途転の力学

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その4:震度とマグニチュードの複合連鎖)

<<   作成日時 : 2007/08/29 09:09   >>

トラックバック 13 / コメント 2

画像




<信用の崩壊(サブプライムだけじゃない?)>


サブプライムローンで次々とデフォルトが発生する事態が起こった。
(デフォルト=借金が返せなくなること)


もともとこのローンは低所得者向けの信用リスクの高いローンだったので、
デフォルト率が普通の貸出よりも高いことは織込み済みであった
はずなのだが、それが想定より高い率で発生してしまった。

【参考】米サブプライムのデフォルト率、6月は過去最悪を記録−フリードマン
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=a5aX6lOPCjxw&refer=jp_home


これは一体何を意味するのか。


それは、

「これまで大丈夫であったものが大丈夫でなくなる」

ことを意味することになる。


少なくともマーケットではそう捉えられた。
だから、こんなことがおきちゃったわけです。

【参考】サブプライム絡みの証券、マーケット不在で評価が困難に
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBSQ6960.html


そして、これまで信じていたものが信じられなくなる。

【参考】米上院銀行委員長、サブプライム問題で格付け会社の調査要請
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708200024.html




これって、「信用の崩壊」ですよね。

【参考】サブプライム問題の損失拡大なら信用収縮表面化も
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708100131.html


画像



では、「信用が崩壊する」と何が起こるのか。


当然、「サブプライムだけじゃないんやないの?」
という疑い(=不信)が生まれる。
そして、「不信」が他の優良な貸出にまで連鎖的に波及してしまった。

【参考】米住宅ローン問題、サブプライム以外にも波及
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708080054.html
【参考】米金融市場で信用収縮拡大=CP発行、優良住宅ローンにも波及
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/finance/jiji-16X791.html
【参考】日本CDSインデックス大幅上昇、サブプライム問題で危機感
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708100061.html



もともと証券化商品って、中身がわかりにくいものが多いんです。
それがますます不信感を増幅させてしまったわけですね。
(下の絵でも組成された証券の投資家は、元々の借り手が
誰かはよくわかっていない場合が多い)


画像




ていう感じで、信用崩壊の構図は何となくご理解頂けたかと思うんですが、
まだ疑問が残りますよね。


何で株があそこまで売られてしまったのか?


相場を張っておられる方の関心事はまさにここだと思いますので、
これについて見てみたいと思います。





<サブプライム問題で株が暴落したワケ>


下の絵は、「サブプライム問題」が発覚した7月18日以降の
世界三大市場の株価推移を表したものです。
(上から、ニューヨーク・ロンドン・東京)

【参考】Bear says troubled funds have "very little value"
http://www.reuters.com/article/topNews/idUKN1726029320070717


画像

画像

画像



なかなか見事な下げっぷりです。
とくに8月入ってからは凄い。

【参考】サブプライム危機 世界同時株安 日米欧が協調資金供給
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200708110011a.nwc


何でこんなに株下がったんでしょう?
ここでまた例の「ヘッジファンド」が大きく絡んでくるんですね。


今般のサブプライム問題では、大損害を被ったり、
最悪破綻するファンドが続出しました。

【参考】英ファンド、サブプライム絡みで資金繰り困難に
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708210017.html
【参考】仏ヘッジファンドのCFM、サブプライム絡みで損失の可能性=仏紙
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200708240088.html
【参考】ヘッジファンドの清算相次ぐ・「サブプライム」で損失
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070807AT2M0201W06082007.html


ここで、損害を被ったファンドはどういう行動をとったのか。
ここに今回の株暴落を引き起こしたカギが隠されているのです。


● まず、サブプライムで損失を被ったファンドで、
  他の資産を保有している場合、損失の穴埋めのために
  その資産を売却します。その際、今年は利益が乗っていて
  流動性の高い「株」が真っ先に選ばれ、売却される。

  (穴埋めする資産がない場合はファンドが清算される)


● そうした株売りは当然株価の下落を招きます。
  そうすると、今度は不安になったファンドの投資家からの
  解約請求が起こります。
解約請求のあったファンドは、
  投資家に返金するおカネを用意しなければなりません。


● となると、また流動性の高い「株」が叩き売られる。
  (正確にはポジションを閉じる)
  あるいは、保有資産の売却だけでは追いつかないので、
  解約資金を銀行から借金しなければならなくなる。


● そうすると、一時的に資金需要が爆発的に増える。
  しかし、信用が崩壊してしまって、銀行は簡単にはカネを
  貸してくれない。そうなるとマネーマーケットが大混乱し、
  短期金利が爆騰する。



● 金利が爆騰することによって、さらに株が叩き売られる。
  資産価格がさらに暴落し、解約がさらに増える。


という負のスパイラルが働いてしまったわけです。

【参考】米・欧・日短期金利(3ヶ月もの)

