途転の力学

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 「サブプライム問題」波及メカニズムを探る(その2:マグニチュードの問題)

<<   作成日時 : 2007/08/28 08:20   >>

トラックバック 3 / コメント 0

画像





<信用リスクとは何か>


画像



この「震度」と「マグニチュード」を独立に考えるのは
厳密には難しいのですが、
考察を容易にするためにあえて分けて考えることにします。


まず、「証券化」というのを考える前に、
カネの貸し借りが発生した場合の債権債務関係を見てみましょう。
下の絵をご覧下さい。


画像



これは、「銀行X」が「住人A」という人に、
おカネを貸した場合の債権債務関係を表した絵です。


ここで、貸した額を「100」とすると、
貸し手(債権者)は「銀行X」だけになりますから、
「住人A」に対する信用リスクは全て「銀行X」が被ることになる。


一方見方を変えれば、仮に「住人A」が借金を返せなかったとしても、
損害を被るのは「銀行X」だけであるとも言えます。



ということは、仮にデフォルトが発生したとしても、
影響が広範囲に、ましてや世界的に影響が及ぶなんてことには
なかったかもしれませんね。


だって、サブプライムローンがデフォルトしたといっても、
米銀全体の住宅ローン残高からしてみたら
延滞債権の比率は2%程度であり、
不良債権問題で大揺れだった日本の当時(10%程度)とは
比べ物にならないからです。


しかし、現実はそうはならなかった。
今般のサブプライムローンの問題は、
広範囲にかつ巨大な影響を及ぼしてしまった。


なぜそんなことになったのか。
そのナゾを解くカギが「証券化」なのです。







<証券化とは何か>


では、その「証券化」とは何なのか。


辞書によれば、

「不動産や債権などの資産を有価証券化すること、また有価証券化して
処分することにより対価を得る一連の取引をいう。
資産流動化の一形態であるが、広義には、有価証券を用いない場面を含め、
広くいわゆる流動化一般の場合を指すこともある」


【参考】証券化とは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%BC%E5%88%B8%E5%8C%96


とのことだが、これだけ見ても何のこっちゃさっぱりだと思います。
で、ご用意させて頂いたのが次の絵。


画像



「証券化」を端的にあらわすとこうなります。
順を追って説明していきます。


@ まず、銀行X〜Zまでの3行がそれぞれ、住人A〜Cに
  住宅ローンを「100」ずつ貸したとします。
  その場合、銀行X〜Zは各々融資分である「100」の
  信用リスクを背負うことになります。


A 次に、銀行X〜Zの抱える信用リスクを1箇所に集めます。
  具体的には商品のための「箱」(ペーパーカンパニー)に
  各銀行が自分の抱えるローンを時価で売却することで、
  銀行は信用リスクを「箱」に移転することができるのです。

  (信用リスクの切り離し=「流動化」といいます)


B 信用リスクを移転することで、各銀行と住人との間の
  債権債務関係は解消され、住人にとっての債権者(=貸し手)は
  銀行から信用リスクが移転された「箱」ということになります。


C こうして各銀行の信用リスク(住宅ローン)を資産として保有する
  ことになった「箱」は、それを裏づけに証券(債券・株券)を発行し、
  その証券を投資家に売ります。これを「証券化」と呼ぶのです。



D 「証券化」された「証券」は投資家間で株券のように自由に売買
  することが可能となります。これは特定の銀行と特定の住人の
  「1対1」であった債権債務関係が細かく細分化されることを意味し、
  住宅ローンであるにも関わらず、あたかも株券のような流動性を
  持たせることに成功したわけです。

  (上の絵では、「1対1」⇒「3対5」に細分化された)


