途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その6:「格付け」というシステムが持つ構造的欠陥)

<<   作成日時 : 2007/08/31 09:17   >>

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画像



もし、この問題が「情報の非対称性」の問題だけだとすると、
格付機関の誤りは、「不可抗力」ということになります。


つまり、

「我々は誠心誠意、投資家のためになるように厳正な審査を
したのだけれども、結果的に判断を誤ってしまいました」


ということ。


であれば、投資家の反応としても

「まあ、仕方ないよね。人間だから間違えることもあるよ。」

てな声がもっと出てきてもいいような気がするのですが、
実際はそうはなっていない。


もちろん、「カネが絡んでるから」という理由もあるでしょうが、
実はそれだけではないんですねえ。


では、投資家は何を疑っているのか。




<格付機関の客は「投資家」ではなく「借り手(発行体)」>


それは、

「おまえら、わざと判断間違えたんちゃうんか??」

つまり、格付機関の判断に恣意性があったのではないか
という点を疑っているわけなのです。


では、なぜそんな疑いが出てくるのか。
それは、格付機関の収益構造を見ればよくわかります。


格付機関のメシの種って何でしょう?
言うまでもありません。
「格付け」ですよね。
「格付け」をすることで、その手数料をもらう。


問題はその次。

では、「誰に依頼されて『格付け』をするのか」

というところなんです。


「誰」とは一体だれなんでしょう?
「投資家」でしょうか?いや、違います。
実は依頼するのは「発行体(=借り手)」なんですね。


つまり、「格付け」というのは

投資家側から、
『この債券に投資しようと思うけど適格かどうか審査してくれ』
という依頼があって行われるものではなく、



発行体側(=借り手)から、
『この債券を発行するんやけど投資家にとって適格か判断してくれ』
という依頼がなされて行われるものなのです。



従って、格付機関にとって、
借り手(発行体)は「お客様」ということになるわけです。
ここが、「ミソ」になるわけなんですねえ。





<格付機関にとっても「お客様」が第一>


商売の基本は何か。


それは「お客様」のことを第一に考えることです。
そして、「お客様」のニーズに合ったサービスを提供することです。


これはどんな商売でも同じです。
「格付機関」だって例外じゃありません。


では、「格付機関」にとっての「お客様」とは誰なのか。
それは、先ほど見たように債券の発行体(=借り手)ですよね。



さらに、その「お客様(発行体)」のニーズって何でしょう?


「『格付け』をしてもらうこと」ですか?
いやいや、それだけではありませんよね。


「お客様」のニーズは、
ただ「格付けをしてもらうこと」ではありません。
「『できるだけ高い』格付けをしてもらうこと」なんです。


当たり前ですよね。
「格付け」が高くなればなるほど、債券の発行条件はよくなる。
発行条件がよくなるということは、支払う金利が安くて済む。
当然、発行体には「高い」格付けをしてもらうニーズがあるのです。


逆に言うと、その格付けが気に入らなければ、
「おたくじゃなくてよそ行くよ」となる。
格付機関も一社じゃありませんから。
競争なんです。発行体(借り手)が選べるんです。


格付機関も格付けができなかったら、
そもそもおマンマの食い上げになる。
厳しい格付けをしてソッポを向かれるくらいなら、
少々甘くても「『実入り』にはかえられねえ」。



実際に作用しているのかどうかは知る由もないが、
そんな力学が働いてしまう可能性は、
ビジネスモデルの構図から十分に考えられる。

【参考】米国における格付け会社を巡る議論について
http://www.nicmr.com/nicmr/report/repo/2002/2002spr02.pdf


そこに疑いを挟む余地があったというわけなんですね。

【参考】格付け会社の規制論浮上・証券化商品、リスク評価に疑念の声
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/zaimu/index.cfm?i=2007082100267b5
【参考】サブプライム、責任転嫁合戦
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070816/132283/
【参考】サブプライム危機 格付け会社も共犯? リスク過小評価に批判
http://www.sankei.co.jp/keizai/kinyu/070827/kny070827000.htm



