途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 安倍首相辞任の背景を探る(その1:不可解な辞任理由と唐突過ぎた「職を賭す」発言)

<<   作成日時 : 2007/09/13 15:50   >>

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この筋書きは全く予想しておりませんでした。


9日の「職を賭す」発言から3日後の昨日12日午後、
安倍首相が突如辞任を表明いたしました。


誰もが、「テロ特」と心中するものだとばかり思っていた矢先の
辞任表明に、列島中だた「なぜ」の言葉が走るばかりでした。


記者会見の様子も見ておりましたが、
首相の言葉からは、辞任のはっきりとした理由はわかりませんでした。


なぜ、このタイミングで辞任なのか、
そして、今後の政局及び政策はどうなるのか。


一夜明けて未だに「ナゾ」の多いこの辞任劇ですが、
推論を交えて、その背景と今後の展開について占ってみたいと思います。






<「テロ特」だけに絞られたおかしな辞任理由>


安倍首相は、昨日の記者会見において
辞任を決断した理由として以下の点をあげています。


● テロ特措法延長を何としても成し遂げなければならない

● しかし、小沢さんに党首会談を断られてしまった

● 民主党は自分が総理である限り、話し合いを持ってくれないと思った

● だから法案を通すために、自分は辞任しなければならないと判断した



【参考】安倍首相辞任:緊急会見で話した内容の全文掲載
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070912k0000e010086000c.html

 本日、総理の職を辞するべきと決意をいたしました。

 7月の29日、参議院の選挙が、結果が出たわけですが、大変厳しい結果でございました。しかし厳しい結果を受けて、この改革を止めてはならない、また戦後レジームからの脱却、その方向性を変えてはならないとの決意で続投を決意をしたわけであります。今日まで全力で取り組んできたところであります。

 そしてまた先般、シドニーにおきまして、テロとの戦い、国際社会から期待されているこの活動を、そして高い評価をされているこの活動を中断することがあってはならない、なんとしても継続をしていかなければならないと、このように申しあげました。国際社会への貢献、これは私が申し上げている、主張する外交の中核でございます。この政策は何としてもやり遂げていく責任が私にはある、この思いの中で、私は、中断しないために全力を尽くしていく、職を賭していく、というお話をいたしました。そして、私は、職に決してしがみつくものでもない、と申し上げたわけであります。そしてそのためには、あらゆる努力をしなければいけない。環境づくりについても、努力をしなければいけない、一身を投げ打つ覚悟で、全力で努力すべきだと考えてまいりました。

 本日、小沢党首に党首会談を申し入れ、私の率直な思いと考えを伝えようと。残念ながら、党首会談については実質的に断られてしまったわけであります。先般、小沢代表は民意を受けていないと、このような批判もしたわけでございますが、大変残念でございました。今後、このテロとの戦いを継続させる上において、私はどうすべきか、むしろこれは局面を転換しなければならない。新たな総理のもとで、テロとの戦いを継続をしていく、それを目指すべきではないだろうか。きたる国連総会にも、新しい総理が行くことが、むしろ局面を変えていくためにはいいのではないか。

 また、改革を進めていく、その決意で続投し、そして内閣改造を行ったわけでございますが、今の状況でなかなか、国民の支持、信頼の上において力強く政策を前に進めていくことは困難な状況であると。ここは自らがけじめをつけることによって、局面を打開をしなければいけない。そう判断するに至ったわけでございます。

 先ほど、党の五役に対しまして私の考え、決意をお伝えをいたしました。そしてこのうえは、政治の空白を生まないように、なるべく早く次の総裁を決めてもらいたい、本日からその作業に入ってもらいたいと指示をいたしました。私としましても、私自身の決断が先に伸びることによってですね、今国会において、困難が大きくなると。その判断から、決断はなるべく早く行わなければならないと、そう判断したところでございます。

 私からは以上であります。




上は会見内容の全文なのですが、
要点だけから言うと、これだけのことしか言っていません。


この内容で注目すべきなのは、

「自分の支持がなくなったから責任を取って辞任する」

と言っているわけではなくて、

「『テロ特』を通すのは自分では無理だから辞任する」

ということしか言っていないという点です。

【参考】テロ対策特別措置法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E5%AF%BE%E7%AD%96%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E6%B3%95


このことは、会見内容に国政を混乱させたことに対する
国民への謝罪表明がないことからも見て取れます。


つまり、国政全般に対する責任ではなく、
「テロ特」だけにしか言及されていない。

(正確には「インド洋での海上自衛隊の給油活動」)

