途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 世界を読み解く3つのキーワード(その3:世界の多極化)

<<   作成日時 : 2007/08/10 10:08   >>

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<多極化であることの方が普通>


現在は米国への一極集中状態になっておりますが、
当然太古の昔から彼の国が覇権を握っていたわけではありません。


そもそも、一国のみが世界の「覇権」を握っていた時代というのは
歴史上非常に短い期間しかなく、大概は「多極化」の時代なのです。


世界的な「覇権」ということが意識されだしたのは大航海時代からです。
それまでの世界は、大きな地域毎で閉じられた世界を形成しており、
世界的なつながりはほとんどありませんでした。


ところが「船」によって地域がつながり、
「世界」という概念が生まれた。
そして同時に世界の「覇権」争いが始まったわけです。



その後の覇権争いの歴史を見てみると、一国が世界の覇権を握ったのは
大航海時代のスペイン・イギリスとソ連崩壊後の米国しかありません。
あとは全て「多極化の時代」であったのです。


これからの世界は、米国の一極集中の時代から再度多極化を迎えると
言われており、その兆候が随所に見られるようになっています。


これは、米国の国力が低下したという側面よりも、
他の国の国力が上がってきたことの方が大きい。
例えば、中国・インド・ロシア等。
経済的にも軍事的にも台頭し、米国一国では抑えられなくなっている。


ソ連崩壊から15年余り経って、ようやく世界のパワーバランスが
分散化し始めた。ていうよりは歴史的にはこれまでの米国一極集中の方が
異常であったと言えますが。







<フラット化と多極化の融合>


しかし、よくよく考えると、この「パワーバランスの多極化」は
前回見た「経済のグローバル化」の動きとは対立する概念のような気がします。


前者は「発散」、後者は「集中」。
この相反する力学が働く世界を、我々はどのように理解すればいいのでしょうか。


簡単に言うと、「経済のグローバル化」のもたらすものは「フラット化」であり、
「フラット化」とは何かと言うと、前回見たようなコストの収斂等色々ありますが、
ここでは「ネットワークの共有化」という面を揚げたいと思います。


それをもたらす原動力となったのは、もちろん「インターネット」です。


ネットさえあれば、誰でもどこにいても世界中と等しくアクセスできる。
PC一台と電波さえあれば、全ての人に平等に与えられる。
世界中の情報へのアクセス権が、これほど平等に開放される世界なんて
これまでの歴史からは全く考えられなかった。
「革命」と呼ばれるゆえんはここにあります。


次に「多極化」がもたらすものについて。
歴史的に見れば「紛争」と答えたくなりますが、
ここでは「価値観の多様化」というのをあげておきたいと思います。


米国一極集中の時代においては、
「欧米化度合い」が全ての基準であるかのような
(そこまでではないかもしれませんが)錯覚が起こっていた。


しかし、「多極化」の時代では「欧米」はあくまで「One Of Them」であり、
そのことに世界中に人が気付きはじめた。


例えば映画の世界なんかで見ても、
これまではハリウッド映画一辺倒だったのが、
昨年日本において、邦画が洋画を上回る人気を見せたこと、
また近年ハリウッドに独自ネタがつきたのか、
アジア映画のリメイクやアジアを題材にした映画が著しく増えたこと。
これも「価値観の多様化」の一貫ではないでしょうか。


そして、昔と違ってWEBという「共通のネットワーク」によって、
様々な価値観にリアルタイムで触れることができる。
それがまた新たな発見となり、「価値観の多様化」を促す。
その波の影響を最も受けるのは、国や地域ではなく「個人」である。


これからの世界は、この「フラット化」と「多極化」が融合した姿に
なっていくのではないでしょうか。



「価値観の多様化」とは「これまで信じていた価値観の崩壊」という側面も
ありますから、このパラダイムシフトも社会に混乱をもたらす一要因となりうる
と言えるでしょう。


●「ケインズ派」と「新古典派」
●「資本主義」と「共産主義」
●「右翼」と「左翼」等々。

こういう既存の概念では捉えられない世界になっていくのかもしれません。




(おわり)


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。非常に興味部深い内容ですね。
昨日のエントリーにTBさせていただきました。そのTBの「縁起のレイヤー」にて、多極化する価値観同士が繋がる場の中で、どう影響するのか考えをまとめております。個人への影響を考えるとやはり血縁層での情報交流が大切であり、そこで如何なる伝統や考えが保持されるのかが鍵と考えています。
日比野
2007/08/10 11:52
日比野さま>
こんにちは。コメントありがとうございました。頂いたTBの記事も非常に興味深く拝見させて頂きました。両記事とも非常に科学的というか、見事に概念が体系化されており、思わず鉛筆を持って図を描いてしまいました(笑)。私もおっしゃるとおり、「血縁層での情報交流」というのは非常に大事だと思いますが(「地縁」も含めてですが)、今は昔に比べてそれが希薄になっているような気がします(私も含めて)。本来なら国際交流などは下位レイヤーの部分で行われるべきものなのでしょうが、これはネットの影響が大きいと思いますが、相手のことを大して知らない(下位レイヤーレベルでの交流がない)にも関わらず、いきなり上位レイヤーでの衝突を個人レベルで引き起こしてしまっており(日韓関係、日中関係悪化の一因はネットの普及による上位レイヤーでの衝突があるような気がします)、それがさらに下位レイヤーレベルでの没交流状態を引き起こしているような気もいたします。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/10 13:42
(続き)そういう点で、下位レイヤーレベルでの「物理的な」人的交流はもっと盛んに行う必要があるのだろうと思います。それは「知らない相手に対しては何の情もわかないが、知っている人に対しては情がわくから大切にする。そうなれば争いごとも減るかもしれない」という現実的かどうかわからない理想論から来る想いではありますが。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/10 13:42
TB読んでいただきありがとうございます。お褒めのお言葉、過分に存じます。
>「知っている人に対しては情がわくから大切にする。そうなれば争いごとも減るかもしれない」
バーネットのいう都会化がこれにあたると思うのです。私は血縁関係による抑止力効果を指摘させていただきました。
無茶な案でしょうが、天皇家がヨーロッパや東南アジアの各王室と外戚関係になれば、それだけで抑止力効果があると思っています。下位レイヤーのつながりを王室レベルでできれば、それだけで国際ネットワークになりますから。(笑)
今後ともよろしくお願いいたします。
日比野
2007/08/10 16:17
日比野さま>
再度のコメントありがとうございます。私は日比野さんの論を十分に消化しきれていなかったようですね。大変失礼致しました。外国の王室との外戚関係を築くというのは、国際ネットワーク構築と安全保障上の抑止力という観点から考えると、非常に有益な案であると私も思います。ただし、実際に国民感情的にそれを受け入れることが出来るかという、実現可能性の問題はまた別にあるとは思いますが。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
新快速 播州赤穂行き
2007/08/10 16:36
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