途転の力学

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help リーダーに追加 RSS キングメーカーの復活?(ポスト安倍と政界再編の可能性を探る:その7)

<<   作成日時 : 2007/09/25 19:23   >>

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福田政権が正式に発足する運びとなりました。
この記事を書いているのはまだ組閣前ですが、
閣僚人事はおそらくサプライズがないであろうことから、
今後の展開について、考察を始めたいと思います。


まず、今後を考えるにあたって、
今回の総裁選における動きを今一度振り返ることから
始めたいと思います。


過去記事でも書きましたように、
今回の総裁選は、安倍さん辞任直後の麻生有利から一転、
福田支持への雪崩現象が起きました。


薄っすらと総理総裁になりたいとは夢見ていたものの、
明らかに準備不足の姿をさらけ出した突然の出馬。


「『お膳立て』が用意されなければ出ない」という、
勝てるいくさしかしない福田さんの出馬。

【参考】福田氏はなぜ立候補したのか
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_15.html


彼のための「お膳立て」は一体誰が用意したのか。


今回の総裁選の一連の動きを振り返ってみると、
だんだんとその黒幕が見えてきました。


同時にそれは、今後の政局のカギを握る
キーパーソンをも浮かび上がらせたのです。
(ここからは思いっきり仮説です)




<「福田支持」ではなく「反麻生」での結集>


今回の総裁選における、福田氏への雪崩現象は、
「福田支持」というよりは、
明らかに「反麻生」の様相を呈しておりました。


【参考】安倍氏の後継、「麻生」VS.「反麻生」の様相
http://www.asahi.com/politics/update/0912/TKY200709120363.html
【参考】自民総裁選 「反麻生」、福田氏に結集 23日投票
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070914-00000022-maip-pol


逆に言うと、福田さんには申し訳ないのですが、
「反麻生」で勝てそうな人物であれば、
誰でもよかったと言えるわけです。


福田さんが最大派閥から出てきたというのは、
そのことと無関係ではないと思われます。


これも過去記事で述べましたが、
福田さんはお父さんと違って、派閥の長でもなければ
多数の子分を率いているわけでもない孤高の存在。
そんな彼が自力で総理になれるわけなどないわけで。

【参考】福田氏はなぜ立候補したのか
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_15.html


つまり、福田さんは「お膳立て」の元に、
「反麻生」のレールを引いた人たちに担ぎ出されたわけです。
では、彼を担ぎ出したのは一体誰だったのでしょうか。


今回の福田さんへの雪崩現象は、
麻生派以外の全派閥が「福田支持」に回ったため、
「派閥談合」という批判を浴びました。

【参考】麻生氏が「派閥談合」とけん制 福田氏への支持拡大で
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070914/shs070914008.htm
【参考】野党3幹事長、「自民総裁選は派閥談合の復活だ」 早期解散を要求で一致
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070914/skk070914003.htm


では、その談合を取り仕切ったのは誰なのか。


町村派の実質的会長である森さんなのか。
いろんな憶測が浮かび上がりましたが、
昨日発表された党役員人事における前代未聞の出来事で、
その正体が明らかになったのです。




<黒幕の影が見えた仰天人事>


昨日の役員人事発表で何が起こったのか。


まず、福田さんが役員人事に着手したのが23日午後。
ここでは、「3役人事に着手」とあります。

【参考】福田氏、自民党3役人事に着手=「全員協力の布陣」で−官房長官に細田氏の名
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007092300251


そして、翌日発表された人事はどうだったのか。
そこにあったのは、「3役」ではなく「4役」だったのです。


【参考】自民党、新役員人事「4役」体制で
http://www.afpbb.com/article/politics/2288188/2176653


では、なぜ「3役」ではなく「4役」になったのか。
それはこの人が「ゴネった」からです。
その人物とは、そう古賀派の会長、古賀誠氏です。

【参考】古賀誠
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E8%B3%80%E8%AA%A0


彼は何を「ゴネった」のか。
彼は、福田さんが用意した「総務会長」のポストを拒否し、
選挙を仕切るポストをくれといってきたのです。

【参考】古賀氏ご満悦、総務会長内定拒否し新4役(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070925-261003.html
【参考】古賀氏の野望?選挙握って自民占拠
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/09/25/04.html


