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help リーダーに追加 RSS 民主主義は人類普遍の価値なのか

<<   作成日時 : 2007/10/26 09:09   >>

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総裁選に負けて下野した麻生太郎氏が
外相時代に出した「自由と繁栄の弧」と題する外交論文は、
日本の新たな外交基軸を提示するものとして
話題を呼びました。

【参考】「自由と繁栄の弧」をつくる(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/easo_1130.html


その論文の中で麻生氏は、「価値の外交」について、
以下のように述べています。

民主主義、自由、人権、法の支配、そして市場経済。そういう「普遍的価値」を、外交を進めるうえで大いに重視してまいりますというのが「価値の外交」であります。


彼が明確に述べているのが、

「民主主義とは人類普遍の価値である」

ということです。


「人類普遍の価値」ということは、
人類みながその価値を共有しておりそれを求めている
と解釈することができると思います。


しかし、米国がイラクを民主化するという試みは
失敗に終わった。
(石油権益を守るという米国の国益は達成できましたが)


民主主義が人類普遍の価値であれば、
イラクの人々も民主化を求めると考えられたはずなのですが、
そうはならなかった。


少なくとも、イラク戦争が始まって5年以上経ちますが、
今のところイラク国民は米国主導の民主化を
受け入れていないことが伺えるわけで。


となると、
「民主主義とは本当に人類普遍の価値なのか」
という疑問が沸いてくる。


では、そもそも「自由と平等」を標榜する
民主主義はどういう経緯で生まれたのか。
また、それはどのような価値観を具現化したものなのか。


それは「人類普遍の価値」と言いながら、
実は極めて「宗教的側面」を有するものだったのです。


書評2回目は、このテーマでお送りさせて頂きます。





日本人のための憲法原論 日本人のための憲法原論
小室 直樹

集英社インターナショナル 2006-03
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いきなりであるが、以下の命題に興味をお持ちになった方は
是非本書を手にしてもらいたい。


● 民主主義と議会は関係ない。
● 民主主義と資本主義は双子である。
● 民主主義は独裁者の温床である。
● 民主政治は貧乏人の政治である
● 民主主義のルールとは「契約」である。
● 第二次大戦を起こした原因は平和主義者にある。
● 日本国憲法が民主主義を殺した。
● 平和主義と軍備は矛盾しない。



この本は「憲法」の本であるが、単なる「憲法」の本ではない。
もちろん、日本国憲法の条文解釈の本でもない。


そんな視野の狭い話ではなく、
「近代法」そのものを社会科学的見地から
解き明かした本である。


「憲法」に関する本を一冊だけ読めと言われたら、
有無を言わさず本書をお勧めする。そのくらい素晴らしい本だ。
「法学」や「政治学」の枠を超えられない
学者には絶対書けない本である。
さすが社会科学の碩学である。


さて、この本は「憲法」の本でありながら、
西洋史の話がほとんどである。
なぜだろうか。


それは、筆者曰く「憲法」とは、

「西洋文明が試行錯誤の末に産み出した英知であり、
人類の成功と失敗の経緯(いきさつ)を明文化したもの」


であり、そうであればこそ、「憲法」を知るためには、
欧米社会の歴史と、
その根本にあるキリスト教の理解が不可欠

だからである。


他に色々調べて思ったのは、
近代法の体系は、西洋のキリスト教的倫理観に
基づくものであり、その精神を受け入れなければ、
いつまでも「法」に対する違和感は
拭えないということだった。


この本は、その理由をもっと具体的に深く掘り下げて教えてくれる。
「憲法」ないし「法律」を学ぶに当たって、まず何を差し置いても
最初に手にするべき本ではないかと思う。


冒頭の命題も、この本に全て答えが書いてある。
そして、それらは「民主主義」を理解するためには
知っておかなければいけない話なのだ。
論点は非常に多岐に渡るが、
ここではほんの一部だけ紹介させてもらう。


