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help リーダーに追加 RSS 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(最終回:カネ余りの正体【資金効率上昇の観点】)

<<   作成日時 : 2007/09/03 11:23   >>

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あなたが平等主義者なら、どうしてそんなにお金持ちなのですか



「富の集中」が「カネの天下の回り方(資金効率)」を考える上で
重要な示唆をもたらすとはどういうことなのか。


本シリーズのほんとに最後の命題として、
この問題について考えてみたいと思います。
(ほんまに長くてすいません)




<1億円もらったらどうしますか?>


まず、頭の体操からいきましょう。
あなたは今、普通のいわゆる中流階層にいるサラリーマンであることを
想定してください。
(子供が何人かいて、毎月の生活がギリギリくらいの感じ)


その状況下において、もし天から「1000円」降ってきたとしたら
どうされるでしょうか。
(交番に届けるというのはナシですよ。
合法的にあなたのモノになるという前提です。)


多分、大半の方が
「全額貯金する」とお答えになるのではないでしょうか。
(旦那さんが「使ったらええやん」と言っても、よめさんが止めるパターン)


では、次にもし天から「1億円」降ってきたとしましょう。
その場合でも1億円全額貯金するでしょうか?


どんなにケチな人でも、多分そんなことはないと思うんですね。
だって1億円ですよ。100万くらいは使ってもいいでしょう。
人によっては千万単位で使う方も出てくるのではないでしょうか。


いずれにしろ、全額貯金することはあまり考えられず、
そのうちいくらかは消費に回す人の方が大半だと思われる。


以上の話は、多分感覚的に納得頂けるのではないかなあと
思うんですね。


これが今回の議論の前提です。






<カネを持っている人にカネを使わせる方が効果的>


では、今の話を踏まえて問題です。


「政府が消費喚起のために100億円の減税プランを考えました。
国の納税者人口を1千万人として、一人当たり一律1000円減税する場合と
ある特定の層100人に対して1億円減税するのとでは、
どちらが消費喚起効果があるでしょうか」



これまでの前提を踏まえると、答えは後者になりますよね。


なぜなら、前者の場合は減税額が小さいため、
おそらく大部分の人が貯金する可能性が高いのに対し、
後者の場合は、額が大きいために余裕が発生し、
いくらかは消費に回す可能性が高いと考えられるからです。



さらに、その「特定の層」を所得の高い層に特定するとどうなるか。


そうすると、さらに余裕資金が増えるため、
消費喚起効果は所得の低い層に適用する場合に比して
アップする可能性が高くなることがいえますね。
(所得の低い層だと1億円のうち、ウン千万円は貯金に回してしまう
ところを、高所得者層は全部使ってくれる可能性が高い)


つまり、カネ持ちを優遇すればするほど、
天下に回るカネの量はそうでない場合に比べて増えることになり、
ひいては、マクロ経済全体に与える効果はより大きくなることが言える。



そういう観点から、
一見カネ持ちを優遇するかのように見える税制などは
(累進課税を撤廃し、一律定率課税にするとか)
感情的な問題は別にして、経済的には一定の効果が期待できる
というわけです。


カネを持っている人にカネを使わせることが
経済を効率よくまわすためには効果的であるというわけなんですねえ。






<富の集中が進むほど資金効率は良くなる>


カネのある人にたくさんカネを集めれば、
さらにたくさんのカネが回り景気がよくなる。


これは、貨幣経済引いては資本主義の世界では「公理」であり、
このことを「複利の法則」と言ったりします。


簡単な例を挙げてみましょう。


今、1000万円を持っているAさんと、
1億円を持っているBさんがいるとします。
現時点での両者の差は9000万円ですね。


では、2人が年間利回り5%の案件に10年間投資したとします。
そしたら、10年度の両者の差はどうなっているでしょうか。


(Aさん)
  1000万円×(1.05)の10乗≒1628万円・・・・@

(Bさん)
  1億円×(1.05)の10乗≒1億6289万円・・・A


A−@=1億4661万円となり、
差が5000万円も広がっていることがわかります。



ということは、見方を変えれば、
Bさんの方が資金効率がいいということがわかりますよね。
同じ率でも儲けている額が明らかに違うわけですから。


これが、
「富の集中」が「カネの天下の回り方(資金効率)」を考える上で
重要な示唆をもたらすということなのです。


つまり、「富の集中」が進めば進むほど、
資金効率がよくなり、カネが天下を回る量がより増える。
そして、それはさらに多くの富の増加をもたらす
ということが言える
というわけなのです。


これが今世界中で起こっている状況なんですね。






<経済成長と国民の満足度はイコールではない>


これまでサブプライム問題波及のメカニズムから、
それをもたらした背景に至るまで、考察を進めてきましたが、
最後はやや飛躍するかもしれませんが、
こういう話で締めくくりたいと思います。


今回の議論を踏まえて、
「資本主義の法則」というか「複利の法則」がわかってくると、
マクロの観点から見た経済成長(例:GDPの増加)と、
国民一人一人の幸せとは必ずしもイコールではない

