に関する決議を採択、胡錦濤総書記が持続可能な安定発展を目指して提唱する指導理念「科学的発展観」を党規約に盛り込んだ。政権2期目となる胡総書記の権力基盤強化の土台となる。



つまり、なりふり構わぬ成長路線から
安定成長路線へと、
政策の大転換を図ろうとしているのです。



では、なぜ成長重視路線を転換する必要があるのか。


それは、既にみなさんご存知のように、
今の中国社会は、経済成長重視路線により、
都市と地方の間で重大な格差が生じており、
これが社会の大きな不安定材料となっているからです。

【参考】中国、世帯収入格差55倍に…農村部で社会不安が増殖(フジサンケイビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200708230010a.nwc

富裕層は所得の公開を避けたがるが、これは脱税や収賄、不透明な土地取引による収益など、表には出せない不法な収入が多く含まれるのが原因だ。同研究所では、こうしたグレーな収入が中国全体で総額4兆8000億元(約76兆8000億円)にも上ると試算している。

 上海など不正や腐敗でグレーな収入を膨らませる高所得者層は、内外の株式や不動産への投資などで稼ぎ、香港やマカオなどで贅(ぜい)を尽くした旅行を楽しむなど、農村部では考えられない生活を謳歌(おうか)している。こうした表面的な豊かさが報じられ、農村部を中心に不満が鬱積(うっせき)し、社会不安が増殖する悪循環が起きている。



この社会不安増幅の危機感から、
中国政府は格差是正のために、
安定成長路線に転換しなければいけない
と考えているのです。



しかし、ここで気づくことがあります。
それは、中央政府は経済の過熱感を警戒しているのに、
GDPの数字からわかるように過熱感は抑制されていない。


つまり、政府の思惑通りに事が運んでいない
ということが見て取れるわけです。



では、なぜそんな事態になっているのでしょうか。






<地方の暴走を抑えきれない中央政府>


中国という国は、
共産党による一党独裁体制であるため、
極めて中央集権的な体制がまかり通っていると
お考えの方が多いかもしれません。


しかし、実はそうではないのです。

【参考】「注意怠れない中国経済〜地方の暴走を止められない中央政府」
http://www.fsun.org/news/nishi.html

中国語に「条」と「塊」という言葉がある。「条」とは中央から地方(省)へと垂直に下りる行政命令系統であり、「塊」とは地方の中に横断的に広がる行政系統のことである。 とにかく誤解があって困るのだが、中国は中央集権的国家であり「条」のきわだって強い社会だというイメージがある。毛沢東時代の残像なのであろうか。事実はまったく逆である。「塊」の力が強く、要するに中央の力が弱い「分散型社会」が伝統中国の特徴なのである。

〜(中略)〜

現在の中国を悩ませているのが強度の経済過熱をいかに冷ますかであるが、高度成長を求める地方の投資を中央が制御できないために、成果は容易に上がってこない。



つまり、この記事にもあるように、
中国という国は、極めて中央の力が弱い「分散型」社会なのです。


ただでさえ、中央と地方の農村との格差は
激しく拡大している。

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それは、地方からしてみれば、
中央の都会だけ繁栄して「セコい」ということになる。


そんな状況で経済が過熱しているから発展を抑制しろと
「中央」から言われても、地方からしてみれば
「そんなのおまえらの勝手な都合だろ」ということになる。



しかし、よく考えたら、
仮に地方が中央の言うことを聞かなかったとしても、
また過熱感が出たとしても、地方が発展して
成長の果実を得られるようになれば、
「それでいいんじゃないの」
という意見があるかもしれません。


それは至極もっともな意見だと思うのですが、
しかし、中央はそれを求めてはいない。


ということは、ここからわかることは、
中央政府が懸念していることは、

● 都市と地方の格差

とともに、

● 経済全体の過熱感そのもの

にも警戒感を持っているということが言えます。
つまり、「成長のし過ぎはよくない」と。


では、なぜ過熱感を警戒する必要があるのでしょうか。






<資本主義経済の持つ内在的不安定性>


この点を理解するのは、まず中国という国の体制について
正しく認識しておく必要があります。


過去記事でも何度か言及しておりますように、
中国という国は、「共産党」という党が
支配する国家でありながら、
その中身は「共産主義国家」ではなく、
「厳然たる資本主義国家」であるということです。


【参考】巨大資本家に操られた日・米・中トライアングル(頭の体操)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_6.html

【参考】ここがヘンだよ!北京五輪(その3:それでも北京で行われようとしているワケは?)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_15.html