画像




「信用が崩壊する」ということは、みんなが不信感を持って
投資しているおカネを引っ込めてしまうことです。
そうすると、当然天下を回るおカネの量が減ってしまう。


カネの流れが止まることは、
経済にとって、引いては株にとっては最悪のシナリオですよね。



これが「サブプライム問題」で株が下落したメカニズムなのです。

【参考】サブプライム危機 世界同時株安 カネ余り、忘れたリスク
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200708110022a.nwc





<くしゃみをしたら『津波』がやってくる金融市場>


中にはこうして株が暴落することによって、
売りが売りを呼ぶ展開に巻き込まれ、
「サブプライム問題」とは直接関係ないファンドにまで被害が
及んでしまうケースが発生しました。

【参考】ゴールドマン、傘下ファンドへ30億ドルの資本注入へ
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070814/10898.html


為替なんかもそうですね。
これまで張っていたポジションが一斉に閉じられてしまった。
これも、サブプライムとは直接関係ない人が
巻き込まれてしまった例です。

【参考】FX長者…一転大損 円急騰に泣いた個人投資家
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200708220010a.nwc


こうして、米国のサブプライムローンという一局地的な問題が、
レバレッジを通じて信用崩壊を招き、
それが金融市場全体に莫大な影響を与えてしまった。



マーケットの世界は、世界中を瞬時におカネが移動する反面、
何か起こったら、その影響が波及するのも一瞬なんです。


いち早くグローバル化が進んでいる金融市場は、
まさに、「くしゃみをしたら桶屋が」どころか、
「くしゃみをしたら『津波』がやってきてしまう」
わけなんですね。




(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_31.html


banner_02.gif←あなたのお役に立てたらクリックしてください



(ご参考)

「経済」をもっと深く知りたい方におすすめの本

信用恐慌の謎―資本主義経済の落とし穴信用恐慌の謎―資本主義経済の落とし穴
ラース トゥヴェーデ Lars Tvede 赤羽 隆夫

ダイヤモンド社 1998-12
売り上げランキング : 27197
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

日本人のための経済原論日本人のための経済原論
小室 直樹

東洋経済新報社 1998-11
売り上げランキング : 55983
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

経済のニュースが面白いほどわかる本 日本経済編経済のニュースが面白いほどわかる本 日本経済編
細野 真宏

中経出版 1999-11
売り上げランキング : 196773
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

市場と政府―21世紀日本経済の設計市場と政府―21世紀日本経済の設計
田中 直毅

東洋経済新報社 2000-09
売り上げランキング : 855947

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

大前研一 新・経済原論大前研一 新・経済原論
大前 研一 吉良 直人

東洋経済新報社 2006-09-01
売り上げランキング : 4285
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

富の未来 上巻富の未来 上巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
売り上げランキング : 28930
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

富の未来 下巻富の未来 下巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
売り上げランキング : 28368
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

資本主義の未来資本主義の未来
レスター・C. サロー Lester C. Thurow 山岡 洋一

阪急コミュニケーションズ 1996-10
売り上げランキング : 41843
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools





設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(13件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「容米保守」という選択 PART4
PART3では、米国の日本に対する「年次改革要望書」を広く国民に公開し、その日を祝日とし、国民の政治参加意識を高めることが重要であると述べた。 今回のPART4では、「グレーゾーン金利」に関する国民の引き下げ要求運動が実を結んだ経緯を紹介する。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−     「容米保守」という選択 PART4 −国民の政治参加が外圧に勝利− 「グレーゾーン」金利とは、出資法の上限年利29.2%と、利息制限法の上限年利15〜20%の間の約10%の部分... ...続きを見る
東洋の魔笛
2007/08/29 13:33
投資資金の逃避先は世界中を探しても構造的に存在しなくなっている
アメリカのサブプライムローンの焦げ付きによる影響が日本にも及び、大幅な株式暴落と円高が起きている(中国による米国債売りも絡んでいるとの話も…)。一旦は持ち直したようだが、この混乱は楽観視はできないだろう。 ...続きを見る
にほん民族解放戦線^o^
2007/08/29 23:40
FXはやり方しだい
FXはやり方しだいでリスクは最小限 ...続きを見る
アドセンス,アフィリで毎日1万円超後発組...
2007/08/30 09:09
消費税増税は不可避 額賀さん、早くも財務省の言いなり
額賀さん、早くも財務省の言いなりですね。 ...続きを見る
病院事務長のぶつぶつ日記
2007/08/30 09:11
住宅ローン 暮し 生活
読ませて頂いたついでにトラックバックさせて頂きます。 私のサイトにもぜひ遊びに来てください。 ...続きを見る
住宅ローン 暮し 生活
2007/08/30 11:46
勝つ人と負ける人をわけるポイントとは・・・。
勝つ人と負ける人の差というたった一つのポイントと、というのは…。 それは”チャートからマーケットの動きを推測することが出来る”ということです。 もう少し簡単に言うと”予想が立てれるかどうか?”ということです。 ...続きを見る
FXで安定した健全な収入を得る方法
2007/08/31 20:29
タリバンがパキスタン兵300名を襲撃拉致
 ||| パキスタン兵300名タリバンが襲撃拉致 |||パキスタン北西部の国境付近で政府陸軍の輸送トラック部隊を襲撃 アフガニスタンで韓国人人質全員解放の翌日 味をしめたタリバン ...続きを見る
米流時評
2007/09/01 16:01
日経平均大暴落
霧島人です。お盆が過ぎて日本列島熱風が吹き荒れていますね昨日気温が記録更新された犠牲になった方も何人か出ていますね日経平均もすごいことになってしまいました。ご覧になっているあなたに被害がありませんように・・(+_+)霧島人は、・・・・(>_<) (・_・;でした。アメリカがかぜが長引いているうちに世界中がパニックになったしまったようですね・・早く落ち着きを取り戻してくれるといいのですね堅実なあなたは、世界の喧騒を尻目に秋のファッション?それとも旅行?霧島人でした。 関連記事をここにも・・・ ...続きを見る
霧島・温泉つれづれ
2007/09/01 18:09
預金金利の推移
預金金利の推移のことを、初めは敬遠していた。預金金利の推移がとても難解なものに思えたからだ。だが、日に日に預金金利の推移への興味と関心がつのり、思い切って勉強を始めた。 ...続きを見る
預金金利の推移
2007/09/04 12:16
現在、フルマーケくん登録停止の件
いつもコメにトラバサンクスです フルマーケくん検証ブログの公翔ともうします。 「フルマーケくんをためすぜー!」 ... ...続きを見る
フルマーケくん検証ブログ
2007/09/23 18:56
07年は3月のチャイナショックに破産・・
...続きを見る
日経225先物miniデイトレード戦略
2007/10/01 02:30
住宅ローンの消費税について
税率アップによる住宅ローンへの影響を考えたことはありますか。消費税が上がると住宅ローンへも影響ももちろん発生します。そこで「住宅と消費税」の関係を整理するひつようがあります。 消費税とは、製品や商品の販売、あるいはサービス提供などの取引に対して課される『間接税』のことですので、「土地」には消費税がかかりません。住宅購入に関するすべてが課税対象になるわけではないのです。住宅地である土地については“... ...続きを見る
住宅購入
2007/10/08 19:10
多くの資産を失った・・・
あなたは莫大な資産と引き換えに・・・あなたの全てを捧げる覚悟はあるだろうかこの投資法は、他人が暴落地獄をさまようと引き換えに莫大な資産を築く禁断の投資術です。もし、中途半端な興味穂にや、自分だけで儲かっても・・・という甘い考えがあるのですしたらこの先は絶対に目を通さないでください。※お約束私はこの投資法を提供するにあたり、あなたに1つの銘柄で20%以上の利益を出せることを確約いたします。私は、ライブドアショックの時、笑いが止まりませんでした。2006年1月、市場がパンクし、投... ...続きを見る
暴落破壊投資術:3年で1億5900万円を...
2007/11/02 12:57

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
新快速播州赤穂行きさん、こんにちは。
すごく勉強になります。用語ひとつひとつにも説明を入れてくださっており、初心者でも概要が掴みやすく助かります。
今回のサブプライムローンが破綻することは、実は結構前から分かっていたのではないかと思われるフシがあります。
2005年12月の米国年次改革要望書とそれに関連した米国財界の日本への圧力があり、それは、消費者金融の上限金利をなくせというものだったと記憶しております。
後藤田議員が役を辞任してまで止めようとした「グレーゾーン金利」の一件です。
もしあれが20%(のち18%?)の上限をもって確定していなかったら、サブプライムローンそのものが日本に進出、あるいはその前に囲い込もうとする消費者金融がサブプライムローン化していたかもしれないです。
ナルト
2007/08/29 13:31
ナルトさん>
連日コメント頂きありがとうございます。お役に立てているのであればなによりです。まさにおっしゃるとおり、サブプライムローンの破綻は事前にわかっていました。デフォルトが徐々に増えてきているのは、一部ではなく周知の事実だったからです。今までそれが持ちこたえられていたのは、損失が許容リスクの範囲内に収まっていたからに過ぎません。さて、TB頂いた「グレーゾーン金利」の話ですが、これは非常に難しい問題だと考えております。実は私はこの件に関しては、ナルトさんと恐らく意見を異にするところがありまして、確かに上限金利に制限をかけたのは一見よかったのですが、リスクマネーの供給源を確保しないまま上限だけ押さえつけてしまうのは、結局供給を絞るだけになってしまい、本来利用者を保護するはずだったのが、回りまわって貸し手が見つからないという形で利用者に跳ね返ってしまうという矛盾が起こってしまったわけですね。そのあたりのことを書いた記事をTBさせて頂きました。もしご興味あればご覧になって下さい。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/29 19:53

コメントする help

ニックネーム
本 文