【参考】自衛隊インド洋派遣
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3


これは単なる方便でしかない可能性があるとは言え、
これが辞任の理由の全てというのは、ちょっと「ヘン」だと思いませんか。


たしかに、その後与謝野官房長官が言われていたように、
「健康問題」も大きな理由となったとは思います。
あれだけ叩かれて心労も並大抵ではなかったでしょう。


しかし、本当に「健康問題」が主因であるならば、
もっと早く辞任していたはずですね。


健康に不安があるのは兼ねてから周知のことでありましたが、
容態が悪化したのが先月の下旬からということなので、
それだったら少なくとも所信表明演説より前には決断をしていたはずだ。

【参考】首相退陣の背景に健康問題、両立に深い苦悩も=官房長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070912-00000535-reu-bus_all
【参考】安倍首相が慶大病院に入院 機能性胃腸障害が悪化と診断
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2007091301000382.html


従って、「健康問題」は要因の一つではあったかもしれないが、
「主因」というのは、ちょっと違うような気がする。


また、一部報道で、週刊誌が安倍さんの「脱税疑惑」を
スッパ抜いたから、これが辞任の理由ではないかと
はやし立てる向きもあるみたいですが、
個人的にはこれも「主因」ではないと思います。

【参考】「健康不安」?「スキャンダル」? ひよわな宰相不可思議な辞任
http://www.j-cast.com/2007/09/12011274.html
【参考】「脱税疑惑」で週刊誌が取材
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200709120361.html


そう考えると、今回の辞任劇は、
「彼の意思だけではない、何か違う政治力学が働いた」
という可能性が否定できないような気がするのです。








<あまりに唐突だった「職を賭す」発言>


まずは、真相を探るため、
ここ数日の安倍さんの動向を振り返ってみましょう。


8日午前  日米首脳会談
8日夜   中国が安倍首相に年内訪中要請
9日     「職を賭す」発言(最初のサプライズ)
10日午前  所信表明演説
10日午後  麻生幹事長に辞意示唆
10日午後  国連総会欠席の連絡
12日午前  民主小沢代表に党首会談申し入れ(断られる)
12日午後  退陣記者会見  



昨日の辞任会見もかなりのサプライズでしたが、
その丁度3日前にも、「えっ??」と思わせる発言がありましたよね。


そう、いわゆる「職を賭す」発言です。

【参考】給油活動継続できねば退陣 首相「職を賭す」と決意強調(9日)
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070909/shs070909004.htm


この「職を賭す」発言とは一体何なのかというと、
APECでの日米豪首脳会談の後に会見した安倍首相が、
「インド洋での給油活動継続ができなければ退陣する」と
突如表明し、周囲をびっくりさせた発言のことです。


「民主党をはじめ野党の理解を得るため、職を賭して取り組んでいく。
職責にしがみつくということはない」



参院選でも自身の進退への言及を避けてきた安倍さんの
いきなりの退陣覚悟発言。
惨敗で反省して潔くなったかとも思われましたが、
やっぱりどうも「ヘン」な感じがしたんですね。


というのも、確かに「テロ特措法」が非常に重要なのはわかりますが、
参院選で大敗しても辞任しなかった安倍さんが、
この「テロ特」が「職を賭す」ほどの覚悟を持ってやると
彼自身が「自分の意思で」判断したとはどうしても思えないのです。



そんな疑問を抱きながら、上の日程表を見てみると、
以下の重要な事実に気が付きます。


@ 「職を賭す」発言の前に安倍さんはブッシュとサシで会談していた。


A 会見では小沢さんへの党首会談が拒否されたからと言っているが、
  10日午後に国連総会欠席の連絡をしているということは、  
  既に10日の時点で辞任を決断していた。



この2つの事実が意味するところは何なのか。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_11.html

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
新快速播州赤穂行きさん、こんばんは。TBありがとうございました。
続き楽しみにしております。
「2つの事実が意味するところは何なのか」気になるところです。
ナルト
2007/09/13 18:33
安倍首相の辞任について脱税疑惑が週刊現代に書かれています。ブログ「永田町時評」の「安倍首相辞任の真相は3億円脱税か」(9月16日)をご覧下さい。
Dragon
2007/09/16 22:59
Dragonさん>
コメントありがとうございます。ご紹介頂いた「脱税疑惑」報道については私も存じ上げておりますが、私はこれが主因というのはちょっと違うのではと考えています。安倍さんの疑惑が週刊誌で出てくるのは今回が初めてではないということ、当該案件の時効は既に過ぎているということ、もしそれが本当に脱税であるならば、税務当局がこんなに長く放っておくというか、気づかない方が不自然であると思われること(節税と脱税は紙一重という議論はありますが)、国会開会前にこのような「怪文書」らしき報道が出るのはよくあること、などなどがそう考える理由です。しかし、今回の辞任のタイミングがあまりにも不可解だったため、この手の報道に信憑性があるのではと想定されるのはよくわかります。この件に関しては、記事の内容というよりは、背後関係(リーク元等)を探って見たほうが、政局を考える上では面白いような気はします。私にはそれを探るツテは残念ながらありませんが(笑)。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/17 14:31

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