ということがわかる。


経済成長だけを追及するのであれば、
徹底的にカネ持ちを優遇して資金効率を高めれば、
その達成は容易になります。
しかし、それを放っておけば、当然格差の拡大をもたらします。

今の中国なんかはその典型路線を突っ走ってるわけですね。


一方、経済成長の恩恵を広く薄く享受させようとすると、
国民一人一人の効用(=満足度)は、
そうでない場合に比べてアップしますが、
資金効率が悪くなる分、成長の伸びが低くなります。

成長の鈍化は、巡り巡って国民生活全体に悪影響をもたらします。


成長だけを重視させて、格差が極端に拡大するのもまずいし、
かといって、結果の平等を重視して、成長が鈍化するのもまずい。


この折り合いをどこでつけるか
というところに市場を補うという意味での
政治の役割が期待されているということなんだと思います。


資本主義は共産主義に勝ったといわれますが、
その資本主義のパラダイムが本当に人類にとっての最終解なのか。


我々一人一人が「幸せ」について、
もう一度考える必要があるのかもしれないという命題を提起したところで
今回のシリーズは幕を閉じさせて頂きたいと思います。


最後までお読み頂いた方は
長らくお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。



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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
データ上では消費性向は所得が多い人の方がかなり低いですよ.
従って結論は全く逆になると思います.
格差縮小は経済成長を促すでしょう.
現在の金持ち優遇の政策は経団連等の金持ちが運営する団体が政治に圧力をかけているからでしょうね.自分が金持ち側の人間なら同じ事をしますが(笑
foma
2007/09/03 14:40
fomaさん>
非常に重要な問題を提起して頂きありがとうございます。私も金持ち側の人間ではありませんので、「格差縮小⇒経済成長」を期待したい一人なのですが、お金の法則を考えると必ずしもそうとも言い切れないんじゃないの?と考える立場です。確かにおっしゃるように消費性向は低所得者層の方が高いでしょう。一般的な家庭では「貯蓄をする余裕がない」という方が多いと思いますので、それはデータ上からも感覚上からも理解できます。しかし、ここで私が問題としているのは「限界消費性向」の方です。つまり、「追加で一単位収入が増えたときにどのくらい消費が増えるか」という観点です(釈迦に説法だったらごめんなさい)。限界消費性向に関しては、所得の低い人が高くなるとは必ずしもいえないのではないかと。日本に関して言うならば、年金や増税等将来的な不安要因が多々ある中で、仮に10000円程度減税されたからといって、それを素直に消費に回す人はそう多くないのではないかと考えたわけです。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/03 15:17
(続き)
だったら、余裕のある人の可処分所得を増やした方が消費に回る可能性は高いのではないか、実際に格差が拡大しているといわれている中で、高級品がバンバン売れているのはその表れではないかと。カネ持ちは消費性向の点で低所得者よりは小さいかもしれないが、限界分は高いと思われるし、そもそも消費に使っている額が低所得者層と全然違うということは考慮しておく必要があると思います(「率」ではなく「額」の問題)。ちなみに、私は経団連の回し者ではありませんよ(笑)。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/03 15:17
【追記】
ちょっと本文の表現が悪かったので、一部修正させて頂きました。

【修正前】一方、経済成長の恩恵を広く薄く享受させようとすると、国民一人一人の効用(=満足度)は、そうでない場合に比べてアップしますが、資金効率が悪くなる分、成長を鈍化させてしまいます。

【修正後】一方、経済成長の恩恵を広く薄く享受させようとすると、国民一人一人の効用(=満足度)は、そうでない場合に比べてアップしますが、資金効率が悪くなる分、成長の伸びが低くなります。

あんまり変わんないかな??
新快速 播州赤穂行き
2007/09/03 15:46
本稿は頭で理解していても説明が難しかった問題について非常に判りやすく書いてあり、素人の私にも大変参考になりました。
その一方で、矛盾するようですがfomaさんが書かれていることも判る気がし、それが悩みの種となっています。問題は、昨日のご返答にも書かれていた、国際会計での資本収支と国内会計での負債との考え方の違いにあります。
国内会計の考え方から見ると貧乏なはずのアメリカ人は、他国から金を借りて(投資という名で擬装していますが)それを湯水のごとく使っています。
何故国際会計は国内会計とは異なる考え方をしているのでしょう、そのメリットは何なのでしょうか。
chengguang
2007/09/03 23:48
>管理人さん
長文で返信して頂きありがとうございます
>chengguangさん
実は矛盾ではないのです.前提が違う為に答えが違っています.リカードの命題と言って,一時的(所得税の)減税は将来の増税となるため,減税は効果が無いとする考えが有ります.管理人さん の意見を勝手ながら読み替えると,将来の不安=将来の増税 です.確かに,消費は変化しないでしょう.しかし,私は減税ではなく,低所得者の所得自体が恒久的に増える場合を想定しています(残業代の大幅な増額,年金給付増額など)この場合,恒久的ですから,将来の不安は有りません.消費が増加するのです.
私の仮定が現実的で無いように感じるかもしれませんが,格差を縮小するような政策はほとんどコレに当たります.(経団連の掲げている政策はまるっきり逆(笑)