そういう構造的欠陥を持っている「格付け」というシステムを、
この業界は必要以上に有難がっていた。



そして、そういう構図を投資家は理解しておかなければいけなかった。


これも投資家の「自己責任」になっちゃうのだから、
「マーケット」ってほんと「仁義なきサバイバルな世界」
なのでございますね。。。


(やっぱり終わらなかった。次回に続きます。。。)
http://keyboo.at.webry.info/200709/article_1.html


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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
TBを取りに来たのですが、イラストがあまりに「傑作」なので中味も読んでしまいました。なにか日を追ってどんどん噛み砕いて分かりやすくなってますね。
私のような経済音痴には、たいへんありがたいです。
またあとで、じっくりおさらいしに来ます。
米流時評
2007/08/31 09:27
こんにちは、管理人様。
早速のリコメント、ありがとうございました。
実需と言う角度から検討するとエネルギ−バブルは、貴殿の言われるとうりですね。

ただ一つ、バブルの作り方ですが、ドルの基軸通貨守りの角度から考えるとアメリカはどんな投信でも作るのでは?
アメリカにお金が集まる為なら、戦争投信でも作るのでは(笑)
ユ−ロ対ドルの基軸通貨争いに中国、ロシアの参加。

手を変え品を変え新しい投信を作り世界中に売りさばく、その為に各付機関はとっても使い勝手が良い、会社なのでは?

本日の各付機関の内容は私が今までカンで思っていたことをすばらしい文章で表現していただいた感じです。

今後も勉強させてください。
さくら
2007/08/31 13:31
ysbeeさん>
コメントありがとうございます。イラストは「格付け アナリスト」でググって出てきた画像を使わせてもらいました。私も見た瞬間「傑作」でしたね。このシリーズは波及のメカニズムだけ解析して3〜4回で終わらせるはずだったのですが、やっぱりそもそもの部分にも触れておいた方がいいだろうということで、想定の2倍くらいの量になりそうです。お役に立てて頂ければなによりでございます。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/31 22:30
初めて投稿します。よく判る説明を有難うございます。格付け機関のからくりがよく判ります。ということは、日本の国債格付けが異常に低いのは、金を払っていないからなので、アメリカなどは金を出しているからなのでしょうか。国の格付けからくりも説明して戴けるとありがたく思います。
chengguang
2007/08/31 23:12
さくらさん>
再度のコメントありがとうございます。お役に立てて頂けたのなら大変うれしいです。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。さて、実需に関しては住宅に関しても言えると思います。米国は先進国の中でも数少ない人口増加国であるという視点が重要で、確かにバブル的に値上がった地域もありましたが、それでも実需の底堅さがあるもの事実のようです。次にバブルの作り方に関してですが、基軸通貨を守るというのが目的であるならば、バブルにするのではなく、「継続安定的に」資金が入ってくる仕組みにすると思います。なぜならバブルの部分は必ず弾け、その損害が甚大であることはわかっているからです。基軸通貨が米ドル一極から多通過に分散されるというご見解はまさにその通りだと思いますが、基軸通貨は決済通貨として利用されることに意味があるわけですから、決済通貨として利用させるための政治的軍事的圧力を加える可能性はあると思いますが、バブルを作って一時的に米ドルの保有比率が高まることは、根本的な解決にはならないため、政府としては喜ばしいことではないと考えております。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/01 15:12
chengguangさん>
コメントありがとうございます。お役に立てて頂けたのであれば非常にうれしいです。この格付けの問題は、確かに格付け機関のビジネスモデルの問題もありますし、私のエントリではそれが強調されてしまった面はあるかもしれませんが、同時に情報の非対称性の問題もあるということや、必ず全ての格付けが怪しいということではないということも認識しておく必要があると思います。ご質問の日本国債の格付けについて申し上げますと、現在は小泉内閣以来の財政再建路線を好感して、格上げ方向に向かっています。あの当時(おそらくボツワナ債と同じ格付けになったころのことを想定されていると思いますが)日本の国債が格下げになったこと、及び現在でも主要先進国の比して日本国債の格付けが高くないのは、ひとえに日本の財政状況がそれらの国に比して良くないからということに尽きますね。もしからしたら、そこにカラクリが存在する可能性はゼロとはいえないかもしれませんが、ファンダメンタル的に十分説明がつくのではないかと考えています。
新快速 播州赤穂行き
2007/09/01 15:12
ご返答有難うございます。私の想定は書かれている通りです。ただ、日本の状況から格付けが下がったとすると、それ以前に長く続いたアメリカの双子の赤字時代には、アメリカも格付けが下がっていたのでしょうか。それなら納得するのですが。
chengguang
2007/09/02 00:18

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