古賀氏はいち早く福田支持を表明したので論功行賞として
ポストを要求するのはわかります。


また、下馬評では「幹事長」候補といわれていたのに、
実質おかざりの「総務会長」では気に入らないというのも
わからないでもない。

【参考】福田総裁選出へ 幹事長に古賀氏有力
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070922/shs070922007.htm


しかし、総裁からせっかく与えられたポストを
気に入らないから断って違うポストを要求するのも変な話だし、
その要求を鵜呑みにする福田さんもどう考えたって変だ。


「ゴネ得」を許した福田さんの行為は、
明らかに党内の不協和音を呼ぶ。
それは福田さんもわからなかったはずがない。


【参考】謀略説を否定した安倍首相の「真意」
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070924/shs070924007.htm
 
福田は、党則を変え、「党三役」を「党四役」にし、選対総局長に代わる選対委員長に古賀誠が就任することを説明。古賀の笑顔に対し、再任された総務会長の二階俊博は最後まで仏頂面を崩さなかった。
 
ところが、24日午前、4人が党本部4階の総裁室に入って約1時間半の間に古賀、二階の人事はひっくり返った。二階の仏頂面の理由はここにある。総裁室から出た古賀は、「自分で言うのもおかしいが、『選挙は自分が一番適任だ』と総裁に申し上げた。まあ私の希望だ」と語った。 

福田は古賀の要望を全面的に受け入れ、総裁直属機関の選対委員長として格上げした。党四役入りするため、警護官(SP)もつくことになる。
 
 この決定を聞いた閣僚経験者は「総裁直属機関ということは幹事長の意向も無視できる。しかもゴネ得を許してしまった。各派領袖はますますゴネ出すぞ。福田は就任早々大変なミスをしてしまった」とつぶやいた。
 
 古賀は総務会後、伊吹や二階らに「選挙はみんなでやることだから協力をお願いします」と頭を下げたが、この言葉に1人は「さっそく命令する気か」と憤慨した。政権のきしみは早くも始まっている。



それがわかっていながら、なぜ古賀氏をこうも厚遇したのか。
古賀派は第三派閥といっても50人弱だ。
自民党内で絶大な力があるわけではない。
50人のために、残りの300人を敵に回すのか。

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そこまで福田さんが「バカ」とは思えない。
では、なぜ不協和音覚悟で古賀氏を厚遇したのか。


それは、古賀氏の後ろにある人物の影があったからなのです。




<キングメーカーの復活?>


その古賀氏の後ろにいる人物とは誰なのか。
おそらく答えはこれ。

【参考】福田政権誕生は「新5人組」の力? 野中氏は否定
http://www.j-cast.com/tv/2007/09/25011588.html


(問い)
今回、大きな力を発揮されたやに伝えられていますが?

(野中氏)
いやいやそれは間違いです。古賀さんから『福田さんでやろうと思います』と電話がありましたよ。(安倍首相辞任表明の)12日夜です。

(問い)
2000年4月に小渕さんが倒れた際も、野中さんら5人が集まって密室談合で後継に森さんを決めたと言われていますが。

(野中氏)
あの時は緊急事態だった。今回は、古賀さんが宏池会の流れをくむ谷垣さんと組む、山崎さんと組む。見事な手腕だと思いますね

このあとやはり旧5人組の一人、村上正邦氏にもインタビュー。この中で村上氏は、福田で急きょ意思統一されたことについて「反麻生の憎悪で一つに固まったんだと思います」。



小泉時代より前から政治を見てらっしゃる方は、
古賀氏といえば「この人」というのが浮かび上がるはずです。

【参考】古賀幹事長でいいのか 渡部亮次郎
http://blog.kajika.net/?eid=671090

古賀さんは野中広務さんとは派閥は違うが師弟関係にあるそうで、2000年には野中さんの「指名」で自民党幹事長に就任。本来、幹事長は総裁指名だが、当時、野中さんはそれだけの力があったということだ。総裁森喜朗氏は野中さんに頭が挙がらない事情があった。


そう、小泉さんと戦って政界を引退し、
かつて自民党で大キングメーカーとして活躍した
あの「野中広務」氏のことです。


【参考】野中広務
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E4%B8%AD%E5%BA%83%E5%8B%99
【参考】野中氏が引退表明
http://www.geocities.jp/asayakuzaisikai/renmei4.htm