E この「証券化」によって、これまで「住宅ローン」という資産に
  投資したくても出来なかった投資家でも、これに投資をすることが
  出来るようになりました。


このように、「証券化」という金融技術は、
普通は流動性のない資産の流動性を高め、
投資家層の裾野を爆発的に広げることに成功しました。



米国の住宅ローンにアジアの見知らぬ投資家でも
投資できる時代になったのです。

【参考】欧州に波及するサブプライムローン問題
http://markets.nikkei.co.jp/ranking/news/index.cfm?id=i3a8e000_14&date=20070814&genre=i3
【参考】邦銀主要8行・グループ、サブプライム関連損失200億円
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070817AT2C1602U16082007.html
【参考】中国銀行:米サブプライム投資、証券投資の3%占める
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0824&f=stockname_0824_030.shtml



逆に言うと、これが今般のサブプライム問題の影響を
世界的に拡大させる要因ともなったわけなのです。


つまり、リスクの分散が
問題の影響を拡大させたというわけですね。  

  
しかし、それもちょっと違う気がしませんか?






<リスク分散は影響の拡大を意味するのか?>


リスクの範囲が広がったといっても、
細かく分散されたんだから、
かえって影響は軽微になるはずなんじゃないの?
という意見をお持ちになった方もおられると思います。


それは全くもって、ごもっともなご意見です。


上の絵で見ても、信用リスクの受け手が、
証券化することによって、3人から5人に分散されたのですから、
一人当たりのリスク量は小さくなっているはずなので、
ローンのデフォルトが起こった場合でも影響は小さいはずなんです。

(一人あたりのリスク量は100⇒60に減っている)


でも、実際はそうはならなかったですよね。
なぜなのか。


そのナゾを解くカギが「レバレッジ」なのです。


(次回に続く)
http://keyboo.at.webry.info/200708/article_29.html


banner_02.gif←あなたのお役に立てたらクリックしてください



(ご参考)

「経済」をもっと深く知りたい方におすすめの本

信用恐慌の謎―資本主義経済の落とし穴信用恐慌の謎―資本主義経済の落とし穴
ラース トゥヴェーデ Lars Tvede 赤羽 隆夫

ダイヤモンド社 1998-12
売り上げランキング : 27197
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

日本人のための経済原論日本人のための経済原論
小室 直樹

東洋経済新報社 1998-11
売り上げランキング : 55983
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

経済のニュースが面白いほどわかる本 日本経済編経済のニュースが面白いほどわかる本 日本経済編
細野 真宏

中経出版 1999-11
売り上げランキング : 196773
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

市場と政府―21世紀日本経済の設計市場と政府―21世紀日本経済の設計
田中 直毅

東洋経済新報社 2000-09
売り上げランキング : 855947

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

大前研一 新・経済原論大前研一 新・経済原論
大前 研一 吉良 直人

東洋経済新報社 2006-09-01
売り上げランキング : 4285
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

富の未来 上巻富の未来 上巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
売り上げランキング : 28930
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

富の未来 下巻富の未来 下巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
売り上げランキング : 28368
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

資本主義の未来資本主義の未来
レスター・C. サロー Lester C. Thurow 山岡 洋一

阪急コミュニケーションズ 1996-10
売り上げランキング : 41843
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools





設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
株券の電子化 かぶけんのでんしか
株券の電子化 かぶけんのでんしか とは、証券取引所で取引される株式の株券が2009年6月までに電子化され、証券保管振替機構(ほふり)や株券の発行会社によって、コンピュータ上で保護・管理される仕組みになること。株券の電子化は、2009年1月からの実施に向けて準備を進めている。株券の電子化後、印刷された株券そのものには価値がなくなるが、株主情報や株主の権利は変わらない。他人名義の株券を持っている場合は株券の電子化前に本人名義に変更する必要がある。投資に関するおすすめサイト集おすす... ...続きを見る
投資に関する用語集
2007/09/01 21:48
信用リスクとは
与信リスク、クレジット・リスク 信用リスクは、銀行の貸出先企業が倒産したりして、... ...続きを見る
知って得する豆知識
2007/09/03 18:27
楽してお金儲けがしたい!これは誰でも考えることだと思います。いま話題の "FX" を利用して、この望...
定年退職した68歳の親父がFXで大成功! ...続きを見る

2007/09/18 22:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文