「民主主義」の背景にある「キリスト教的倫理観」とは何か
という話。


それは宗教革命で起こった
「カルヴァン派」の倫理であると説く。
そして、「資本主義」の起源もこの思想にある。


つまり、「資本主義」と「民主主義」はセットなのだと。
それは一体なぜか。


「カルヴァン派(プロテスタント)」の思想に関しては本書を参照して
頂きたいが、彼らは「神様を絶対視し、徹底的に禁欲すること」を
モットーとした。
それは「人間の存在を軽視し、贅沢を忌み嫌う」ことを意味する。


われわれは、
「民主主義」は「個々人を大事にする」という発想から生まれたものだし、
「資本主義」は「豊かさを求める」という発想から生まれたものだと
教わってきた。


しかし、その実は両方ともそれと全く正反対の
思想を持つカルヴァン派から誕生したのだ。



この逆説的な因果関係を発見したのが、
かの有名な「マックス・ウェーバー」であるが、
彼は、このプロテスタントの行動原理を「行動的禁欲」と称した。


詳細は本書に譲るが、ここで民主主義を考える上で鍵となる
「人類みな平等」の発想は、カルヴァン派の思想に依拠する限り、
それは「人類への尊厳の付与」を意図したものではなく、


「絶対的な神に比べたら、人間なんてとるに足らない
存在であり、従ってそのちっぽけな人間社会の中にある、
身分や地位の差なんて神様から見たら、
あってないようなものである。
その意味において人間は平等なのだ」



という考えとなる。
つまり、

「人間の徹底的否定=神(イエス)の下での平等」

となるのだ。
これが「キリスト教的倫理観」である。


従って、「民主主義」では「契約」が重要となる。
キリスト教は、まず「神」と「人間」との契約から始まるからだ。


また、本書からは「民主主義」が
決して自然発生的に生まれたものではないこともわかる。

「民主主義」とは権力との戦いの上に勝ち取ったものなのだ。
決して、「人類普遍の原理」などではない。


だから、勝ち取ったものである以上「守らなければならない」。
この視点が日本人には決定的に欠けている。


真の民主政治をもたらすのも「民主主義」だし、
独裁者をもたらすのも、また「民主主義」なのである。


カエサルもヒトラーも日本の軍部も
決して力ずくで権力を奪ったわけではない。
そこには民衆の熱狂的支持という裏づけがあった。
「民主主義」はそういう暴走を許してしまう性質を備えているのだ。


だから、「民度」が非常に重要になる。


「自分たちのことは自分たちで決める」ことが
「民主主義」の本源ならば、
日本の「民主主義」の成熟度は、
まさに我々一人一人にかかっているのではないだろうか。


我々は「考えること」を、
そして「議論」をやめてはいけないのだ。


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
民度…
教育の程度ということに置き換えられますか?
であれば、もともと民主主義国家でなければ民主主義は根付かないということですね。
たしかに、そう考えればイラクの人々が民主主義を理解できないのは当然といえますね。
非常に考えさせられるブログなので、こちらにも記事を投稿してみませんか。
もっと多くの人の意見を集約できると思います。

詳しくはコチラです
http://clipedia.jp/
一人ひとりが情報を発信する新しいソーシャルニュースサイト
クリッペディアです。
クリッペディアって何?って方はコチラ
http://clipedia.jp/blog/?p=54
クリッペディア
2007/10/26 17:59
麻生さんはクリスチャンなので、
民主主義は普遍だという感覚に陥りやすいのでしょう。
あかさたな
2007/10/27 21:08
あかさたなさん>
コメントありがとうございます。麻生さんがクリスチャン(正確にはクエーカーだったと思いますが)ということはあえて明示的には触れませんでした。書評の文と絡めて恐らく推察頂けるであろうと思っておりましたので。日本人全体から見るとキリスト教徒は非常に少ないのですが、政財界の中枢にいるインナーサークルの人たちで特に海外と脈を持っている人の中にはクリスチャンの割合が高くなるというのを聞いたことがあります。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/28 22:25

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