自民党の野中広務元幹事長(77)は9日夕、党本部で記者会見し次期衆院選には出馬せず、今期限りで政界を引退する考えを明らかにした。野中氏は小泉政権の打倒に残された政治生命を懸ける決意を強調。


ご本人は一応否定されているようですが、
わざわざ12日に古賀さんから連絡を受けているところから、
何も関与していないと考える方が不自然ではないかと。


では、「反小泉」の野中さんが何で今頃?
という疑問が沸いてきますよね。
小泉さんは既に総理の座から降りていないんだから、
このタイミングで出てくる理由がわからない。


たしかに「反小泉」に関してはそのとおりなのですが、
ここでポイントとなるのは「反小泉」ではない。


実は、この人は「反小泉」以上に「反麻生」なのです。
今回の麻生さんの出馬を公然と批判していることからも
わかります。

【参考】麻生氏の総裁選出馬を批判=野中元自民党幹事長(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007092100937

野中氏は麻生氏に関し「平等社会なんて言っているが、3段ぐらい上から下を見下ろすような、言葉に責任を持てない男だ」と酷評。


では、なぜ野中さんは「反麻生」なのか。
麻生さんが小泉・安倍路線の継承者だからか。


それは違いますね。
野中さんも麻生さんが小泉・安倍路線の継承者でないことは
わかっている。
小泉路線の継承者はむしろ福田さんの方ですから。


となると、野中さんは「路線」ではなく、
「麻生さん個人に対して」批判的であることがわかる。
しかも憎悪にも似た感情だ。
それは上の発言からも読み取れる。


では、なぜ野中さんは麻生さんに憎悪を抱いているのでしょうか。




<人間の「怨念」が政治を動かす力学となる>


それはおそらくこれ。

【参考】野中広務
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E4%B8%AD%E5%BA%83%E5%8B%99

麻生太郎による部落差別発言
魚住昭『野中広務 差別と権力』、角岡伸彦『はじめての部落問題』などによると、麻生太郎は過去に野中に対する差別発言をしたとして、2003年9月の麻生も同席する自由民主党総務会において、野中に以下のとおり批判された。

「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」野中の激しい言葉に麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだったと記されている。 同種の報道は「噂の真相」「週刊現代」も行った。



私は政治にはまだまだド素人で、
政治に関心を持ち始めたのもここ2年くらいなのですが、
その拙い観察歴からでもわかったことがあります。


それは、政治を動かす力には3つの要素があるということ。

ひとつは 「理念」
これは当たり前ですね。
しかし、その理念の差は基本的に政党の差であらわれるはずだ。


では、基本的に同じ理念である党内では
どういう力学が働くのか。


それは、「カネ」であり、
「カネ」よりもさらにかもしれないのが、
人間の「嫉妬」・「怨念」であるということ。



小泉さんが野中さんを追放したのも「怨念」でした。
安倍さんが執拗に叩かれたのも「怨念」でした。

【参考】安倍政権叩きのウラは何なのか
http://keyboo.at.webry.info/200707/article_20.html


そして、自らの出自に対して麻生さんに否定された野中さん。
これは人間として最大の憎悪が発露してもおかしくない。


「絶対に許さん!」という言葉に表れている「怨念」。
それが彼を動かすのに十分な理由になったとしても
不思議ではないし、実際に彼は動いたのだろう。


つまり、「反麻生」=「福田擁立」の黒幕は
ほかならぬ野中氏だったのだ。



それがわかっていたからこそ、その子飼いである
古賀氏を厚遇せざるを得なかった。
今回の仰天人事のウラは、こういう構図が
あったのではないかと推察したわけです。


このことは、今後の政局を占う上で、
非常に興味深い絵が浮かびあがってくることになります。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_24.html


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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、政治の世界は、奥が深いですね
長田ドーム
2007/09/25 19:28
野中さんじゃなくてナベツネが暗躍したんじゃないか?という説もありますね。
「野中は部落だから総理にはできん」とか「アルツハイマーでもわかる」よりもある意味アレな発言ですね。まあ、ここが麻生太郎の麻生太郎たるゆえんか。