実は私が知らず知らずのうちに議論(前提)をすり替えていたことに今頃気付きました.
foma
2007/09/04 01:44
新快速 播州赤穂行きさん、こんばんは。今日初めて気付いたのですが、拙ブログにリンクして頂き、大変ありがとうございます。

ところで、私は経済、中でも金融経済が大の苦手な領域です。知人がたとえ金融関係の話を日本語でしても、まるで外国語を聞いているかのように理解ができません(笑)。

しかし、当記事では分かりやすく噛み砕かれて説明されているので、理解しやすく、従って教えられました。これからも政治学のみならず、経済学においても学ばせて頂きます。
寛斗
2007/09/04 02:40
chengguangさん>
コメントありがとうございます。経常収支と財政収支の違いについては確かにわかりにくいですよね。そのような疑問を持たれるのはもっともだと思います。その辺について比較的わかりやすく解説してあるサイトを見つけましたのでご紹介します。私の説明よりわかりやすいと思います。http://www.asyura2.com/0311/hasan32/msg/564.html
さて、米国の話ですが、確かに米国は経常収支が赤字の分を資本収支の黒字(他国からの借金)で賄っているのはその通りなのですが、その経常赤字の恩恵(=米国にたくさんモノを買ってもらっている)を受けているのは他ならぬ日本であり、最近台頭しているアジア各国であるという視点は重要です。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/04 08:46
(続き)
つまり、借金しまくってでもカネを使ってくれるという一見異常な消費行動の上に、世界経済が成り立っているという現実ですね(米国では家を借金で買って、さらにその家を担保にしてさらにカネ借りて消費するというくらいですから。日本では考えられませんよね)。なので、その構造がおかしいということはわかっていても、急激に是正するということは逆に我々に火の粉が飛んでくることになり、世界経済全体の大きな影響を及ぼします。実は、この構造を何とかしたいと考えているのは他ならぬ米国ですから。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/04 08:46
fomaさん>
確かにfomaさんのおっしゃる前提(低所得者の所得自体が恒久的に増える場合)であれば、私も消費は増加する可能性は高いと思います。他にも色々議論があると思いますが、私の意見が「将来の不安=将来の増税」というのはその通りです。将来に対する不安が全くなくなれば、極端な話貯蓄する必要が全くなくなるわけですから、爆発的に消費は増えるになりますね。次に格差を縮小する政策として何が適切かについてですが、これは立場によって議論が紛糾しそうなんで難しい問題ですね。個人的には、「機会の平等」・「同一職種・同一賃金」・「教育」という視点が重要かなと考えています。企業がグローバルに展開している時代において、民主党の言うような最低賃金の一律上昇のような施策は効果が薄いと考えています(賃金上昇どころか雇用そのものがなくなる危険性)。そういう意味では経団連に近い考え方なのかもしれませんね。「格差」の問題についてはまた別途項を改めて考えようと思っています。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/04 09:03
寛斗さん>
コメントありがとうございます。実はリンクさせて頂いたのはつい2,3日前のことなんです(笑)。こちらこそリンクして頂きありがとうございます。リンクさせて頂いた方はそれぞれみなさん独自の視点をお持ちで、訪問させて頂く毎に必ず何らかの気づきをもらって帰れます。寛斗さんのドイツ発の情報も、日本ではそれこそめったにお目にかかれない貴重なものなので(メルケルのイケてるぶりはは御サイトで初めて知りました)、こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/04 09:11
勉強になり、楽しく読ませて頂いています。日本では、低所得の人でもこだわりを持っている人は、高い物でも買います。こだわる人数が多いのが、日本人の特徴です。安い物なら良いとする外国に比べて、人間の資質の差が資本主義、又はグローバリズムの拡散を変化させると思います。アメリカが赤字なのは、楽観主義だからでしょう。
ねねこ
2007/09/05 09:27
ねねこさん>
コメントありがとうございます。確かにおっしゃるとおり、日本人の選択的消費(こだわりの消費)は米国に比して高い面はあると思います。ただしその場合に支出の総額が増えているのか、それとも欲しいものを買うために他の消費を我慢しているのか(=総額の支出は増えない)という議論、つまり、限界消費性向が低所得者層でも高くなるのかというのは、また別の議論としてあるような気がします。あと、米国の赤字が楽観主義から来ているというのも確かにその通りだと思われ、上のchengguangさんへのコメントでも書きましたように、米国の消費者は家を借金で買って、さらにその家を担保にしてさらにカネ借りて消費するというくらいですから、日本ではちょっと考えられないくらいお気楽な人達です。それがまさに「人間の資質の差」というものなんでしょうね。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/05 15:30

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