共産党は当初祖国を持たず、
共産主義を持って世界を統一しようとしたが、
今日では共産党が統治する中国は極端な民族主義になりました。


また、共産党は本来、階級を強調し、
あらゆる私有財産を没収し、
全ての搾取階級を打倒しようとしました。


ところが、今の中国は世界で最も貧富の差が激しい国となり、
党と国の多くの高官たちは、8億もの貧しい人たちを犠牲にし、
巨万の富を持つボスとなりました。


これは一体どういうことなのか。


「共産主義」であったはずの中国が、
いつのまにか、自らが打倒しようとしていたはずの
純粋なる「資本主義」国家になるという、
とんでもない矛盾が起こってしまったわけです。



「資本主義経済」であるということは、
「計画経済」とは違いますので、
当然景気循環の波に晒されます。


「景気循環の波に晒される」ということは、
「好況」のウラには、
当然「不況」というものを経験するということです。



良い事があれば悪い事が起こり、
悪い事が起これば、そのうちいい事が起こる。


これを「ネガティブ・フィードバック」効果といい、
自然の摂理として、資本主義経済は
そういうサイクルを描く事がわかっている。


しかし、次の点が非常に重要なのですが、
一方で、資本主義というのは内在的不安定性を抱えていて、
好況は必要以上に増幅される危険性があり、
熱狂の行き過ぎは、それと同程度かそれ以上の
反動を生むというのが歴史上証明されている。



自然に任せていれば、人間の心理的影響から
「好況」は行き過ぎることもあるし、
「不況」もまた行き過ぎることがある。
(楽観は楽観を増幅させ、悲観は悲観を増幅させる)


この不安定性を「ポジティブ・フィードバック効果」といい、
これも資本主義経済が内在的にもっている本質なのである。

【参考】フィードバック・システム
http://homepage3.nifty.com/ladybird/hp2/3rd/11.html

化学反応で生じた物質(生成物)が基の反応を抑制するのがネガティブフィードバックであり、促進するのがポジティブフィードバックです。ネガティブ・フィードバックの場合は化学反応を一定の範囲に納める効果があります。ポジティブ・フィードバックは一気に反応を進め、そこにある化学反応の出発物質(基質)を消費しつくして終了します。



(注) ネガティブフィードバックは「平均回帰」
   ポジティブフィードバックは「発散」と捉えれば
   理解しやすいかと思います。



画像




つまり、資本主義経済というものは、
放ったらかしにしていれば、
良いほうにも悪いほうにも行き過ぎてしまうのです。







<中央政府が過熱感を抑制したいワケ>


だから、行き過ぎを抑えて安定的な経済運営を
行うために、中央政府は財政政策なり金融政策を用いて、
そのポジティブ・フィードバック効果を抑制しようとする
わけなのです。


従って、熱狂の行き過ぎという「バブル」を経験すれば、
いつかそれは弾け、ポジティブフィードバック効果
(悲観が悲観を呼ぶ)として、「崩壊」という事態を
生じさせることになる。

【参考】バブル(はてなダイアリー)
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D0%A5%D6%A5%EB


これは、「経済成長」という果実によって
一党支配体制を維持している中国共産党にとっては
「バブル崩壊」というのは致命的な打撃となる。



格差拡大だけでもこれだけ社会不安が増幅していると
いうのに、これで経済成長が止まったりしたら、
それこそ社会不安どころではなくなる。


今の中国がバブルであるかどうかという点については、
また後の方で詳しく考察いたしますが、
行き過ぎの反動に伴う「ポジティブ・フィードバック効果」を
中央政府は恐れているわけなのです。



その抑制を抑えるために中央政府は
再三の利上げを行っているが一向に効果が上がっていない。

【参考】中国、金融引き締め政策を維持する方針=人民銀行副総裁(朝日)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200710290022.html


しかし、過度の抑制政策は
格差に不満を持っている地方との軋轢を増すことになる。


このジレンマに中央政府は悩んでいると思われ、
非常に難しい経済運営を迫られていることがわかります。


この「地方と都市(中央)の経済格差」
これが中国社会に内在する大きな対立構造と
なっているのです。


では、中国社会が抱える問題はこれだけなのでしょうか。
地方と都市の格差が是正されれば
万事うまくいくのでしょうか。


残念ながらそうではなく、実はその奥深くには
もっと複雑な対立の構図が潜んでいるのです。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200710/article_20.html

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 国土資源部が2010年における中国の産油量がおよそ2億トンに達するとの見通しを明らかにし、今まで外資企業の障害になっていた外国企業の流通参入資格要件が撤廃され、参入企業の最低資本金が、卸企業50万元(従来8000万元)、小売企業30万元(従来5000万元)になったと共に買収を認めていなかった国有企業上位500社の買収も認められた。
 このことは共産主義による貧富の弊害を打破するべく中国政府が民主化を示したと言えるでしょう。
 今後、日本は中国との国交を親密にし、インフラ整備や煤煙処理技術提携をしながら市場拡大しなくてはならなくなります。

 
四乃四四
2007/11/27 01:21

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