まあ、若者人気が絶大な麻生さんに嫉妬したか何かしたか、
ともかくこの国の老害どもが暗躍したってことは間違いなさそうです。
あかさたな
2007/09/25 20:18
興味深く拝読しました。私もここで書かれている分析と同意見です。他にも、福田担ぎの要素はいくつかあったにせよ、野中さんが出て来て古賀さんをプッシュした理由は自分の出自を否定されたことから来る怨念に他ならないでしょうねえ。。
はじめまして。
2007/09/25 22:37
長田ドームさん>
コメントありがとうございます。色々考察してみると、政治の世界は本当に泥臭いことがよくわかりますね。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/25 23:21
あかさたなさん>
こんばんは。確かに総裁選における読売の動きが変だったということは、結構多くの方が感じておられるみたいですね。私も過去記事で読売の世論調査を題材にしましたが、「ほんとかよ??」って思いましたから。ただ、この麻生さん人気がいつまで続くか、以外に福田さんが手堅い仕事をしたときが彼にとってのリスクシナリオでしょうね。期待値が低い分だけ可能性もあるかもしれません。麻生さんは人気を落とさないためにも遊説なり、メディアなりへの露出は継続的に行っておくべきなんでしょうね。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/25 23:26
はじめましてさん>
コメントありがとうございます。これは私の推測なので外れている可能性も大いにあるのですが、人間の恨みの恐ろしさ、とくに政治におけるですね。権力闘争ですから、そういうものが人間を突き動かす迫力というか、そういうものを感じました。福田さんがその影の中でどこまで自分の色を出せるか、というかまともな政策が出来るか、お手並み拝見といったところでしょうか。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/25 23:28
播州赤穂行き様、こんばんは。いつもながらの切れ味鋭い分析ありがとうございます。
今週は遅めの夏休みで、いろいろバタバタしてまして、時事考察はお休み状態です。こんなときは途転の力学を読むに限ります(笑)
最近の分割エントリーいいですね。播州赤穂行き様の文章はとても分かり易く、かつ読ませますので、いつも続きが気になります(w
さて、政治を動かす、「理念」「金」「怨念」ですが、ご分析を読むにつけそのとおりなんだろうと思えてきます。「金」と「怨念」を廃した「理念」先行の政治家が一定数以上必要な気がしてくるのですが、本来は貴族院を先祖にもつ参院がその役目をはたすべきなんですよね。
日比野
2007/09/26 00:36
日比野さん>
コメントありがとうございます。またお褒めの言葉頂戴し恐縮でございます。よく「『二世議員』や『金持ち』が議員になったら庶民の気持ちがわかっていないから駄目だ」というもっともらしい話が聞かれたりするのですが、果たして本当にそうなのかなと思うことがあります。資質がないのに「二世」だからという理由だけで地盤を引き継ぐことの問題点はまた別にあるとして、「理念」先行の政治家になるためには、ある程度自分が裕福であることは必要条件の一つなのではないかという気がするのです。自分に余裕があって、初めて純粋な奉仕の精神が生まれるというか。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/26 23:51
(続き)
「庶民政治家」が悪いとはいいませんし、一定数必要であるとは思いますが、みんなが「庶民政治家」になってしまうと、目先のお飯を食うことだけに目がいきがちになってしまって、長い目で見た国家戦略がそういう人たちに描けるかというとなかなか難しいのが現実ではないかと思うんですね。あと、余裕がないから「カネ」に走ったりとか。どなたかが「参議院は無給にしたらいい」とおっしゃっていましたが、「理念」先行の政治家を生むための手段としてはいいアイデアではないかなあと思いました。ちなみに私は思いっきり「庶民」ですけど(笑)。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/26 23:52
嫉妬と怨念ってある意味全ての原動力というか、政治以外のどの世界でも通じるものですね。それにしてもどこにでもある人間の最も生臭い面が出て来るのが政治の世界ですね。日本に限らずどこの国でも人間が感情的になって罵倒し合ったり時には殺し合うのが、政治か宗教と相場が決まってますが、戦国時代と人類はちっとも変わってないようですw。
文太
2007/10/01 09:12
文太さん>
コメントありがとうございます。ほんとに人間は感情のコントロールという知恵はどれだけ科学が発達しても身につけることはないようですね。特に政治の世界はプライドの高いお山の大将の集まりなので、なおのこと「怨念」もねちっこくてタチが悪そうです。私には絶対渡り歩けない世界です。。。
新快速 播州赤穂行き
2007/10/01 23:37

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