![]() 「富の集中」が「カネの天下の回り方(資金効率)」を考える上で 重要な示唆をもたらすとはどういうことなのか。 本シリーズのほんとに最後の命題として、 この問題について考えてみたいと思います。 (ほんまに長くてすいません) <1億円もらったらどうしますか?> まず、頭の体操からいきましょう。 あなたは今、普通のいわゆる中流階層にいるサラリーマンであることを 想定してください。 (子供が何人かいて、毎月の生活がギリギリくらいの感じ) その状況下において、もし天から「1000円」降ってきたとしたら どうされるでしょうか。 (交番に届けるというのはナシですよ。 合法的にあなたのモノになるという前提です。) 多分、大半の方が 「全額貯金する」とお答えになるのではないでしょうか。 (旦那さんが「使ったらええやん」と言っても、よめさんが止めるパターン) では、次にもし天から「1億円」降ってきたとしましょう。 その場合でも1億円全額貯金するでしょうか? どんなにケチな人でも、多分そんなことはないと思うんですね。 だって1億円ですよ。100万くらいは使ってもいいでしょう。 人によっては千万単位で使う方も出てくるのではないでしょうか。 いずれにしろ、全額貯金することはあまり考えられず、 そのうちいくらかは消費に回す人の方が大半だと思われる。 以上の話は、多分感覚的に納得頂けるのではないかなあと 思うんですね。 これが今回の議論の前提です。 <カネを持っている人にカネを使わせる方が効果的> では、今の話を踏まえて問題です。 「政府が消費喚起のために100億円の減税プランを考えました。 国の納税者人口を1千万人として、一人当たり一律1000円減税する場合と ある特定の層100人に対して1億円減税するのとでは、 どちらが消費喚起効果があるでしょうか」 これまでの前提を踏まえると、答えは後者になりますよね。 なぜなら、前者の場合は減税額が小さいため、 おそらく大部分の人が貯金する可能性が高いのに対し、 後者の場合は、額が大きいために余裕が発生し、 いくらかは消費に回す可能性が高いと考えられるからです。 さらに、その「特定の層」を所得の高い層に特定するとどうなるか。 そうすると、さらに余裕資金が増えるため、 消費喚起効果は所得の低い層に適用する場合に比して アップする可能性が高くなることがいえますね。 (所得の低い層だと1億円のうち、ウン千万円は貯金に回してしまう ところを、高所得者層は全部使ってくれる可能性が高い) つまり、カネ持ちを優遇すればするほど、 天下に回るカネの量はそうでない場合に比べて増えることになり、 ひいては、マクロ経済全体に与える効果はより大きくなることが言える。 そういう観点から、 一見カネ持ちを優遇するかのように見える税制などは (累進課税を撤廃し、一律定率課税にするとか) 感情的な問題は別にして、経済的には一定の効果が期待できる というわけです。 カネを持っている人にカネを使わせることが 経済を効率よくまわすためには効果的であるというわけなんですねえ。 <富の集中が進むほど資金効率は良くなる> カネのある人にたくさんカネを集めれば、 さらにたくさんのカネが回り景気がよくなる。 これは、貨幣経済引いては資本主義の世界では「公理」であり、 このことを「複利の法則」と言ったりします。 簡単な例を挙げてみましょう。 今、1000万円を持っているAさんと、 1億円を持っているBさんがいるとします。 現時点での両者の差は9000万円ですね。 では、2人が年間利回り5%の案件に10年間投資したとします。 そしたら、10年度の両者の差はどうなっているでしょうか。 (Aさん) 1000万円×(1.05)の10乗≒1628万円・・・・@ (Bさん) 1億円×(1.05)の10乗≒1億6289万円・・・A A−@=1億4661万円となり、 差が5000万円も広がっていることがわかります。 ということは、見方を変えれば、 Bさんの方が資金効率がいいということがわかりますよね。 同じ率でも儲けている額が明らかに違うわけですから。 これが、 「富の集中」が「カネの天下の回り方(資金効率)」を考える上で 重要な示唆をもたらすということなのです。 つまり、「富の集中」が進めば進むほど、 資金効率がよくなり、カネが天下を回る量がより増える。 そして、それはさらに多くの富の増加をもたらす ということが言えるというわけなのです。 これが今世界中で起こっている状況なんですね。 <経済成長と国民の満足度はイコールではない> これまでサブプライム問題波及のメカニズムから、 それをもたらした背景に至るまで、考察を進めてきましたが、 最後はやや飛躍するかもしれませんが、 こういう話で締めくくりたいと思います。 今回の議論を踏まえて、 「資本主義の法則」というか「複利の法則」がわかってくると、 マクロの観点から見た経済成長(例:GDPの増加)と、 国民一人一人の幸せとは必ずしもイコールではない ということがわかる。 経済成長だけを追及するのであれば、 徹底的にカネ持ちを優遇して資金効率を高めれば、 その達成は容易になります。 しかし、それを放っておけば、当然格差の拡大をもたらします。 今の中国なんかはその典型路線を突っ走ってるわけですね。 一方、経済成長の恩恵を広く薄く享受させようとすると、 国民一人一人の効用(=満足度)は、 そうでない場合に比べてアップしますが、 資金効率が悪くなる分、成長の伸びが低くなります。 成長の鈍化は、巡り巡って国民生活全体に悪影響をもたらします。 成長だけを重視させて、格差が極端に拡大するのもまずいし、 かといって、結果の平等を重視して、成長が鈍化するのもまずい。 この折り合いをどこでつけるか というところに市場を補うという意味での 政治の役割が期待されているということなんだと思います。 資本主義は共産主義に勝ったといわれますが、 その資本主義のパラダイムが本当に人類にとっての最終解なのか。 我々一人一人が「幸せ」について、 もう一度考える必要があるのかもしれないという命題を提起したところで 今回のシリーズは幕を閉じさせて頂きたいと思います。 最後までお読み頂いた方は 長らくお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。 ←あなたのお役に立てたらクリックしてください(ご参考) 「経済」をもっと深く知りたい方におすすめの本
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データ上では消費性向は所得が多い人の方がかなり低いですよ. |
foma 2007/09/03 14:40 |
fomaさん> |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/03 15:17 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/03 15:17 |
【追記】 |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/03 15:46 |
本稿は頭で理解していても説明が難しかった問題について非常に判りやすく書いてあり、素人の私にも大変参考になりました。 |
chengguang 2007/09/03 23:48 |
>管理人さん |
foma 2007/09/04 01:44 |
新快速 播州赤穂行きさん、こんばんは。今日初めて気付いたのですが、拙ブログにリンクして頂き、大変ありがとうございます。 |
寛斗 2007/09/04 02:40 |
chengguangさん> |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/04 08:46 |
(続き) |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/04 08:46 |
fomaさん> |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/04 09:03 |
寛斗さん> |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/04 09:11 |
勉強になり、楽しく読ませて頂いています。日本では、低所得の人でもこだわりを持っている人は、高い物でも買います。こだわる人数が多いのが、日本人の特徴です。安い物なら良いとする外国に比べて、人間の資質の差が資本主義、又はグローバリズムの拡散を変化させると思います。アメリカが赤字なのは、楽観主義だからでしょう。 |
ねねこ 2007/09/05 09:27 |
ねねこさん> |
新快速 播州赤穂行き 2007/09/05 15:30 |
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